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19日に投票が行われたイランの大統領選挙は、開票の結果、核開発問題で欧米などとの合意を結ぶなど、国際社会との対話路線を掲げてきたロウハニ大統領が、反米の保守強硬派のライシ前検事総長などを抑えて再選を果たしました。


これを受けてロウハニ大統領は、20日夜にテレビで演説し、「イランは国際社会との対話の中で生きていく道を選んだ」と述べ、国民の信任を得たとして、今後も対話路線を続けていく考えを強調しました。


その一方で、アメリカのトランプ大統領がイランと激しく対立するサウジアラビアを訪れて、イランへの圧力強化の姿勢を示したことについて、「イランは辱めを受けたり、脅しを受けたりするのを容認はしない。このメッセージを、周辺国や世界の大国はよく聞いてほしい」と述べて、けん制しました。


今回の大統領選挙では、経済制裁の解除を実現させたロウハニ大統領の穏健な外交姿勢が国民から支持された形となりましたが、トランプ政権の出方しだいでは、ロウハニ大統領もアメリカに対し、厳しい対応を取り、両国の対立が深まる可能性も出ています。

国際社会との対話路線の継続を訴えたロウハニ大統領が再選を果たした背景には、反米の保守強硬派が再び政権を担うことへの有権者の強い不安があったと見られます。


保守強硬派のアフマディネジャド前政権は核開発問題などをめぐって、アメリカと鋭く対立して厳しい経済制裁が科されたため、イランでは物価上昇率が一時40%に達するなど、国民の暮らしが急激に悪化しました。


今回の選挙で、ロウハニ大統領はアメリカなどとの核合意によって関連する経済制裁が解除され、経済状況が改善したことをアピールし、「二度とイランを孤立させない」などと訴えたことで、多くの有権者の心をつかんだものと見られます。


一方、反米の保守強硬派のライシ師は制裁が解除されても、国民の暮らしは悪化しているなどとして、貧困層への支援拡大などを訴えるとともに、最終盤には有力候補の一本化に成功し、追い上げを図りました。


しかし、アメリカのトランプ政権がイランへの圧力を強めようとする中、イラン側にも強硬派の大統領が誕生すれば、国際社会との対立が深まり再び庶民の暮らしを直撃するのではないかという有権者の不安を十分払拭(ふっしょく)できなかったものと見られます。


また、ライシ師は保守強硬派が音楽コンサートを反イスラム的だとして、何度も中止に追い込んだことなど、自由を制限する動きを強めてきたことが若者層の反感を招いてきたことも響いたものと見られます。

アメリカのティラーソン国務長官は20日、訪問先のサウジアラビアの首都リヤドで行った記者会見でコメントしました。
この中で、ティラーソン長官は「われわれは、ロウハニ大統領が次の任期中に、イランによるテロのネットワークを消滅させることを望む。中東地域を不安定にさせる勢力にイランが提供しているすべてのことをとりやめるよう求める」と述べました。
さらにティラーソン長官は「弾道ミサイルの発射もやめることを望む。イランが世界との関係を変えたいのであれば、ロウハニ大統領はこうしたことに取り組む必要がある」と述べるとともに、イラン国内の人権状況についても注視していく考えを示しました。

イランと激しく対立するサウジアラビアのジュベイル外相は20日、記者会見で、「イランはこれまで『われわれとよりよい関係を築きたい』と言ってきたが、ロウハニ大統領は言葉ではなく、行動で示す必要があり、これからの行動の内容によって評価する。われわれがどのような政策を進めるのかは、イラン側の行動次第だ」と述べロウハニ大統領を強くけん制しました。

EU=ヨーロッパ連合で外交と安全保障を担当するモゲリーニ上級代表は、自身のツイッターに「ロウハニ大統領が国民の負託を受けたことを祝福する」というメッセージを投稿し、国際社会との対話路線を掲げる大統領の再選を歓迎しました。
そのうえで「イランが核合意を守って、地域の平和に貢献し、国民の期待にも応えられるようEUは協力を続ける用意がある」として、イラン側が今後も核合意を着実に履行するよう求めました。

核開発をめぐる合意に加わったドイツは、ガブリエル外相が20日声明を出し、「この勝利は経済的、政治的に開かれた路線をイラン国民が幅広く支持していることを示している」と述べ、歓迎しました。
そのうえで、「ドイツはイランのパートナーとして、経済、科学、それに文化の分野で協力を深めていく」として、ロウハニ政権のイランとの間で経済関係などを強化していくことに期待を示しました。

ロシア大統領府によりますと、イランとともにシリアのアサド政権を支援する、ロシアのプーチン大統領は祝電を送りました。
この中で、プーチン大統領は「ロシアとイランの2国間関係と国際情勢をめぐって、今後も協力を深める用意がある。中東をはじめ、世界全体の安定と安全の維持に向けて協力していく」として、シリア情勢をめぐって協力を深める姿勢を示しました。

中国国営の中国中央テレビによりますと、習近平国家主席は、ロウハニ大統領に祝電を送り、この中で、「過去4年間、イランはロウハニ大統領の指導の下、経済発展を遂げてきた。両国関係の発展を非常に重視しており、今後も連携して、両国の全面的な戦略パートナーシップを発展させていきたい」と述べました。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20170520#1495277570