コラム:イエレンFRB議長、今回ばかりは「沈黙は金」か | Reuters
イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長はワイオミング州ジャクソンホールで週末に開かれる経済シンポジウムに出席しないことを、数カ月前に決めた。
透明性の向上を約束してきたFRBだが、議長は今回ばかりは市場と対話せず沈黙を守る機会を大いに享受するかもしれない。
投資家は突如として中国経済の減速が世界経済に及ぼす脅威に注目し始めた。中国株は急落を続け、中国人民銀行は25日、利下げと預金準備率の引き下げによってこれに対応した。
対照的に、西側諸国の中央銀行はFRBを先頭に利上げへと歩を進めてきた。市場が混乱を始める先週までは、9月16─17日に予定される次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)は利上げの好機だと見られていた。
今週末の時点では、イエレン議長が何を発言したところで、誰一人として満足させることはできないかもしれない。足元の相場動乱についてあまりに強い懸念を示し過ぎれば、ジャクソンホール会合への出席を突如として決断するのと同じくらい、弱気ムードを助長しかねない。懸念表明がなければ、専門家から慢心だと指摘されるだろう。インフレと金融政策という、シンポジウムの主要議題に絞って発言した場合には、世情からかけ離れた印象を与えかねない。
フィッシャー副議長は29日、ジャクソンホールでインフレについて話す予定だが、現下の市場動向に触れるのを避けることは副議長にとっては気安さが増す。イエレン議長はいずれにせよ、次回FOMCの後に記者会見を開く。会見の開催は透明性強化というFRBの使命の一環だ。しかし今後数週間だけは、旧来の不可解なFRBに戻るのが最良の道かもしれない。
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