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フォルクスワーゲン 不正ソフトは約1100万台に NHKニュース

この問題は、アメリ環境保護局が今月18日、フォルクスワーゲンが2008年からことしにかけてアメリカで販売したディーゼル車およそ50万台に、排ガス規制を逃れるため不正なソフトウエアを搭載していたと発表したのをきっかけに明らかになりました。
フォルクスワーゲンは不正があったことを認めて謝罪したうえで、内部調査を行っていましたが、22日に不正なソフトウエアが搭載されたディーゼル車はさらに多いことが分かったと発表しました。その中でフォルクスワーゲンは、大多数のディーゼル車についてはこのソフトによる影響はないものの、一部の車種については、排ガスのデータが、検査を受けたときと道路を走行したときとでは食い違いが生じる影響があり、その数は世界でおよそ1100万台に上るとしています。
アメリ環境保護局によりますと、このソフトウエアは車が試験場などで検査されるときは有害物質の量を大幅に減らすよう設定されていますが、車が道路を走行したときは実際には有害物質はほとんど減らず、最大で基準の40倍に上る窒素酸化物などを排出していたということです。
フォルクスワーゲンは、ソフトウエアを搭載している車両の改修などの費用としておよそ65億ユーロ(日本円でおよそ8700億円)を計上するとしていますが、ドイツの運輸当局が詳細な再検査に乗り出す方針を示しているほか、アメリカの司法省も刑事事件として捜査を始めたと伝えられています。

アメリカでは過去に、法律に違反したとして当局が自動車メーカーに巨額の制裁金を科したケースがあります。
アメリ環境保護局は2012年、韓国のヒョンデ自動車と傘下のキア自動車がアメリカで販売した一部の車について燃費を実際よりもよいように数値を水増ししていたと発表しました。両社は事実を認め、燃費の数値を修正したうえで車の購入者に一部を返金する対応を取りましたがその後も消費者の間で不信感は消えず、販売にも影響が出ました。さらに、アメリ環境保護局と司法省はおよそ120万台に不正があったとして、去年11月、両社に対して1億ドル、日本円でおよそ120億円の制裁金を科しました。
一方、今回不正が発覚したフォルクスワーゲンについて、アメリ環境保護局は、調査の結果によっては最大でおよそ180億ドル、日本円で2兆1600億円に上る制裁金を科すとしており、フォルクスワーゲンの経営が大きな痛手を受ける可能性が出ています。

フォルクスワーゲン・グループは、傘下にアウディやポルシェなど10を超えるブランドを抱え、ヨーロッパのほか、中国や南米など新興国でも高いシェアを握り、世界の大手自動車メーカーの中でも高い成長を続けています。
グループ全体のことし上半期の販売台数はおよそ504万台で、トヨタ自動車のグループを僅かに上回り、初めて世界トップに立ちました。
しかし、このところは中国経済の減速の影響を受けて販売が伸び悩み、1月から7月の販売台数では再びトヨタに首位を奪われています。
今回、アメリカで排ガス規制逃れの問題が発覚したことで、ブランドイメージの低下から販売に影響が出ることも予想されます。

ディーゼル車は長距離を高速で移動することが多いヨーロッパでは特に人気が高く、新車販売のおよそ半分を占めているといわれています。
ディーゼルエンジンはかつては窒素酸化物やススなど有害物質を多く出すことが問題となりましたが1990年代以降、各国が排ガス規制を強化したことを受けて、自動車メーカーは浄化機能を高めるなどエンジンの改良を進めた結果、燃費はガソリン車を上回るとされています。その中でも技術でリードしているのがフォルクスワーゲンBMWなどのドイツメーカーです。
日本メーカーはエコカーとしてハイブリッド車や電気自動車の開発に力を入れてきましたが、ドイツメーカーは排気量を小さくしたうえでターボを付けたディーゼルエンジンエコカーの本命と位置付けて開発を進めてきました。
高価なバッテリーを使うハイブリッド車などよりコストを安く抑えられることから市場の成長が続く新興国でもエコカーとして販売の拡大を目指してきました。今回、ディーゼルエンジンで規制逃れの不正が発覚したことはフォルクスワーゲンの経営戦略にも大きな影響を及ぼすとみられています。

