安倍総理大臣は、来週の伊勢志摩サミットに向けて、著名な経済学者などと意見を交わす会合を開いており、19日総理大臣官邸で、アメリカ・カリフォルニア大学バークレー校のクリスティーナ・ローマー教授夫妻を講師として招き、最後の会合を開きました。
この中で、安倍総理大臣は「伊勢志摩サミットまであと1週間となった。世界経済の為替リスクとぜい弱性が高まるなか、G7=主要7か国が世界経済の持続的かつ力強い成長をけん引するために、明確で力強いメッセージを出したい」と述べました。
これに対し、オバマ大統領に経済政策を助言する経済諮問委員会の委員長を務めていたクリスティーナ教授は「世界経済は重要な時期を迎えている」としたうえで、財政健全化は後ろ倒しにして、インフラや子育て支援などに絞って財政出動を行う重要性などを指摘しました。さらに「来年4月に消費税率を10%に引き上げる場合は、短期的な景気刺激策を組み合わせることで、経済へのネガティブな影響をある程度抑えることができるかもしれない」と述べました。
安倍総理大臣は、一連の会合で出された意見を踏まえて、伊勢志摩サミットに臨み、世界経済の持続的な成長に向けた力強いメッセージを打ち出すことを目指すことにしています。
首相 経済学者らとの意見交換終え消費増税判断へ | NHKニュース
国際金融経済分析会合は、安倍総理大臣が、伊勢志摩サミットに備え著名な経済学者などと意見を交わすことを目的に行われ、19日の最後の会合には、アメリカのオバマ大統領に経済政策を助言する、経済諮問委員会の委員長を務めていたカリフォルニア大学のクリスティーナ・ローマー教授らが講師として招かれました。
この中で、安倍総理大臣は「G7=主要7か国が、世界経済の持続的かつ力強い成長をけん引するために、明確で力強いメッセージを出したい」と述べました。これに対し、ローマー教授は、来年4月に消費税率を10%に引き上げる場合は、経済への影響を軽減するため財政出動を含む景気刺激策が必要だと指摘しました。
これまで7回にわたり開かれた会合では、世界経済への現状認識を巡り、緩やかながら安定的な成長が続いているという見方の一方、低迷しているという指摘も出されましたが、先行きについては、新興国経済の減速や資源価格の下落、イギリスがEU=ヨーロッパ連合から離脱する可能性など多くのリスクが指摘され、下振れへの懸念が相次ぎました。
そして、消費税率の引き上げについて、OECD=経済協力開発機構のグリア事務総長が、財政への信用を確保するため来年4月に引き上げるべきだという考えを示したほか、アメリカ・ハーバード大学のジョルゲンソン教授は、投資の喚起には、法人税減税の一方、消費税の増税が必要だと主張しました。
これに対し、ノーベル経済学賞を受賞したスティグリッツ氏とクルーグマン氏は、積極的な財政出動を行うとともに引き上げは避けるべきだという考えを示し、意見が分かれました。
安倍総理大臣は、消費税率の引き上げについて、世界経済の持続的な成長に向けて日本が果たすべき役割なども考慮し、来週の伊勢志摩サミットでの討議を踏まえ、最終的な判断を固めるものとみられます。