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文章執筆に時間がかかる最大の理由は、「ゼロから文章を作ろうとするから」なのです。


ちなみに、『超スピード文章術』で私が定義している、ビジネスで用いる文章における「素材」とは、「独自の事実」「エピソード」「数字」です。つまり、読み手に「これを伝えたい!」という内容そのものを指しています。


文章執筆を、ビルとか家とか、建築物を作るようなものだと考えてみてください。鉄筋、木材、窓、ドアノブ、水道管……。建築物は、無数の材料から成り立っています。


仮に、あなたが1人で家を建てるとして、直前になって、それらの材料を一から集めるところから始めようとしたら、膨大な時間がかかるでしょう。事前にどんな材料が必要なのかがわかっていて、その材料が目の前にそろっているからこそ、納期通りに建築工事を終えることができるのです。


文章も同じです。ゼロから書くから結果的におっくうになる。時間がかかる。書く内容がわかっていれば、つまり「素材」が準備できていれば、速く書けるのです。

私が、ブックライターとして一番重視しているのは、書く前の準備。つまり「取材」です。


取材とは「素材を集めること」であり、「聞く仕事」です。取材でどんな素材を集められるかによって、原稿のクオリティが決まります。


いい素材が手に入らなければ、絶対に、いい文章は書けません。


たとえば、記者がなぜ取材するのかといえば、文章の素材を獲得するためです。日常的な記者発表記事からスクープ記事まで、彼らは、足を使って常に素材を集めています。


そして記者たちは、素材がそろった瞬間に記事を書き始めます。特に1分1秒を争うスクープ記事の場合には、いかに速く書き終えてリリースするかが他社との勝敗を分けます。十分な素材を集めたとき、いわゆる「裏が取れた」とデスクが判断したとき、記者は猛スピードで記事を書き上げます。

私も、素材がなければ文章は書けません。もっと言えば、書きません。ライターなのだから何でも書けるだろう、と思われがちですが、そんなことはない。文章を書くことが決まったら、まずやるのは素材を探すことです。

そういうことを、すべてスマホにメモしておいたのです。


それが、そのまま感想文の素材になります。そのメモをベースに書いていくだけ。


家に戻ってから「何が印象に残ったんだっけ?」と、あとから思い出そうとするから悩むし、時間がかかる。


素材があれば、少なくとも「何を書けばいいかわからない」という悩みは消えます。


私が特別なのではありません。「文章を速く書ける人」がやっているのは、要するにそういうことだと思っています。