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18日に投票が行われたイランの大統領選挙は、司法府代表を務めるイスラム法学者で保守強硬派のライシ師が、得票率およそ62%で2位以下に大差をつけて当選しました。

ライシ師はことし8月に大統領に就任します。

反米・保守強硬派の政権が誕生するのは8年ぶりで、現在のロウハニ政権がとってきた欧米との対話路線が転換される見通しとなりました。

ライシ師は19日、ロウハニ大統領と会談したあと「国民から与えられた重い職責を果たすため全力を尽くしたい」と決意を語りました。

ライシ師は、最大の懸案の一つで、アメリカのトランプ前政権が一方的に離脱したイラン核合意について、合意を維持する意向を示しています。

一方で、アメリカに安易な譲歩はしないとも強調していることから、合意の立て直しに向けことし4月から続けられているアメリカとの間接協議に、どのような影響が出るのかが当面の焦点となります。

イランの友好国、ロシアのプーチン大統領は、ライシ師の当選を祝福するメッセージを送りました。

ロシア大統領府によりますと、このなかでプーチン大統領は「あなたの活動が建設的な2国間協力や、国際問題におけるパートナーシップのさらなる発展につながることを期待する。こうした協力は両国民の利益に完全に合致し、地域の安全と安定を強化することにもなる」としています。

イランを地域の大国として重視する、隣国トルコのエルドアン大統領は、当選したライシ師にメッセージを送り祝意を伝えたということです。

トルコ大統領府によりますと、この中でエルドアン大統領は「あなたが大統領の間に両国の協力が一層強化されると信じている。新型コロナウイルスパンデミックを乗り越えたあと、イランを訪問するのを楽しみにしている」としています。

イランと敵対するイスラエルの外務省は声明を発表し「誰が当選するか最高指導者が実質的に指示した結果、全有権者の50%にも満たないイラン国民が史上最も過激な大統領を誕生させた」と強く非難しました。

そのうえで、「イランの核計画は即座に停止し、完全に元に戻し、絶対的に止められなければならない」などと訴えました。

今月就任したイスラエルのベネット首相は演説で「イランの核武装を許さない。われわれは核合意のメンバーではなく、自由に行動を起こすことができる」と述べ、イランをけん制していて、激しく対立する両国の関係は、今後も緊張した状態が続くものとみられます。

反米の保守強硬派のライシ師は60歳。イスラムシーア派の聖地がある、東部マシュハド出身のイスラム法学者です。

イスラム体制の維持で重要な役割を果たしている司法府で検事総長などの要職を歴任したあと、2019年には最高指導者のハメネイ師に任命され、司法府代表に就任しました。

イスラム教の預言者ムハンマドの子孫にのみ着用が認められる黒いターバンを身につけていて、聖地マシュハドの宗教施設の管理責任者を務めていた時期もあります。

知名度の高いイスラム法学者として、宗教界をはじめとした保守強硬派から支持を集めていて、ことし82歳となる最高指導者ハメネイ師の後継候補の1人とも言われています。

前回、4年前の大統領選挙にも立候補しましたが、ロウハニ大統領が欧米などと核合意を結び、成果とする中で再選を果たし、ライシ師は敗れました。

ただその後、トランプ前政権が核合意から離脱して制裁を再開させる中でイラン経済は苦境に陥り、今回の選挙戦でライシ師は、ロウハニ政権が物価の高騰などをもたらしたとして厳しく批判しました。

現在、バイデン政権との間で立て直しに向けた間接協議が行われている核合意についてライシ師は「制裁の解除のために一刻もむだにしない」として、経済の回復に必要な役割を果たすかぎり、合意を維持する意向です。

そのうえで、「核合意をアメリカによる恐喝の手段にはさせない」として、アメリカからの過度な要求には応じない立場も示しています。

一方アメリカ政府は、司法府の幹部としてライシ師が1988年に、司法手続きを経ずに多くの政治犯に死刑の執行を命じたほか、2009年には反政府デモの弾圧に関わったとして、制裁対象にしています。

