安倍総理大臣が戦後70年のことし発表する談話の策定に向けて設置された、政府の有識者懇談会は、ことし2月から7回の会合を開き、「20世紀の世界と日本の歩みをどう考え、その経験からくむべき教訓とは何か」など、安倍総理大臣が示した5つの論点について議論を重ねてきました。
このなかでは、歴史認識に関して、先の大戦を「侵略」と考えるかどうかを巡り、「『侵略』ということばを用いるべきだ」という意見の一方で、「現在の価値観で『侵略』と断定することがよいことなのかどうか疑問だ」という指摘も出されました。
また、アジア諸国などとの和解において、「謝罪は和解につながらず、必ずしも謝罪は必要ないという印象を持った」という意見とともに、「こういうひどい戦争をしたということはいくら反省しても反省しきれない」という考えも示され、「侵略」や「謝罪」などを巡って意見が分かれました。
一方、安倍総理大臣の談話は、未来志向のものとすべきだとする意見が多く出されたほか、近現代史の教育を強化することや、日中、日韓といった2国間の歴史対話ではなく多国間での歴史の共同研究が重要だとする指摘も出されました。
有識者懇談会は、来週、安倍総理大臣に報告書を提出する予定で、歴史認識を巡って「反省」の必要性は指摘しつつ、意見が分かれた「侵略」や「謝罪」について「両論を併記すべき」という意見も踏まえ、表現の調整が進められています。