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悲観と楽観のはざまに揺れる“期待”の制御に苦心する中国|金融市場異論百出|ダイヤモンド・オンライン

中国経済の減速がきつくなっているという報道が相次いでいる。注意が必要なのは、地域や業種によって様相はかなり異なっているという点である。北京や上海では景気減速は感じにくい。

 住宅価格も、経済や社会に大きな影響を持つ第1線級都市では下げ止まりが見られる。住宅購入を様子見してきた上海の証券マンは、「中国人民銀行の金融緩和で資金が不動産市場に流れてきそうだし、一人っ子政策の緩和で住宅の買い替え需要が出てきそうなので、そろそろ買おうかと考えている」と話していた。


 とはいえ、住宅価格は所得比で見て手が届かない“成層圏”にある。ここからの回復は「底が長いU字形」になるのではないか、という観測が数カ所で聞かれた。

 他方、鉄鋼など過剰設備業界が多い地域や、地方政府が傘下に置く投資会社、融資平台(投資プラットフォーム)が身の丈を超えた借金を膨らませた地域では、中央政府が整理を進めようとしているため、資金繰りの悪化や企業倒産が起きている。


 産業が乏しく、人口流出が起きている中西部の第3線級都市や、天津や瀋陽など大都市周辺でむちゃな団地建設がなされてきた地域はリスクを抱えている。中央政府は地方政府の債務改革に乗り出し、地方政府特別債券の1000億元までの発行や、官民連携(PPP)による民間資本の呼び込みを図っていく方針だ。

習近平体制は現在、「期待のコントロール」を重視している。中国人は一斉に過度に悲観的になったり、逆に過度に楽観的になってモラルハザードが起きたりする傾向があるからである。


 政府の経済運営の目標に関して、昨年は改革の実施に重きが置かれていたが、今年は「安定成長の保持」が前面に押し出された。改革に伴う“痛み”に人々が悲観して成長期待が急失速し、投資・消費が大幅に縮小してはまずい。それゆえ、財政出動で7%前後の成長率を維持することが強調された。


 しかし、「政府が支えてくれる」とモラルハザードが蔓延することも避けなければならない。李克強首相が「今年直面している困難は昨年よりも大きいかもしれない」「成長目標の実現は容易ではない」と最近語ったのも、人々に警戒心を持たせつつ、アメとムチを使い分けようとしている姿勢の表れといえる。