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広く予想されている米追加利上げの先に、景気失速とバブル崩壊の兆候が広がってきたようだ。国際決済銀行(BIS)は3日発表の四季報で、株価高騰を「泡立っている」(Frothy)との表現で警告している。金融政策を決める米連邦公開市場委員会(FOMC)は12、13両日に今年最後の定例会合を開く。


  資産バブルについて初めて「フロス(Froth)」と形容したのは、第13代米連邦準備制度理事会FRB)議長のグリーンスパン氏である。2005年7月の議会公聴会で、住宅市場はバブル化しているのではないかという議員の質問に、「一部の地域で泡粒の兆候(signs of froth)が見られる」と答えたのが最初だ。


  当時の米金融政策は利上げ局面にあり、グリーンスパン議長は住宅フロスの本格的なバブル化を防ぐため、「緩和政策の解除」を進めていた。そして現在、次期FRB議長に指名されているパウエルFRB理事も、「極めて低い名目金利が長期にわたり続いてきたため、金融システムの安定に対するリスク醸成に高度の警戒が必要になっている」と今年1月に警告、米経済は緩やかな利上げの階段を昇りつつある。


  米金融政策当局はこのように景気拡大期にはバブル膨張を警戒してきたが、20世紀末から今世紀に入って2度の大型バブルの膨張と崩壊を招いている。いずれのケースもFOMCの利上げが最終的にとどめを刺した格好だ。


  一方、BISが「フロス」と警告する今回の株高は、過去2度のバブル膨張と比べると著しく風景が異なっている。その変化を端的に表しているのが、経済の体温とも言われる一般物価である。グリーンスパン議長の後を継いだバーナンキ第14代FRB議長は、住宅・金融バブル崩壊に伴うグレートリセッションに見舞われ、デフレ回避のためゼロ金利政策量的緩和を導入。さらに12年1月に2%のインフレ目標を設定した。


  インフレ目標の基準とされる個人消費支出(PCE)価格指数は、12年1月に前年同月比2.6%上昇と、目標の2%を大きく上回っていた。しかし目標を上回っていたのは同年4月までで、5月から目標を下回り、15年2月には0.2%上昇と、デフレ寸前まで落ち込んだ。


  こうした米経済の低迷を背景に、バーナンキ議長はゼロ金利政策を据え置いたまま14年2月にイエレン第15代FRB議長にバトンタッチ。イエレン議長が15年12月にゼロ金利解除に動いた時には、就任からすでに2年近い歳月が流れていた。


  イエレン議長が導いてきた利上げの階段には長い踊り場が2つもあり、景気拡大9年目にして、政策金利の誘導目標は今なお1ー1.25%のレンジと極めて低い水準にとどまっている。このために株価は高騰、長く続いた異例の金融緩和を背景に、フロスどころかバブルが異次元へと拡大しているように見える。


  米金融当局の足跡をたどれば明らかなように、現在の利上げ階段はいずれバブル崩壊へとつながっていく。しかも今回は異例の緩和でバブルが異次元まで拡大しているため、その衝撃はこれまでのバブル崩壊をしのぐ恐れがある。

#リフレ