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5日から日本や韓国、そして中国などアジア5か国を歴訪するトランプ大統領は3日までに、アメリカのFOXテレビの番組「ザ・イングラム・アングル」のインタビューに応じました。


この中でトランプ大統領は、「われわれは北朝鮮という非常に大きな問題を抱えている。日本は北朝鮮と距離がとても近く、懸念を抱くのは当然だ」と述べて、核・ミサイル開発を続ける北朝鮮は、同盟国・日本にとって大きな脅威であるとの認識を強調しました。


そして、「中国やその他の国々に対し、北朝鮮との関係を今のまま放置すれば、日本との間で大きな問題を抱えることになると伝える」と述べて、歴訪中、北朝鮮の後ろ盾となっている中国や、各国に対し、北朝鮮への圧力強化に向けて協力を求める考えを示しました。


また、トランプ大統領は、「ロシアのプーチン大統領北朝鮮問題でわれわれを助けることができるかもしれず、非常に重要だ」と述べて、事態の打開にはロシアの協力も欠かせないとして歴訪中に出席する国際会議の場で首脳会談を行って北朝鮮への対応を協議したい意向を示しました。


トランプ大統領は、核・ミサイル開発を加速させる北朝鮮に対して「あらゆる選択肢がテーブルの上にある」と強調し軍事的な選択肢を排除しない姿勢を繰り返し示しています。


そして、北朝鮮に核・ミサイル開発を放棄させるため、最大限の圧力をかけることで国際社会に結束を呼びかけています。


トランプ大統領は、ことし9月の初めての国連総会の演説で、「自国や同盟国を守らざるを得ないなら、北朝鮮を完全に壊滅する以外、選択肢はなくなる」と述べ、強い警告を発しました。


さらに、キム・ジョンウン金正恩朝鮮労働党委員長を「小さなロケットマン」などと繰り返しやゆし、これに北朝鮮側が強く反発するなど、米朝の間で非難の応酬が続いています。


一方、トランプ大統領は、かつてはキム委員長との対話に前向きな姿勢を見せたこともありましたが、ことし9月、ティラーソン国務長官北朝鮮接触していることを明らかにした際には、みずからのツイッターに「時間のむだだ」と投稿し、北朝鮮との交渉に否定的な考えを示しています。


さらに、トランプ大統領は、国連総会の演説で日本人の拉致問題にも言及し北朝鮮を強く非難しています。今回の日本訪問では、拉致被害者の家族と面会する予定で、横田めぐみさんの家族などが参加する見通しです。


また、日本の次に訪れる韓国では、北朝鮮政策をめぐり韓国の国会で演説するほか、アメリカ軍が駐留する基地を視察する見通しで、同盟国を防衛する決意を強調すると見られます。


そして、一連の訪問のなかで、北朝鮮への対応を巡って鍵を握るのがトランプ大統領と中国の習近平国家主席との首脳会談です。トランプ大統領は、北朝鮮に最大限の圧力をかける上で、北朝鮮の最大の貿易相手国で、原油も供給している中国との協力関係を重視しています。


トランプ大統領は、中国が北朝鮮への石油の精製品の輸出を制限することなどを盛り込んだ国連の安全保障理事会の制裁決議に賛成するなど、一定の協力姿勢を見せていると評価しています。ただ、トランプ大統領は、北朝鮮に方針転換を強いる圧力としては十分ではないとの考えを示していて、中国に決定的な役割を果たすよう改めて促すものと見られます。


中国の訪問後、トランプ大統領は、国際会議が開かれるベトナムとフィリピンを相次いで訪れる予定で、北朝鮮と外交、経済関係を維持する東南アジアの国々に対しても協力を求めると見られます。


一方、アメリカ軍は、北朝鮮情勢への対応にあたっている第7艦隊の管轄海域に、空母3隻を投入したほか、今月からは、最新鋭のステルス戦闘機F35を沖縄の嘉手納基地に展開させる予定で、トランプ大統領によるアジア歴訪に向けて北朝鮮への圧力を強める狙いもあると見られます。


今回の一連の訪問では、北朝鮮の核・ミサイル開発の問題への対応が、最大の焦点となる見通しで、トランプ大統領が、解決に向けた糸口を見いだせるか注目されます。

トランプ大統領は、去年の大統領選挙中、日本に対しても強硬な発言を繰り返しました。日米安全保障条約について「アメリカが攻撃されても日本は何もしないが、日本が攻撃されたらアメリカは駆けつけなければならず、不公平だ」と指摘し、「再交渉したい」と述べました。


また、「防衛のための公平な費用を負担しなければアメリカが日本を守ることはできない」と述べ、在日アメリカ軍の駐留経費の負担を大幅に増やすべきだと主張しました。


さらに、「アメリカは強い軍事力を持った裕福な国だったが、もはやそうではない」と述べ、日本が負担を増やさなければ在日アメリカ軍を撤退させる可能性にまで言及しました。


一方で、選挙後はこうした発言をすることはなくなりました。ことし2月に行われた就任後初めての日米首脳会談のあとの共同記者会見では「日米同盟は平和と安定の礎だ」と強調し、「われわれの軍を受け入れてくれていることについて日本の人々に感謝したい」と述べて、日本の貢献を高く評価し、駐留経費の負担の増額を求める考えは示しませんでした。


また、「日本の施政下にあるすべての領域の安全に関与していく」と述べ、沖縄県尖閣諸島についても日米安全保障条約に基づいて、アメリカの防衛義務を果たしていく考えを表明しました。


さらに、日米首脳会談では、アメリカが核戦力を含む軍事力で日本を守る「拡大抑止」を引き続き提供することを確認するなど、日米同盟を重視する姿勢を強調しています。

経済分野では、トランプ政権内に日米2国間のFTA=自由貿易協定を交渉すべきだという意見がある中、トランプ大統領が日本との間で抱える貿易赤字の削減に向けて、具体的な要求を示すのかが、焦点です。


トランプ政権は、多国間の枠組みよりも自国の要求を通しやすい2国間の貿易交渉を進め、アメリカの貿易赤字を削減して輸出を増やし、雇用を創出したい考えです。


アメリカが日本との間で抱える貿易赤字は、689億ドル、およそ7兆円と中国に次いで2番目に多く、先月16日にワシントンで開かれた2回目の日米経済対話で、ペンス副大統領は、日本とのFTA交渉に改めて強い関心を示しました。


トランプ政権は、日本が農作物にかけている関税の引き下げや、自動車分野に存在するとしている非関税障壁の撤廃に関心を持っています。
ただ、アメリカは、NAFTA=北米自由貿易協定について、メキシコやカナダとの再交渉が難航していることや、最大の貿易赤字を抱える中国に対し、知的財産の侵害などをめぐって、制裁措置を一方的に発動できる通商法301条に基づく調査に着手するなど、多くの通商問題を抱えています。


オバマ前政権で、通商代表を務めたフロマン氏は、NHKのインタビューで、トランプ政権にとってはNAFTAや中国などとの再交渉のほうが優先順位が高いという認識を示し「近く、日本とFTAの交渉に入るかどうかはわからない」と述べています。


日本としても、アジア太平洋の貿易自由化では、トランプ政権に対しTPPで合意した多国間の枠組みに戻るよう粘り強く働きかける考えです。通商交渉をめぐって、日米の考えや思惑に隔たりがある中、トランプ大統領安倍総理大臣との首脳会談で、日本の貿易赤字についても削減に向けて具体的な要求を示すのかが、焦点です。