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コラム:米FRB、1年以内に再び利下げ迫られる事態も | Reuters

米連邦準備理事会(FRB)は、7年にわたる異例の超金融緩和局面を脱してそろりと利上げに踏み出した。だがこれだけ利上げに時間をかけてしまった後、比較的短期間で再び利下げする必要に迫られるかもしれない。すぐに政策を逆戻りさせることは書類手続き上では大した問題ではないだろうが、FRBの信認は大いに傷付くことになる。


ゴールドマン・サックスによると、米国内総生産(GDP)成長率は今年2.5%、来年は2.3%となる見込み。失業率は現在の5%からさらに低下する可能性がある一方、物価上昇率は2%を下回り続けるだろう。こうした動きはいずれも、完全雇用と物価安定というFRBの使命に合致する。ただイエレン議長や他の政策担当者は物価がもっと上がるのが望ましいと考えているだろう。


ところが経済データから導かれる経済状況は、特別にしっかりしたものではない。米経済を今後成長軌道から脱線させるいくつかの想定シナリオは、容易に想像できる。


その1つは、金融政策の方向性が米国と欧州、日本で違ってしまったことで、ドル高がさらに進行して米国の輸出が打撃を受ける展開だ。ドル高になれば、新興国からドル建て資産への大規模な資金流入という地殻変動が発生し、金融危機や複数のデフォルト(債務不履行)を招いて、国際金融資本市場を動揺させるだろう。


別のリスクとして、2008年の金融危機以降の景気回復とそれに伴う資産価格の上昇が急激に逆向きになることも挙げられる。サード・アベニュー・マネジメント傘下のファンドの清算を含めた高利回り債市場の混乱は、最悪の場合そうした大きな流れの兆しが早くも表れてきたとも考えられる。


また過激派組織「イスラム国」がパリ同時攻撃やカリフォルニア州の銃乱射、エジプト上空におけるロシア旅客機爆破に続いて新たな攻撃を仕掛ければ、米国をはじめとして世界的に人々の気持ちが萎縮し、観光や貿易の活動が低下しかねない。


こうした可能性の一部は既に経済見通しに織り込み済みだ。ゴールドマンの見立てでは、足元で1.10ドル前後のユーロ/ドル相場が来年末には0.85ドルまで下落するケースもあり得る。JPモルガンは、来年景気後退が訪れる確率は25%弱とみている。


ただし想定外の出来事が重なれば、見通しは変わってしまう。FRBが景気刺激に動く必要があると判断する事態になってもおかしくない。もっともそれまでに政策金利が1%程度までしか引き上げられていなければ、イエレン氏の使える利下げカードはそれほど多くはない。


それ以上に懸念されるのは、何年もかけてようやく利上げにこぎ着けたのに、あっという間にまた利下げすれば、FRBに対する風当たりが強まるという点だ。


来年の大統領選に出馬する共和党候補を含めた政治家は既にFRBの権限を抑制し、業務への監査を実施する意向を表明している。手の平を返すような政策運営は、そうした動きを加速させることになろう。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20151217#1450350169

#FRB #利上げ