https://d1021.hatenadiary.com
http://d1021.hatenablog.com


トランプ大統領がことし1月20日に就任してから今月20日で半年となります。トランプ大統領は引き続きアメリカ第一主義を掲げ雇用の確保に向けて貿易協定の見直しなど貿易不均衡の是正を目指しているほか、地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」から脱退すると表明するなど公約の実現を図っています。


しかし、自由貿易や温暖化対策をめぐっては国際社会で孤立を深めているほか、オバマ前政権が導入した医療保険制度、いわゆるオバマケアの見直しは議会で野党・民主党に加え与党・共和党内からも反対意見が出て実現していません。


また、議会の承認が必要な560余りの主要な高官ポストのうち、トランプ政権で承認されたのはおよそ50人にとどまっていて、歴代政権と比べ大幅に遅れています。


さらに去年の大統領選挙中にトランプ大統領の長男がロシア人の弁護士と面会していたことが明らかになるなど、トランプ陣営とロシアとの関係をめぐる疑惑が絶えず、議会の調査や特別検察官による捜査が続いていて、就任から半年がたっても政権運営は安定しないままです。

トランプ大統領は就任当初から次々と大統領令に署名し、オバマ前政権からの政策転換を目指す姿勢を前面に打ち出すとともに大統領選挙で掲げた公約の実現を図ろうとしてきました。


このうちテロ対策のためとして出した中東やアフリカからの入国を制限する大統領令は人種差別的で憲法違反だと批判を受け、連邦地方裁判所の判断で執行が停止されました。しかし、連邦最高裁判所がトランプ政権の不服申し立てを部分的に認め、アメリカに家族が住む人などを除くという条件付きで執行されました。


また、トランプ大統領は先月、「国民との約束を守る」として地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」からの脱退を表明しました。トランプ大統領としてはアメリカ第一主義のもと環境問題よりも経済成長や雇用創出を優先する姿勢を鮮明にする狙いがあるものと見られますが、各国から批判が相次いだほか、アメリカ国内の企業などからも反発が出ています。


一方、トランプ大統領オバマ前政権が事実上の国民皆保険を目指して導入した医療保険制度、いわゆるオバマケアを見直すことを公約に掲げ、大統領令で指示したものの、オバマケアを撤廃し別の制度にかえる法案は成立していません。議会下院ではことし5月に法案が可決されたものの、上院では野党・民主党だけでなく与党・共和党の一部からも反対意見が出ていて、共和党の指導部は来週にも撤廃法案を採決したい考えですが、可決は困難と見られています。
これについてトランプ大統領は「失望している」などと述べ、不満をあらわにしています。


さらにトランプ大統領が不法移民対策として計画しているメキシコとの国境沿いの壁の建設は議会で予算が認められておらず、進んでいません。

政権発足から半年となりますが、トランプ政権の高官の人事は大幅に遅れています。


政権の人事についてまとめている市民団体によりますと、トランプ政権で議会の承認が必要な560余りの主要な高官ポストのうち、今月17日の時点で承認されたのは1割以下の49人にとどまっています。同じ時期の状況を歴代政権と比較すると、オバマ政権は203人、ブッシュ政権は185人、クリントン政権が206人で、トランプ政権の人事の遅れが目立ちます。


トランプ政権は野党・民主党が議会での審議に時間をかけて人事を妨害しているといらだちを強めていて、今月10日、声明を発表し、「民主党は国民の意に反して、前例のない妨害を行い、政府に損害を与えている」と激しく非難しています。


一方、政治専門サイト「ポリティコ」は、ホワイトハウスが大統領選挙でトランプ大統領を批判した人材の起用を拒否していることなどに不満を抱いたティラーソン国務長官が先月、ホワイトハウスに乗り込み人事を担当する高官と激しい口論になったと伝えました。
ティラーソン長官は記者団に「人事をもっと早く進めたい」と話すなど、懸念を示していて、人事の遅れが続けば、政権内部から不満が噴出することも予想されます。


