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焦点:米FRB、ボルカー時代並み長く緩やかな利上げ局面へ突入 | Reuters

米連邦準備理事会(FRB)が16日の連邦公開市場委員会(FOMC)で開始した利上げ局面は、これまでの中で最も期間が長くペースが遅い部類に属するのは確実だ。ポール・ボルカー氏が議長を務めていた1980年代に匹敵するほど長引くかもしれない。


ボルカー氏は前任のアーサー・バーンズ氏からを含めて通算で4年超の期間を費やして着実に政策金利を引き上げ、物価と景気過熱の抑制に動いた。現イエレン議長の場合、経済環境はまったく異なる。物価上昇率は低く、7年に及んだ事実上のゼロ金利をようやく解除したFRBが狙うのは、金融政策の「正常化」だ。


ただ16日に公表されたFOMCメンバーの政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利見通しは、今回もボルカー氏が政策の舵取りをしていた30年前と同じぐらいの我慢強さが必要になることを示唆している。つまりイエレン氏は、借り入れや消費を引き続き後押しできるだけの「緩和的な」政策を2019年中まで維持しながら、利上げをしていくことになる。


イエレン氏が16日の会見で景気回復の先行きに自信を表明したのと対照的に、世界全体ではなお物価が下落し、成長も鈍いという状況に置かれている。こうした中でFRBが最も避けたいのは、欧州中央銀行(ECB)などが見舞われたような利上げしてすぐに再び利下げに追い込まれる事態だ。


HSBCのグローバル・チーフエコノミスト、ジャネット・ヘンリー氏は「重要な問題は米経済が結局、自らの景気回復を維持できるだけでなく、世界全体の成長や貿易を押し上げられるほどしっかりしているかどうかだ」と述べた。


もっともFRBは利上げを進めているので、そう判断できるまでには何年もかかってしまうだろう。


市場はFRBの見通しよりもさらに利上げペースが遅くなると予想している。


MFSのチーフエコノミスト、エリック・ウィースマン氏は「歴史的に見れば今の利上げは決して積極的とはいえない」と指摘した。


17日のユーロドル先物には、FF金利が来年末でも1%に届かないという投資家の見方が反映された。これはFOMCメンバーの見通し中央値の半分程度の水準だ。


コーナーストーン・マクロのエコノミスト、ロベルト・ペルリ氏は「今のところ、FRBは利上げをゆっくり進めるというのが基本シナリオだ」と語り、特に政策担当者が中立的なFF金利が下方シフトしている可能性を探りながらだけになおさらそうなるとしている。


中立的なFF金利は特定が難しいがFRBにとっては主な政策判断材料の1つ。下方シフトは、潜在成長力低下を意味し、FRBにとっては成長を抑制してしまうFF金利水準が切り下がり、利上げ余地が狭まることになる。


一部のエコノミストは、現在の中立的なFF金利はゼロからそう遠くない水準だと考えている。


<静かな抗議>


この中立的なFF金利水準こそ、イエレン氏や同氏に近い当局者が慎重に向かっていきたいとみなす目標地点であり、利上げをそこまでにとどめると約束することは、引き締めに懐疑的な他のFOMCメンバーを説得して今回の全会一致の利上げ決定を生み出した重要な要素とみられている。


それでもFOMCメンバーのうち2人は、今年末の「適切な」FF金利水準見通しをゼロ近辺に据え置くことで、静かな抗議の姿勢を見せた。この見通しは匿名だが、最近数週間にタルーロ理事とシカゴ地区連銀のエバンス総裁がともに来年のどこかの時点まで利上げを先送りすべきだと主張していた。


ほかにも、世界経済の成長低迷が物価や生産性などの根本的な変化を示しているとの懸念を抱き続けているメンバーも存在する。彼らはそうした事情が変わるまでは、次の利上げに抵抗するだろう。


FOMCの最タカ派メンバーでさえ緩やかな利上げを支持していることは、今回のFF金利見通しからも分かる。来年末のFF金利見通しの中央値は1.4%で、今後1年でほぼ100ベーシスポイント(bp)の利上げが想定されている。この中で17人中14人の予想がそれよりも低い。17年末の見通し中央値は2.4%で、さらに100bp上がることになる。


中立的なFF金利とみなされる3.5%に達するのは19年中だ。むろん、緩和モードの終了地点がそこだとしても、経済成長や物価の見通し次第では利上げがもっと先まで続いてもおかしくはない。過去3回の利上げ局面におけるFF金利のピークはそれぞれ6.0%と6.25%、5.25%だった。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20151217#1450350169

#FRB #利上げ