https://d1021.hatenadiary.com
http://d1021.hatenablog.com

「腐った大企業からは、早く転職しなさい」 | 競馬好きエコノミストの市場深読み劇場 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

山崎 元

東芝の「不適切会計」は組織犯罪と呼んでいいレベルだろう。

筆者が一番気になるのは、これらの「劣化企業」に勤める社員の身の振り方だ。

参考になるのは、北海道拓殖銀行、三洋証券、山一證券日本長期信用銀行日本債券信用銀行、などが破綻した1997年から1998年だろう。これらの破綻は、大まかには「バブル崩壊」による不良債権問題という逆風の環境によって起こったものだ。


他方、ここのところ話題になるエレクトロニクスや自動車の企業に関しては、世界的な競争環境の変化と国内市場における、淘汰の二つの環境要因が働いている。金融の問題は、バブルの生成と崩壊に伴う循環的な環境要因だったが、製造業の方はビジネスの競争環境そのものに起因する構造的なものなので、製造業企業の不振の方が回復の希望を持ちにくい面がある。社員は、率直に言って、将来に楽観できない。


筆者は、1997年の山一證券自主廃業発表の際に山一證券に在職していた。三洋証券、山一證券日本長期信用銀行と大手金融機関が破綻していく様子を身近に見ながら思ったのは、この種の大型破綻は、破綻企業に勤める社員にとって「人材市場に自分と似た人材が大量供給される」ことを意味するということだ。

当時の山一證券の人材にとって幸運だったのは、長銀よりも先に破綻して求職活動を行うことができたことだ。もちろん、業務によっても、個々の人によっても異なるのだが、一般的な人材に対する評判は「長銀の人の方が優秀だろう」というものだった。山一と長銀の潰れる順番が逆だったら、旧山一マンの求職活動はもっと大変だっただろう。

一般に退職金など制度は、自己都合で退職すると不利で、会社都合の場合に有利なので、踏ん切りが付きにくい場合があるが、再就職の不確実性のストレスや会社の状況悪化を心配するストレスを思うなら、満足できる転職先がある人は、転職市場の需給が悪化する前に転職を決めておく方が、トータルではいい場合が多いように思う。

一方、株式市場は、「腐った魚にも、腐ったなりの価値を評価して値が付くセリが行われる魚市場」のような大らかな市場である。「腐りすぎていて、関わりたくない」という参加者が多い場合にはお得な値段が付くかも知れないので、「腐った会社は売れ!」と一口には言いにくい。


あえて判断のコツをいうなら、「国が助ける」、「グループが支援する」という期待が世間にあるように見える時の「腐った企業」は、企業の実態と将来の可能性に対して、割高な株価になっている場合が多い。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20160507#1462618030
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20160507#1462618031
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20160429#1461926626