ロシアの排他的経済水域でのサケ・マス流し網漁を巡っては、今月17日に十勝の広尾漁協所属の「第十邦晃丸」が漁獲枠を超えて漁をしたとして、ロシア側に拿捕(だほ)されました。
こうしたなか、漁の拠点の根室市の花咲港では20日、ロシア海域などから戻った漁船5隻が水揚げを行いました。
このうち1隻は拿捕された漁船がとっていたサケ・マスを漁獲枠分だけ洋上で積み替えてきた漁船で、漁業関係者は複雑な表情で水揚げの作業に当たっていました。
ロシア海域でのサケマス漁を巡っては、ロシアが来年1月から漁を禁止することを決めたことから、ことしが最後の漁となります。
漁の期限は今月下旬までですが、いずれの船も漁獲枠内での漁を終えたとして、次の操業を見送ることにしています。
水揚げされたサケマスは、21日、競りにかけられることになっていますが、戦前から続き、かつて北洋漁業の花形だったサケマス漁はこれで幕が閉じられることになります。
ロシアのプーチン大統領は、日本の漁船も操業しているロシアの排他的経済水域でのサケとマスの流し網漁を禁止する法律を成立させたことについて「日本の漁船が大きな損害を与えてきた」と主張し、みずからの立場を正当化しました。
ロシアのプーチン大統領は20日、モスクワ郊外で、シェスタコフ漁業庁長官と会談し、日本の漁船も操業しているロシアの排他的経済水域でのサケとマスの流し網漁を、来年1月から禁止する法律について意見を交わしました。このなかでプーチン大統領は、「日本の漁船は、流し網漁によって、ロシアの伝統的な漁場に大きな損害を与えてきた」と主張し、署名を経て法律を成立させたみずからの立場を正当化しました。そのうえで「今回の決定は外国の漁船だけでなく、この漁を行うすべての人たちが対象だ」と述べ、法律そのものは、日本をねらい撃ちにしたものではないと強調しました。
ロシアの排他的経済水域でのサケとマスの流し網漁を巡って日本の漁船はこれまで、日ロ両政府の協議に基づき、一定の料金を支払って操業してきましたが、ロシアで漁を禁止する法律が成立したため、ことしが最後の漁となります。こうしたなか17日には、北海道の流し網漁船が決められた漁獲枠を超えて漁を行ったとして、ロシアの国境警備局に拿捕(だほ)され、日本政府の働きかけにもかかわらず解放の見通しは立っていません。