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 クルーグマン氏は11日に6日にIMF主催の会合で講演した際、「フォワドガイダンスは経済に極めて限定された参加者しかいない場合にのみ機能する」との見方を示した。さらに「無責任であることを信頼できる形で約束すれば、後は自動的に問題を解決できるという考え方は楽観的すぎる。そうなることはない」と話したそうである(WSJ)。


 クルーグマン氏は「将来において無責任な行動をとることを信用してもらう」ことが必要だとこれまで唱えてきた。つまり市場に対し、日銀が大胆な金融緩和に、より慎重にはならず、インフレ促進へ動くと信じ込ませるような驚きを与えるべきだと主張していたのである。


 「1998年にクルーグマン教授は非伝統的金融政策に関する理論モデルを構築し、流動性のわなへの処方箋を提示しました。具体的には、当時の日本経済がゼロ金利のもとでも需要不足にあることを指摘したうえで、デフレを克服するためには、金融政策によって、マネーサプライを大幅に増加させ、インフレ予想を高めることにより実質金利を十分にマイナスにする以外方法はないと主張しました」


 上記は2014年6月の日銀の黒田総裁の講演内容の一部である。その上で、「量的・質的金融緩和」の導入は、「クルーグマン教授およびウッドフォード教授やエガートソン氏による理論に共通するメカニズムを実践したものです」としている。


 つまり異次元緩和と呼ばれた大胆な金融緩和の発想元となっているクルーグマン教授が、自らその考え方が誤りであることを認めた格好となった。これは日銀にとっては事件とも言えよう。アベノミクスの背景にあるリフレ派の考え方をその教祖とも呼べる人が疑問視したのである。


 このクルーグマン氏の心変わりは、日銀の異次元緩和による物価への影響が出なかったことや、FRBQEも物価の上昇を促すことはなかったことで、壮大な社会実験の結果が出なかったことを認めた結果なのであろうか。


 ただし、FRBはすでに出口に向けて進み始めており、実験により行き過ぎた部分の修復を図ろうとしている。これに対し日銀は身動きができなくなっている状況にある。ここで日銀が追加緩和をしても成果が出るのかという疑問は残るが、少なくとも市場へのインパクトを考えての次の行動を取りたいのであれば、リフレ派の教祖といえる人物が考え方を改めた以上、日銀もリフレ的な政策を改めるべきかと思われる。政策目標を金利に戻すなりしてのフレキシブルな金融政策に変更すべきときが来ているのではなかろうか。


#リフレ