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アングル:変わる生保運用説明会、「高度化」アピールに金融庁の影 | ロイター

半期ごとに行われる大手生命保険会社による記者向け運用方針説明会が今年度から大きく変わった。各社とも新たな投資分野の開拓など「運用の高度化」をアピール。背景には、低金利下、運用収益の強化を迫る金融庁の強い要請があった。


「ミドルリスク・ミドルリターン分野への取り組み強化」(第一生命)、「インフラファンド投資態勢を構築」(日本生命)、「ポートフォリオを2つに区分し運用目的を明確化」(住友生命)──。先週から始まった今年度上期の運用計画説明会では、各社とも説明時間の半分以上を使って、運用の高度化への取り組みを紹介した。


説明資料も株や債券などへの投資計画を示した従来の簡素なものから、図表入りでプロジェクトファイナンスなどの案件概要や、運用人材の育成活動などを追加したものへと変わった。関係者は金融庁による強い要請があったと語る。


「来年度上期の運用方針説明会では高度化の取り組みを盛り込んでほしい」。昨年11月、2015年度下期の運用方針説明を終えた大手生保の担当者は、金融庁の幹部からこう伝えられた。


さらに今月、運用説明会の直前には、記者向け資料に目を通した同庁幹部から、もう少し内容を追加するよう指摘された生命保険会社もあるという。


金融庁がここまでこだわる背景には、昨年9月に発表した金融行政方針で、保険会社など金融機関の資産運用高度化を重点施策のひとつに掲げたことがある。


大手生保の関係者も一様に運用の高度化、特に専門人材の育成の必要性については認めるが、「アセットマネジメント会社と違い、規制でがんじがらめの生保の運用はやれることも限られている」との声も漏れてくる。また、記者向け運用説明会で、各社の取り組み公表を強く迫る金融庁の姿勢には、「行政方針に掲げた施策の成果をアピールしたい役所の事情もあるのでは」と違和感を口にする業界関係者もいる。


ただ、日銀のマイナス金利導入でイールドカーブ全体の低下がさらに進む中で、生保自身もこれまでの運用では予定した収益を上げることが困難になっている。長期にわたる低金利下で、うまく運用益をあげるためにさらなる工夫が求められるのも事実で、当局の強い姿勢に「要は生保は運用が下手だということ」と感じとった生保業界関係者もいる。