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南海トラフ 四国や東海の沖合で特にひずみ | NHKニュース

東海から西の太平洋にある南海トラフでは、陸側のプレートの下に海側プレートが沈み込んでひずみがたまり続け、過去に繰り返し巨大地震が発生しています。国は今後、30年以内にマグニチュード8から9の巨大地震が発生する確率が60%から70%としていますが、震源域が海底のため、どこでひずみがたまっているか詳しく分かっていませんでした。
海上保安庁は平成18年度から9年間かけて、南海トラフの15か所の海底にGPSの観測点を設置して海底の動きを直接調べ、どこにひずみがたまっているか解析を進めてきました。海側のプレートは年間におよそ6センチ沈み込んでいるとみられ、陸側のプレートの動きが大きいほど、プレートどうしの結びつきが強くひずみがたまっていることを示します。
その結果、四国の沖合や東海地方の遠州灘の沖合では、陸側のプレートは海側とほぼ同じ年間におよそ6センチずれ動き、特にひずみがたまっているほか、紀伊半島の周辺の沖合でも、年間およそ5センチとひずみがたまっていることが分かりました。このうち四国沖では、海側のプレートが沈み込み始めている浅い領域も含まれ、大きくずれ動くと高い津波が発生するおそれがあるとしています。
一方、宮崎県の沖合の日向灘では、陸側のプレートがずれ動く大きさは年間に3センチ前後で、体に揺れを感じないゆっくりとした地震によって、ひずみが解放されている可能性があるとしています。
調査を行った海上保安庁の横田裕輔さんは、「海底を直接観測することで、ぼんやりとしていた南海トラフのひずみがどこで蓄積されているかが詳しく分かってきた。将来の地震の起こり方を考えていくうえで重要な情報で、今後も観測を続けていきたい」と話しています。

政府の地震調査委員会の前の委員長で、東京工業大学の本蔵義守名誉教授は「これまでより解析結果の信頼度がはるかに高く、南海トラフでの巨大地震で発生する強い揺れや、津波の高さの予測がより正確なものになることが期待される」と話しています。
一方、過去の南海トラフの巨大地震はこれまで、四国沖から和歌山県南方沖を震源域とする「南海地震」、三重県南東沖から遠州灘震源域とする「東南海地震」、それに遠州灘から静岡県の内陸部を震源とする「東海地震」がそれぞれ起きたり、連動して起きたりしてきたと考えられています。今回の解析では、ひずみがたまっている領域は四国の南の沖合のごく浅いところまで広がっていたほか、東南海地震震源域ではひずみがたまっているところがまだらに分布し、東海地震震源域では沖合にひずみがたまっているなど、震源域ごとに特徴が異なる結果となりました。
本蔵名誉教授は今回の結果を受けて、「南海」「東南海」、それに「東海」という区分を前提としてきたこれまでの地震の想定について、今後、改めて検討が必要になると指摘したうえで、「今回は観測できていない領域もあり、今後、海底の観測点をさらに増やし、長期的に監視していくことが必要だ」と話しています。