敦賀原発2号機の真下を通る断層を巡っては「活動性はない」と日本原子力発電が主張しているのに対し、原子力規制委員会の専門家会合はおととしに続き、追加調査を行ったあとの去年11月にも「将来動く可能性がある」とする評価書の案をまとめています。その後、今回の議論に参加していない別の専門家からの指摘を受けて、地層の評価の説明など一部を修正したものの結論はほぼ変えず、2号機の真下を通る断層が「将来動く可能性がある」とする評価書をまとめ、25日、規制委員会に報告しました。
これで、3年前から始まった専門家会合での議論が終わり、1つの区切りを迎えたことになります。原発の新しい規制基準では、将来、動く可能性のある断層の上に原子炉建屋など重要な施設を設置することを認めておらず、敦賀原発2号機は、再稼働できずに廃炉になる可能性があります。
これに対し、日本原電は結論に反論し、今後、再稼働に必要な審査の申請をする方針です。
この断層の問題について規制委員会の田中俊一委員長は「申請があれば今後の審査会合で判断する」と述べ、その際には、専門家会合の見解を重視する考えを示しました。
敦賀原発の敷地の地下にある複数の断層や亀裂は、同じ敷地内にある浦底断層という活断層と連動して動く可能性が指摘されていますが、2号機の真下を走る「Dー1」と呼ばれる断層は、さらに別の断層の調査結果から「将来動く可能性がある」とされました。「将来動く可能性のある断層」の定義は、12万年前から13万年前の後期更新世という年代以降の活動が否定できないものとされています。調査の中で、「D−1」の延長線上浦底断層に近づく辺りで別の「K断層」が見つかり、注目されました。
日本原子力発電は、K断層の上の地層に含まれる火山灰の年代がおよそ12万7000年前であり、その下にあるK断層の活動時期は後期更新世より古く、D−1とのつながりも確認できなかったと主張しました。これに対し、規制委員会の専門家会合は、12万7000年前とされる火山灰の堆積は部分的で、その年代以降にK断層が活動していないとは判断できず、K断層はD−1などの2号機の真下を走る断層と一連である可能性が否定できないとして、「将来動く可能性がある」としました。
去年12月、別の専門家たちが客観的な立場で検討する会議では、「専門家会合の事実認識に誤りはなく結論は適切だ」という意見の一方で、「K断層の上にある地層の日本原電の評価は自然で十分信頼できる」とか、「断層の傾きなどがD−1とK断層は全く異なる」などと、原電の見解を支持する意見も出されました。
新しい規制基準は、断層の活動性の評価が難しい場合、安全側に判断することを求めていますが、今回の評価書は専門家の間でも意見が分かれる部分があり、今後、審査会合に議論の場が移された後も論争が続くとみられます。