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イラン核協議 合意も認識の違い浮き彫りに NHKニュース

国連安全保障理事会常任理事国にドイツを加えた6か国とイランは、8日間にわたる交渉の末、核開発問題の最終的な解決に向けた枠組みで合意したとして、2日、共同声明を発表しました。
その後、アメリカとイランはそれぞれ、共同声明とは別に、合意内容に関する文書を公表しましたが、2つの文書では交渉の大きな争点を巡って認識の違いが、浮き彫りになっています。
まず、交渉でイランが強く求めていた制裁の解除について、イラン側の文書では、最終合意の内容を守れば、アメリカやEU=ヨーロッパ連合がイランに科している制裁は「直ちに解除される」と書かれています。これに対してアメリカの文書では、「解除」ではなく「停止」ということばが使われているほか、合意違反があった場合には制裁を復活させるとしています。
また、もう1つの大きな争点となっていた核開発の問題では、イランが進める、より性能の高い新型の遠心分離機の研究開発について、アメリカの文書では「限定的に行われる」としています。
これに対してイラン側は「限定的」ということばを盛り込まず、研究開発を続けると説明しています。
関係国は「歴史的な合意だ」などと今回の枠組み合意を評価していますが、アメリカとイランが示した合意内容に関する文書は、依然、両国の立場が隔たっていることを示すもので、最終合意に向けた詰めの交渉ではさらなる曲折が予想されます。

最終合意の枠組みについて、アメリ国務省は、4ページにわたる資料を公表し、具体的な取り組みを説明しています。
それによりますと、ウラン濃縮については、今後10年間、イランは遠心分離機の数を現在のおよそ1万9000基から3分の1以下に減らし、6100基余りにするとしています。また15年間にわたって、濃縮度が3.67%を超えるウランは製造しないほか、現在保有している10トンの低濃縮ウランを、300キロにまで減らすことになっています。こうした措置を取ることで、原子爆弾1個分の濃縮ウランを獲得するまでにかかる時間を、これまでの2、3か月から少なくとも1年に引き延ばせると説明しています。
また核施設に関わる部分では、今後10年間、ウランの濃縮活動は、中部のナタンズの核施設に限定されます。
中部フォルドゥにある地下深くに建設された核施設では濃縮ウランの製造は停止され、研究関連の施設に転換されます。
西部アラクの重水炉については、核兵器に転用可能な兵器級プルトニウムを生産できないよう設計を変更し、使用済み核燃料は、すべて国外に運び出します。
そしてこうした取り組みの状況を確認するため、IAEA国際原子力機関がすべての核関連施設に定期的に立ち入ることができます。
さらに、申告していない核関連施設の調査や抜き打ちの査察を可能にするIAEAの「追加議定書」の適用を受け入れることに、イランが合意したとしています。
経済制裁の解除については、IAEAがイランが主要な合意をすべて履行したと確認すれば、アメリカやEUの制裁は停止されますが、違反が見つかった場合には元に戻すことができると主張しています。

イランの核開発問題を巡り、最終的な解決に向けた枠組みで合意したことについて、ロシア外務省は2日、声明を発表し「最も難しい課題も政治的、外交的な努力によって解決できることを証明した」と述べ、高く評価しました。
そのうえで、「この合意により、イランは中東が抱える問題や紛争の解決により積極的に関わることができるようになった。この地域の安全保障の分野によい影響を及ぼすことを確信している」と述べ、中東地域の安定のため、イランの役割に期待を示しました。
またイランに科されている制裁については、「今回の合意は制裁をすべて解除するという原則に基づいている」と述べ、最終合意の内容を守れば、制裁は直ちに解除されるというイラン寄りの立場を示しています。