当面の焦点は、核合意の行方です。イランは現在、核合意を立て直そうと、トランプ前政権の外交政策を見直しているバイデン政権との間で、間接協議を行っています。

焦点の1つがイランに対する制裁の解除で、この点についてライシ師は、「抑圧的な制裁の解除のために一刻もむだにしない」と述べています。最高指導者のハメネイ師も同様の主張をしていることからも、即座に交渉をやめて、みずから合意を破棄するということはなさそうです。

ただ、「核合意をアメリカの脅しの道具にはさせないし、過度な要求を受け入れない」とも主張し、強気な姿勢も崩していません。譲歩や柔軟さを示さず、より硬直した外交姿勢になると予想する人もいます。

アメリカにしてみれば、ロウハニ政権よりは「組みにくい政権」になることは間違いなさそうで、将来的に緊張が再び高まる可能性もあります。

核合意が崩壊へと向かい、イランが核開発を強化する方向に向かうと、対立するアメリカ、イスラエルとの間で軍事的な緊張が高まります。

中東情勢が不安定化すれば、原油をこの地域に依存する日本にも影響が出ます。

新しい政権が今後、どのような外交政策を打ち出してくるのか注目です。

【世界が歓迎した核合意】
核合意は、イランが核開発を制限する見返りに、国際社会が制裁を解除するもので、2015年にイランと欧米、中国、ロシアとの間で結ばれました。

イランに核兵器を持たせないことを目的とした合意で、国際社会から歓迎する声があがりました。

【トランプ政権発足で合意停止】
その後、アメリカでトランプ政権が発足すると内容が不十分だとして、2018年、合意から離脱しイランに対する制裁を再開させ、イラン産原油を禁輸としたり、イランとの金融取り引きを禁止したりしました。
ヨーロッパ含め各国がアメリカの制裁対象になることをおそれてイランとのビジネスを控えたためイラン経済は、現地通貨の価値が、この4年間に6分に1に暴落するなど、深刻な影響を受けています。

【イラン側も対抗措置相次ぐ】
この制裁への対抗措置として、イランは核合意を破る形でウランの濃縮活動の強化などに乗り出しています。

ウランの濃縮度は、上限の3.67%を超えて、核兵器の製造に近づく60%に達しているほか、IAEA国際原子力機関による抜き打ち査察などの受け入れ停止も表明しています。

【米イラン協議再開】
ことし発足したバイデン政権は、トランプ前政権によるこれまでの強硬な対イラン政策を見直し、イラン核合意への復帰を目指しています。

このためアメリカとイランは、4月上旬から、オーストリアの首都ウィーンで、EUヨーロッパ連合などを介し、核合意の立て直しに向けた間接的な協議を行っています。

ただイラン側が、トランプ前政権時代に科されたすべての制裁の解除を求めているのに対し、アメリカ側は、「テロ支援」や「人権侵害」の名目で科した数百の制裁については解除しない方針を示し、双方の隔たりは埋まっていません。

各国は当初、選挙前の合意を目指していましたが隔たりが埋まらない中で協議は長期化しています。

18日に投票が行われたイランの大統領選挙は、司法府代表を務めるイスラム法学者で保守強硬派のライシ師が、得票率およそ62%で2位以下に大差をつけて当選しました。

これについて、イランと敵対するイスラエルのラピド外相は19日、ライシ師が国内の反体制派を弾圧してきたという主張を念頭に「イランの新たな大統領は、何千人ものイラン人の死の責任を負う過激な人物だ。核への野心と、国際的なテロリズムのキャンペーンに関与している」とツイッター上でライシ師を非難しました。

そのうえで、「今回の選挙結果で、イランの核開発計画を止め、その破滅的な野心に終止符を打つという決意を新たにすべきだ」と訴えて、改めてイランの核開発をけん制しました。

イラン核合意について、ライシ師は維持する意向を示していますが、アメリカに安易な譲歩はしないとして、強気な姿勢もみせています。

一方、イスラエルはそもそも核合意はイランの核開発を止めるには不十分だと主張していて、今月就任したベネット首相も「イランの核武装を許さない。われわれは核合意のメンバーではなく自由に行動を起こすことができる」と演説しており、イランとイスラエルの緊張状態は続く見通しです。

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