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他人にわいせつな行為をしても性的な欲望を満たす目的でなければ強制わいせつの罪は成立しないという判例について、最高裁判所大法廷は「被害の有無や内容に目を向けるべきで、行為の目的を一律に要件とすべきではない」という判断を示し、47年前の判例を変更しました。


強制わいせつの罪は「暴行または脅迫を用いてわいせつな行為をした者」が罪に問われますが、昭和45年の判例最高裁判所は「性的な欲望を満たす目的でなければ罪は成立しない」という判断を示しています。


おととし、女の子にわいせつな行為をして画像を知人に渡したとして強制わいせつの罪などに問われた40歳の被告は「金を得るのが目的だったので罪は成立しない」と主張しましたが、1審と2審で「判例は妥当ではない」として実刑判決を言い渡され、上告していました。


29日の判決で、最高裁判所大法廷の寺田逸郎裁判長は「性的な被害に関する規定は社会の受け止め方を踏まえなければ処罰対象を適切に決めることはできない」と指摘しました。そのうえで「強制わいせつ罪の成立を判断する際は、被害の有無や内容、程度に目を向けるべきで、行為の目的を一律に要件とすべきではない」という判断を示して判例を変更し、上告を退けました。


性犯罪をめぐっては刑の重さを見直す法改正が行われるなど被害者の声が重視されるようになっていて、29日の判決はこうした流れをくんだものといえます。

29日の判決で変更された昭和45年の判例は、当時から専門家の間で批判的な意見が出ていました。このときの裁判では、女性を裸にして写真を撮影した被告が「報復するのが目的だった」と主張し、当時の最高裁判所は罪が成立するには暴行や脅迫によってわいせつな行為をしただけでなく、自分の欲望を満たす目的がなければならないという判断を示しました。


しかし、詳しい理由は示されず、小法廷の5人の裁判官のうち2人は反対意見を述べていました。また刑法学者の間でも「刑法の条文に規定されていない内容で、根拠がない」などという批判的な意見が出ていました。


その後の裁判では犯行の目的が欲望を満たすことだったかどうかが争われるケースはありましたが、判例そのものが妥当かどうかが争われることはほとんどなく、50年近くが経過して判例が変更されることになりました。


最高裁判所の大法廷で犯罪の成立要件をめぐって判例が変更されたのは、平成15年の業務上横領罪の判決以来です。

判決のあと被告の弁護団は会見を行い、奥村徹弁護士は「これまでの判例を踏まえると被告は無罪なのに、この事件から判例を変えるというのは不公平だ」と訴えました。