トランプ政権はことし5月に公表した政府の要求を示す予算教書で、4年後の2021年以降はGDP=国内総生産の伸び率で3%の成長を達成すると掲げています。
ただ、これについてFRB連邦準備制度理事会のイエレン議長が「極めて難しいと思う」と述べたほか、IMF国際通貨基金も極めて楽観的だとするなど、懐疑的な見方が増えています。

トランプ大統領は雇用の創出と貿易赤字の削減に向け、通商政策では積極的に手を打っています。


TPP=環太平洋パートナーシップ協定から離脱したあと、2国間の貿易協定の締結を目指すとして、日本との間では日米経済対話を設けました。日本とはFTA=自由貿易協定の交渉入りに意欲を示していて、農作物の市場開放や自動車市場に存在するとしている非関税障壁の撤廃などを求める方針です。


また、来月16日からメキシコやカナダとNAFTA=北米自由貿易協定の再交渉を始めるほか、先月の米韓首脳会談のあと韓国に対し一方的に書簡を送り、韓国とのFTAをめぐっても、見直しのため再交渉のテーブルにつくよう求めました。


こうした既存の貿易協定については、思いどおりに進まなければ、離脱の可能性をちらつかせ、アメリカの主張を受け入れさせようとしています。


さらにトランプ政権は安全保障への脅威を理由に、安い鉄鋼やアルミ製品の輸入を制限する異例の措置の発動を検討しています。多額の貿易赤字を抱える中国などを念頭に、大統領権限で関税の引き上げなどに踏み切る構えを見せています。トランプ政権が国益を最優先にする保護主義的な姿勢をさらに強めていることに、各国の懸念が高まっています。

一方、国内の経済政策は思うように進んでいません。
税制改革をめぐってはことし4月の段階で、法人税率を35%から15%に、個人の所得税最高税率を39.6%から35%にそれぞれ引き下げるとともに相続税を廃止する方針を示していました。
ただ、具体的な税制改革の制度設計では政府と議会のあいだで、減税先行で財源確保に懸念があるなどとして調整が難航しており、当初、先月までに示されることになっていた具体案は今も明らかになっていません。

トランプ大統領は10年間でインフラ投資に1兆ドル、110兆円余りを投じると訴えてきました。しかし、5月に公表した予算教書では政府の支出は10年間で20兆円余り。民間投資と合わせて110兆円余りを目指すとしていますが、政府と民間がどのように連携していくのか、明確になっていません。


トランプ大統領は就任後初めてイギリスのメイ首相と会談したのに続いて2月には安倍総理大臣を南部フロリダ州の自身の別荘に招き、ゴルフなどをしながら意見を交わし日米同盟を重視することを確認しました。
今月にはフランスを訪問し、マクロン大統領と会談するなど、首脳外交を活発に繰り広げています。

大きな関心を集めたのがロシアとの関係です。
オバマ前政権ではウクライナ情勢やシリア情勢をめぐってロシアと激しく対立し、両国の関係は冷戦後最悪となりました。
これに対し、トランプ大統領はシリアでの過激派組織IS=イスラミックステート対策などでロシアの協力が必要だとして今月にはプーチン大統領と初めての首脳会談を行うなど関係改善を目指しています。
しかし、ロシアが去年の大統領選挙に干渉したなどとされるいわゆる「ロシア疑惑」をめぐり、批判や捜査が続く中、関係改善が進むかどうかは不透明です。

アメリカでも急速に関心が高まっているのが北朝鮮の脅威です。
相次ぐ弾道ミサイルの発射を受けて北朝鮮に対する圧力を強める姿勢を強調していた中の今月4日、北朝鮮ICBM大陸間弾道ミサイルの発射実験に成功したと発表。アメリカに到達する核ミサイルはアメリカにとって最大の懸念で、トランプ大統領北朝鮮に核・ミサイル開発を放棄させるため日本や韓国と連携し、北朝鮮に圧力をかけていく方針です。


