仏 州議会選挙の開票開始 極右政党6州でトップ NHKニュース
フランスでは、6日、国内17の州議会の議員選挙が全国一斉に行われ、比例代表で第1党になった政党に、州知事にあたる議長のポストが与えられます。選挙の管理を担うフランス内務省によりますと、開票率91%で、移民の排斥などを掲げる極右政党の国民戦線が6つの州で、オランド大統領の与党・社会党を中心とする左派連合などを抑えてトップになっています。
このうちルペン党首がみずからの名前を比例代表の候補者名簿の1位に載せている北部の州や、ルペン党首のめいが名簿の1位に名前を載せている南部の州では国民戦線の得票率が40%を超えていて、全体でも28.9%と最も高くなっています。
今回の選挙は2017年に行われる大統領選挙の前哨戦とも位置づけられていますが、左派連合がトップになっているのは2つの州にとどまるなど、与党が苦戦するなか国民戦線の躍進が目立っていて、難民や移民のヨーロッパへの流入に懸念の声が高まっていることが背景にあるものとみられます。
先月の同時テロ事件のあと急速に支持を広げている極右政党「国民戦線」のルペン党首も、比例代表の候補者名簿の1位にみずからの名前を載せている北部の州で1票を投じました。ルペン党首は記者団に対して「多くの有権者がわれわれに投票してくれると考えている」と述べ、党として初めて州レベルで第1党になることに自信を示しました。また、国民戦線への支持拡大で厳しい戦いを強いられている左派の与党「社会党」のオランド大統領や、右派の最大野党「共和党」のサルコジ前大統領もそれぞれの地元で投票しました。
ルペン党首はフランス北部の町で演説し「フランス国民が自分たちの気持ちを表現した結果、今、国民戦線がフランスで一番の政党になろうとしている」と述べました。そのうえで「これからは雇用の創出に加えて、今の生活を守り、伝統の価値を見いだす政治を行っていく。わが党はフランスで唯一、国と主権を守る政党だ」と述べ、フランス社会の一体性を守るため引き続き移民問題に取り組む一方、地域の雇用対策などにも力を入れていく姿勢を強調しました。
演説の会場では、ルペン党首がステージに姿を見せると集まった支持者が「マリーヌ、マリーヌ」と名前を連呼するなど熱狂に包まれていました。60歳の女性は「幸福感でいっぱいです。テロはフランスの外で起きるべきことであり、移民には出ていって欲しい」と話し、ルペン党首が移民対策をさらに強化することに期待を示しました。40歳の男性は「出口調査の結果を前向きに受け止めています。ルペン党首だけがずっと公約を変えずに来た候補者だ」と話していました。
仏 テロ後初の地方選 極右政党が一部州で急伸 NHKニュース
フランスでは6日、全国17の州議会の議員選挙が一斉に行われました。
フランス内務省によりますと、開票率98%で、各党の得票率は移民の排斥などを掲げる極右政党の国民戦線が28%でトップに立ち、サルコジ前大統領が率いる中道右派の共和党がおよそ27%、オランド大統領が率いる与党・社会党を中心とする左派連合は23%余りとなっています。
投票は比例代表方式で行われ、それぞれの州の第1党には州知事に当たる議長のポストが与えられます。しかし、今回の選挙ではいずれの州でも得票率が50%を超えた政党はなかったことから、今月13日に10%以上を得票した政党による決選投票が行われることになりました。
国民戦線は、これまで一度も州レベルで第1党になったことはありませんが、今回6つの州でトップになり、このうち2つの州では得票率が40%を超え、ほかの政党を大きく引き離していて、決選投票でも第1党になる可能性が出ています。
今回の選挙は2017年に行われる大統領選挙の前哨戦とも位置づけられていますが、同時テロを受けて、国内で難民や移民の流入に懸念が強まるなか、与党が苦戦を強いられる一方で国民戦線の躍進が目立つ結果となりました。
今回の選挙は、フランスの地方自治体の中で最も大きい「州」の議会議員を選出するものです。任期は6年で、前回は2010年3月に行われました。
来年1月から一部の州が統合されることから、選挙は今月に前倒しされ、本土の13州とレユニオン島など4つの島を加えた17の州で実施されています。
議席は比例代表方式で、各政党の得票率に応じて配分されますが、1回目の投票で50%を超える票を得た政党がない場合、規定に基づいて、得票率が10%以上の政党による決選投票が行われます。決選投票では50%を超える得票は必要なく、第1党になった政党には自動的に議席の4分の1が与えられます。そのうえで、残りの4分の3の議席が第1党も含め、5%以上の票を得た政党に対して得票率に応じて比例配分される仕組みになっています。
また、第1党の政党には、州知事に当たる議長のポストが与えられることから、フランスでは重要な選挙と位置づけられています。
今回の選挙について、国民戦線の動向に詳しいパリ政治学院のパスカル・ペリノー教授は、NHKのインタビューに応じました。
この中でペリノー教授は「ここ数年、右派のサルコジ前大統領と左派のオランド大統領が失業率や経済成長という点であらゆる試みを行ったが、状況は全く改善していないというのが国民の印象だ」と述べ、政治不信が国民戦線への支持拡大につながったと指摘しました。さらに、ペリノー教授は「ことし1月のパリの新聞社などへのテロに加えて、フランス国籍の移民が先月の同時テロ事件を引き起こしたことに、フランス社会は恐怖を感じている」として、相次ぐテロ事件を受けて、フランス国内で広がっている移民受け入れへの不安感も、国民戦線の躍進につながったという見方を示しました。
そのうえで、「国民戦線は不安感と移民の問題を重要なテーマとして取り上げ、この2つの世論の広がりに支えられている」と述べ、国民戦線が有権者の心理を巧みに利用して、支持を拡大させたと分析しました。