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沖縄戦訴訟 住民の訴え退ける判決 NHKニュース

太平洋戦争末期の昭和20年に行われた沖縄戦について、沖縄県などの住民79人は、平成24年、砲弾を受けて負傷したり家族が死亡したりしたのは、国が住民を保護する義務を怠ったのが原因だとして、国に賠償などを求める訴えを起こしました。
住民側は、3か月以上にわたり地上戦が続けられた結果、日米両軍の兵士を上回る沖縄県民が犠牲になるなど過去に例のない被害を受けたと主張したのに対し、国側は、被害から20年以上経過して賠償を請求できる権利が消滅しているなどと反論していました。
16日の判決で、那覇地方裁判所の鈴木博裁判長は「戦時中の明治憲法の下では国の責任を認める法律がなく、賠償を求めることができない」と指摘しました。そのうえで、「戦争に巻き込まれた被害者は多数に上り、財政事情がある中で誰に補償を行うのかを決めるのは国会に委ねられるべき事柄で、一般の戦争被害者に補償されていないことは不合理な差別とは認められない」として訴えを退けました。

先の大戦で負傷した人や亡くなった人の遺族に対し、国は法律に基づき障害年金や遺族年金などを支給しています。その対象は、軍人や旧日本軍によって戦地で雇用されていた軍属、それに旧日本軍に食料の提供などの協力をしていた戦闘参加者などの準軍属に限られ、民間人は対象になっていません。
背景にあるのが、いわゆる「受忍論」という考え方で、昭和55年に当時の厚生大臣の諮問機関が「戦争という非常事態の下で、国民が何らかの犠牲を余儀なくされたとしても、すべての国民がひとしく受忍しなければならない」などとする意見をまとめ、国は民間人には戦争被害の補償をしていません。
ただ、例外的に、国が民間人への救済を行っているケースもあります。広島と長崎に投下された原爆については、「放射線による健康被害は『特別の犠牲』だ」などとして、被爆者に対し、健康管理手当や医療費などが支給されています。また、中国残留孤児については「戦後の混乱の中で残留を余儀なくされ、高度経済成長の恩恵も受けられなかった」などとして、年金などを支給しています。