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 記録を縮めたいランナーであれ、新しい技を習得したいバスケットボール選手であれ、巨大な波にチャレンジしたいビッグウェーブサーファーであれ、大いなる飛躍の瞬間は得てして、歯を食いしばるような苦しみと我慢の末にやってくる。

 この本の著者の一人、ブラッドは以前、『アウトサイド』誌の取材でラムにインタビューしたことがある。


 そのときに印象的だったのは、ラムが「あえて一番うねりの強い波に乗ろうと待ち構えている」と話したことだ。ラムの強さの秘訣は、自分を追い込む姿勢にあったのだ。「トレーニング中は、思わず尻込みするような波を探しては、それに乗るようにしています」とラムは語った。


「ぬるま湯的な状況から外へ踏み出さない限り、人間は成長できません。前進して成長したければ、苦しい道を進むことですね。自己満足とは真逆の道ですよ」


 ラムは挑戦する機会があれば、受けて立つ。たとえうまくいかなくても、それを失敗とは思わず、成長する機会だととらえる。「限界に挑まなければ、もがき苦しまなければ、上達など望むべくもないでしょう」とラムはいう。


 困難に挑むときや、今一歩力が及ばないとき、その体験はラムにとって貴重なものとなる。こうした経験によって、体と心の弱点が明らかになり、その弱点をどう克服するか考察できるからだ。頭と体を総動員して問題を明らかにしようとする。そしてその結果、能力の限界を押し上げることができる。


 ウェイツキン、問題と格闘して学習する生徒たち、ラム──彼らは皆、「身にしみる失敗」から学んでいる。人間がこの種の失敗をしたときに深い学びを得ることは、科学的にも広く認識されている。


 特定の問題にただ答えるのではなく、難問に挑んで失敗するほうが得るものは多い。失敗すると、人はさまざまな角度から問題を分析し、失敗した根本的な原因を突き止め、足りないスキルを磨いてその問題を解決しようとする。


 確かに、すぐに手助けしてもらえるのはありがたい。だが、すぐ答えが知りたいという衝動に負けると、挑戦しなければ得られない深い教訓を学び損ねてしまう。

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