フォルクスワーゲン不正 世界に影響広がる NHKニュース

この問題は、フォルクスワーゲンが、排ガス規制を逃れるため、ディーゼル車に不正なソフトウエアを搭載していたもので、フォルクスワーゲンによりますと、不正なソフトが実際に稼働する特定のエンジンを積んだ車両は、世界でおよそ1100万台に上っています。
不正の発覚を受けて、アメリカやドイツの当局は、フォルクスワーゲンに対する詳細な再検査などに乗り出していて、さらに、ドイツのメディアは、韓国やカナダ、それにスイスでもフォルクスワーゲンの車両に対する検査などが実施される見通しだと伝えています。また、フランスやイギリスが、EU=ヨーロッパ連合の域内で検査を実施するよう要請するなど、影響は世界的に広がっています。
ドイツ国内では、今回の不正が、フォルクスワーゲンだけでなく、環境先進国ドイツのイメージをも揺るがす事態になっていると受け止められています。今後は、会長をはじめとするフォルクスワーゲンの経営陣が、どこまで不正を把握していたのかが焦点となりそうです。

フォルクスワーゲンによる不正について、ドイツ市民の間では、ドイツのイメージが損なわれることへの懸念や怒りの声が聞かれました。このうち、50代の男性は「意図的に不正が行われ、『メード・イン・ジャーマニー』のブランドが大きく損なわれたことにぞっとする」と懸念を示していました。また、女性の1人は、「不正は排気ガスの濃度だけだったのか、それともほかの分野でも行われていたのか、見当もつきません」と不安そうに話していました。さらに、70代の男性は「1100万台もの車両で排ガス不正を行っていたというのは、極めて卑劣な行為だ。ドイツ経済やフォルクスワーゲンのイメージへの影響は計り知れない」と怒りをあらわにしていました。

自動車メーカーは、販売する国や地域ごとに当局が定める排ガス規制をクリアする必要があります。試験は車をローラーに乗せた状態で行われ、実際の走行を想定して高速道路を走る速度で数分間走らせたあとに、街なかでの運転のように発進や停止を繰り返すなど、あらかじめ決められた内容に沿ってデータを測定します。
アメリ環境保護局によりますと、フォルクスワーゲンのソフトウェアは、速度やエンジンの回転数などから試験が行われていることを検知し、その際にだけ排出される窒素酸化物などを浄化する機能をフルに作動させていたということです。そして実際に道路を走行する際は、走行性能を高めるため、浄化機能を低下させる設定をしていたということです。いわば「お受験」の時にだけ排出ガスを減らすこうしたソフトウェアは、アメリカでは機能を無効にするという意味から「デフィート・デバイス」と呼ばれ、法律で使用が禁止されています。

アメリ環境保護局は、去年5月、フォルクスワーゲンの走行中のディーゼル車から出た排ガスの数値が非常に高いという外部からの指摘を受けて、初めて問題を把握しました。フォルクスワーゲンは、当初、環境保護局に対し、技術的な問題や想定していない状況で運転したことが原因だとして、不正は無いと説明していました。しかし、その後に行った調査でも高い数値が出たことから、環境保護局が、適切な説明を受けないかぎり、新型のディーゼル車を承認しないとフォルクスワーゲン側に伝えたところ、一転して不正なソフトウェアの使用を認めたということです。
環境保護局は、フォルクスワーゲンが、排ガス規制に違反することを認識しながら、ソフトウェアを搭載したものとみて詳しい調査を進めています。一方、アメリカのメディアは、司法省が刑事責任の追及を視野に調査に乗り出したと伝えています。

この問題について、自動車の環境技術に詳しい自動車ジャーナリストの両角岳彦さんは、「ディーゼル車は、燃費がよくヨーロッパで主力の車だが、排ガスから有害物質を減らすのが難しいことから、厳しい規制に対応するため難しい開発を迫られていた。走行性と環境性能を両立させるために極端な対応をとってしまった結果、今回の問題につながった」と述べて、ディーゼル車の環境技術開発の難しさが問題の背景にあると指摘しています。
また、自動車業界への影響については、「フォルクスワーゲンのイメージは、悪化するかもしれないが、ディーゼル車は、ヨーロッパで広く受け入れられており、ユーザーの方向性が変わることはないだろう」と分析しています。そのうえで、「ほかのメーカーもディーゼル車の規制に対応するため苦労して開発を進めてきた。今回の問題を受けて、従来の開発方法の見直しを迫られるところもあるのではないか」と述べて、ほかのメーカーにも技術開発の面で、影響が広がる可能性があると指摘しています。
また、日本への影響については、「ディーゼル車の開発は、最近になって盛んになってきたので、まだ技術的な蓄積は少なく、今後の開発で他山の石にする必要がある。ヨーロッパのディーゼル車に部品を提供している日本の部品メーカーは少なく、大きな影響はないだろう」と述べて、今のところ直接的な影響は少ないという見方を示しています。