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アメリカと中国は先週の閣僚級の貿易交渉で折り合いがつかず、トランプ政権は、中国からのほぼすべての輸入品の関税を引き上げる手続きに入っています。

これを受けて中国外務省の耿爽報道官は、15日の記者会見でアメリカは独断専行で貿易戦争をしかけ、中国が誠意をもって交渉しても双方の共通認識に反して追加関税を仕掛けた」と述べました。

そして「誰が関税合戦という悪例を作って自由貿易のルールを壊し、世界経済の成長を妨げるリスクを生じさせているのか国際社会は知っている」と述べ、アメリカの対応を改めて批判しました。

そのうえでアメリカは現状を正しく認識し、正常な軌道に戻って歩み寄ることを期待する」と主張しました。

中国では閣僚級の貿易交渉が不調に終わったあと、国営メディアなどが連日にわたってアメリカを批判する報道を続けていて、圧力を強めるアメリカへの対決姿勢を強めています。

ホワイトハウスは、トランプ大統領が15日、情報通信インフラに脅威を与える非常事態だとして、安全保障の観点からリスクがある企業との取り引きを禁じる大統領令に署名したと発表しました。

これは、中国の通信機器大手、ファーウェイなどの排除を念頭においていると見られます。ホワイトハウスは発表の中で「トランプ大統領は、アメリカの情報通信インフラの脆弱性につけ込もうとしている外国の敵対者から、アメリカを守るため、必要な対策をとる」とコメントしています。

去年12月には、アメリカの要請を受けて、ファーウェイの孟晩舟副会長がカナダで逮捕されたほか、中国との間では、追加関税の応酬が激しくなっていて、米中両国の対立はさらに深まりそうです。

ただ、アメリカの地方の通信会社の間では、コストが抑えられるとして、ファーウェイの通信機器を使用しているケースもあり、米中の対立が経済に与える影響を懸念する声も上がっています。

アメリカの商務省は、日本など各国から輸入される自動車や関連部品がアメリカの自動車産業に与える影響や、高い関税の上乗せの是非について報告書をまとめ、ことし2月にトランプ大統領に提出しました。

報告書の内容は公表されていませんが、商務省は、関税の上乗せを含む輸入制限措置が必要だと、勧告しているものとみられ、トランプ大統領は今月18日までに関税の上乗せの是非を判断することになっています。

これについて、アメリカの複数のメディアは、15日、関係者の話として、トランプ政権は、関税上乗せの是非をめぐる判断を最大で半年間、先送りする計画だと伝えました。

トランプ政権は、これまで、日本やEU=ヨーロッパ連合に対しては新たな貿易協定の締結に向けて交渉を行っている間は、関税上乗せ措置の発動は棚上げするとしています。

ただ、交渉の内容に満足できなければ、自動車への関税上乗せをちらつかせてアメリカへの輸入台数に上限を設けるよう求めるなど、厳しい要求をつきつけて来ることも予想されます。

米中の貿易交渉が難航する中、アメリカは今月10日、中国からの2000億ドル分の輸入品に上乗せする関税を25%に引きあげたのに対して、中国も報復措置として来月1日、アメリカからの600億ドル分の輸入品に上乗せする関税を最大で25%に引きあげるとして追加関税の応酬が激しくなっています。

アメリカのムニューシン財務長官は15日、議会上院の委員会で、「中国との協議を継続するため、近い将来、北京を訪問する可能性が高い」と述べ、具体的な日程はまだ決まっていないものの、閣僚級の交渉を再開するという見通しを示しました。

しかし、ムニューシン長官は、交渉で合意に達するためには、「まだ、多くの作業が残っている」と述べ、双方の主張に大きな隔たりがあるという認識を示しました。

トランプ政権は、中国に歩み寄りを促すため、高い関税の上乗せの対象を中国からのほぼすべての輸入品に拡大する手続きを進めています。

この手続きは、トランプ大統領が来月下旬の開催に意欲を示す、習近平国家主席との首脳会談の前にも整う見通しで、閣僚級の交渉などを通して深刻な対立を解消できるのか注目されます。

トランプ政権はアメリカの自動車産業を守るため、日本やヨーロッパなどからアメリカに輸出される自動車や部品に高い関税をかける措置を実施するかどうか、今月18日までに判断することになっています。

これについて、アメリカの複数のメディアは、トランプ大統領は、判断を最大で半年間、先送りする方針だと伝えました。

しかし、トランプ大統領は、判断は先送りする一方、日本やEU=ヨーロッパ連合に、アメリカへの輸出台数を制限させる対策を求める大統領令を出すことを検討していると、アメリカのメディア、ブルームバーグが伝えました。

トランプ政権は日本やEUと貿易協定の交渉を続けている間は、自動車への関税上乗せを見送ることを表明してきましたが、それに代わる自動車の輸出台数の制限には日本、EUともに強く反対する考えで、今後の貿易交渉の焦点になる可能性があります。

フィリピンの沿岸警備隊はフィリピンと中国が領有権を主張し、中国が実効支配する南シナ海スカボロー礁の周辺で14日、アメリカの沿岸警備隊と合同演習を行ったと発表しました。

スカボロー礁の周辺でフィリピンとアメリカが合同演習を行うのは、これが初めてだということです。

演習は、沈没した客船から乗客を救助するなどの想定で行われ、双方合わせて3隻の巡視船が参加したとしています。

演習が行われていた際には、中国海警局の艦船2隻がこの演習を監視し、このうち1隻は、フィリピンの巡視船におよそ5キロの距離まで接近したものの直接、演習を妨害するような動きはなかったということです。

フィリピンのドゥテルテ大統領は、当初、中国からの経済支援を重視し、南シナ海の問題を棚上げにする姿勢を示していましたが、国内の批判が高まる中で先月には習近平国家主席に対して中国の主張を否定した国際的な仲裁裁判の判断を尊重するよう直接、求めています。

さらに先月、アメリカ軍と離島の奪還訓練を行ったほか、今月にはアメリカ、日本、インドと4か国で南シナ海での共同訓練を初めて行うなど、軍事面でも厳しい姿勢を見せるようになっていて、今回の訓練でも中国を強くけん制することになりました。

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中国では、いずれもカナダ人で休職中の外交官のマイケル・コブリグ氏と、北朝鮮とのビジネスなどを行っているマイケル・スパバ氏が去年12月、スパイ行為などを取り締まる情報機関に拘束されました。

2人は中国の通信機器大手、ファーウェイの孟晩舟副会長がアメリカの要請でカナダ当局に逮捕された直後に相次いで拘束されていて、報復措置ではないかという見方が広がっています。

2人について、中国外務省の陸慷報道官は16日の記者会見で、コブリグ氏は国家の秘密や情報を探った疑いがあり、スパバ氏も国家の秘密を盗み提供した疑いがあるとして、16日までに正式に逮捕されたことを明らかにしました。

そのうえで陸報道官は「カナダが中国の法治についてや法に基づき事件を処理することについて、とやかく批判しないよう望む」と述べて、釈放を求めるカナダ政府をけん制しました。

カナダの裁判所では、孟副会長の身柄をアメリカに引き渡すかを判断する審理の準備手続きが進められていて、中国としては、孟副会長を無条件で釈放するようカナダ政府に圧力をかけるねらいもあるとみられます。

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