また、軍事攻撃の可能性についても排除しておらず、北朝鮮が軍事的な挑発を続ければ緊張は一層高まることになります。

その北朝鮮をめぐりアメリカが鍵を握ると考えているのが中国です。
トランプ大統領は就任前、アメリカの歴代政権が続けてきた「1つの中国」の政策を見直すことを示唆したことなどで中国の反発を招きました。しかし、その後、「1つの中国」政策を尊重する考えを示したことで関係は改善に向かい、4月には習近平国家主席と初めての首脳会談を行いました。


一方で、北朝鮮への対応をめぐり、トランプ大統領は中国に対してさらなる圧力を促していますが、中国側は圧力よりも対話を行うべきだと主張しており双方の間では隔たりが浮き彫りになっています。

中東では4月、シリアのアサド政権が市民に化学兵器を使用したとして突然、軍事施設に対してミサイルでの攻撃に踏み切り世界に衝撃を与えました。


5月には初の外国訪問として中東を選び、サウジアラビアイスラエルといった伝統的な同盟国との関係を重視する一方、核合意によってオバマ前政権が距離を縮めたイランとは対決姿勢を示しました。


今月にはISのイラク最大の拠点モスルが解放され、IS対策を最優先課題の1つと掲げるトランプ大統領としても成果を強調していますが、ISの壊滅には程遠いのが実情です。


アメリカのトランプ大統領はことし5月、過去の大統領選挙で不正がなかったか調査する委員会の設置を命じる大統領令に署名し、19日、初めての公式な会合が開かれました。会合に姿を見せたトランプ大統領は「不正投票は常に行われ、民主主義をないがしろにしている」と述べ、徹底した調査を求めました。


一方、メディアはトランプ大統領が去年の大統領選挙で民主党クリントン氏の得票総数が自身を上回ったのは、数百万人の不法移民が不正に投票したためだと繰り返し主張していたことから「大統領がみずからの主張を裏付けるための結論ありきの委員会だ」などと批判しています。


委員会では有権者登録している人の名前や住所といった個人情報を各州政府に提供するよう求めていますが「不正はない」などとして情報の提供を拒否している州が相次いでいるほか、市民団体もプライバシーの侵害に当たるとして訴訟を起こすなど反発する動きが出ています。


これはトランプ大統領アメリカの新聞ニューヨーク・タイムズのインタビューに対して述べたものです。この中でトランプ大統領は、去年の大統領選挙でのトランプ陣営とロシアとの関係をめぐる疑惑について、選挙期間中トランプ氏を支えてきたセッションズ司法長官がことし3月に疑惑の捜査には関与しないと表明したことに言及し「長官の職を受けておきながら捜査に関与しないなんてありえない」と批判しました。


さらに「もし彼が職を受ける前に関与しないと言っていれば『君にはこの職を与えない』と伝えた。彼の行為は大統領に対してとてもずるい。そう表現しても生ぬるい」と憤りをあらわにしました。また、トランプ大統領は疑惑の捜査にあたる特別検察官を任命したローゼンスタイン司法副長官を批判したほか、特別検察官に就任したFBIのモラー元長官についても、適任者かどうか疑問を呈すなど疑惑をめぐる現状に不満をぶちまけました。


ニューヨーク・タイムズは「およそ50分のインタビューの間、ロシア疑惑の話が中心で引き続きトランプ政権の頭痛の種になっている」と伝えています。


トランプ政権は中東など6か国の人の入国を制限する大統領令について先月、両親や配偶者、それに子どもなど「近い家族」がアメリカにいる人などについては入国を制限しない形で執行しましたが、祖父母や孫などがアメリカにいる場合については入国を認めないとしています。


これに対し、ハワイ州の連邦地方裁判所は13日「『近い家族』には祖父母や孫なども含まれるべきだ」として範囲を広げるよう命じたため、政権側はこれを不服としてこれらの人々についても入国を制限するよう連邦最高裁に申し立てていました。


この申し立てについて連邦最高裁は19日、政権側の主張を退け、祖父母や孫などがいる人も入国を認める判断をしました。


中東などからの入国を制限する大統領令イスラム教徒を狙った差別的なものだとして反発が国内外で広がるなど批判が続いています。この大統領令を巡っては連邦最高裁がそもそも入国を制限することが妥当なのかどうかなどについてことし10月以降に審理するとしています。