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現代日本で歴史の大学入試が抱える問題点 | nippon.com

いささか誇張して言えば、具体的な個別事象や名称や年代を無限に暗記し続ける勉強法だけを仕込まれ、複数の事象を「つなぐ」「くらべる」思考法GDPのような概念の意味や定義を問うことも学ばず、文章で説明する(論ずる)すべも身につけていない「難関大学受験生」がここにいる。これを「要点を論理的に説明できる」水準に持って行くのには、ひどく手間がかかる。しかし、知識を要約して説明できない者が自分の考えを組み立て、他人と討論することはできない。


専門教育の視点でも、そうした学生を「○○が好きだから研究する」「△△が解明されていないから論文を書く」といったナイーブな考えから卒業させて「意味のある問い」を立てさせ、さらに「何が言えたらその問いに答えたことになるか」を見きわめさせるまで指導するのは、簡単な作業ではない。

もともと受験勉強の優等生である大学教員が、専門家の視点から「このぐらい知っていて当然」と大局を考えずに出題する、膨大で細かい知識を問う入試問題が、高校生の世界史離れを加速したのは当然のことである。歴史学習(や文学、倫理などの学習)で「わかる」「面白い」「生きる力になる」という実感を持った経験のない大多数の大人たちの批判的視線の中で加速されている今日の大学人文系の危機は、そういう面では大学側の自業自得である。

筆者の勤務先では10年前から全国の高校・大学教員と協力して、主に内容面から新しい歴史教育のありかたを研究し、高校で世界史を体系的に学べなかった学生のための教養課程講義など、大学側の授業改革も進めてきた。昨年出版した大学教養課程用の教科書『市民のための世界史』(大阪大学出版会刊)はその成果である。


文部科学省が打ち出している、知識注入型でなく学習者が主体的に学ぶ「アクティブ・ラーニング」と、それを反映した新型入試を絵に描いた餅に終わらせないためにも、こうしたさまざまな動きを結びつけて、大学を含む教育現場を急速に変えていきたい。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20160122#1453459291

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