去年5月から断続的に行われてきた安全保障法制の整備に向けた与党協議は、11日で24回目となり、座長を務める自民党の高村副総裁は「政府には連休返上で法案化作業に当たってもらったが、きょうの協議で、その成果をしっかりと審査したい」と述べました。
また、座長代理を務める公明党の北側副代表は「自民・公明両党の間で、安全保障法制について合意が形成されつつあることは本当によかった。最後に、しっかり条文を審査し、国会に法案を提出できるようにしていきたい」と述べました。
このあと、政府側が、これまでの協議を踏まえた安全保障法制の関連法案の全条文を示しました。
それによりますと、焦点の集団的自衛権の行使に関しては、「わが国と密接な関係にある他国への武力攻撃により、わが国の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」を「存立危機事態」と位置づけ、その際には自衛隊が防衛出動し、武力の行使ができるようにするとしています。
また、日本の平和と安全に重要な影響を与える事態を「重要影響事態」と位置づけ、周辺事態法を改正して「重要影響事態法」とし、その際に行うアメリカ軍などの外国軍隊への後方支援には地理的な制約がないことを明確にするとしています。
一方、国際社会の平和と安全を脅かす事態に対処する外国軍隊への後方支援は、そのつど特別措置法を作らなくても対応できるよう、「国際平和支援法」という新法を恒久法として制定します。
そして、新法に基づいて自衛隊を派遣する際は、例外なく国会での事前承認を義務づけ、総理大臣が国会に承認を求めてから衆参両院はそれぞれ7日以内に議決するよう努めなければならないとしています。
政府側の説明に対して、与党協議のメンバーから異論は出ずに了承され、戦後日本の安全保障政策の大きな転換となる安全保障法制の関連法案について、協議開始からおよそ1年の11日、合意しました。これを受けて自民・公明両党は、それぞれ関連法案を最終的に了承する党内手続きに入ります。
そして、政府は今週14日に関連法案を閣議決定し、新法である「国際平和支援法」と、自衛隊法など10の法律の改正を一括した「平和安全法制整備法」の、合わせて2本の法案を週内に国会に提出することにしています。
自民・公明両党は11日午後、安全保障法制の整備に向けた与党協議を開き、集団的自衛権の行使を可能とすることなどを盛り込んだ関連法案について合意しました。
自民党は、安全保障法制整備推進本部などの合同会議を開き、与党協議で合意した関連法案の審査を行いました。出席者からは「国民の間に『戦争法案ではないか』などという不安がある。平和のための法案だという説明を、より丁寧にしていく必要がある」といった意見が相次ぎましたが、法案への異論は出されず、合同会議として関連法案を了承しました。自民党では12日に政調審議会と総務会を開いて審査を行うことにしており、今週14日までに党内手続きを終え、関連法案を正式に了承することにしています。
一方、公明党も、安全保障法制検討委員会などの合同部会を開いて、関連法案の審査に入り、今週14日の中央幹事会で正式に了承することにしています。