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アメリカのトランプ大統領は、政権として初めての外交・軍事戦略の指針「国家安全保障戦略」を取りまとめ、18日、発表しました。


発表の演説の中で、トランプ大統領は「われわれは新たな競争の時代のさなかにある」と述べて、世界で各国間の競争が激しさを増しているという認識を示しました。そのうえでアメリカに挑む競合勢力として中国とロシアを名指しし、強い警戒感を示すとともに、「これらの国ともわれわれの利益を守る形で、関係を築いていく」と主張しました。


新たな戦略では、「アメリカ第1主義」のもと強いアメリカを追求する方針を示すとともに、優先する4つの柱として、国民と国土の防衛、アメリカの繁栄の促進、力による平和の維持、アメリカの影響力の拡大を掲げています。


そのうえで軍事力を増強するとともに、経済面の問題も安全保障上の課題と位置づけ、貿易不均衡の是正などに取り組み、政治、経済、軍事の面でアメリカの優位を確保していく方針を示しています。また、北朝鮮の核ミサイル開発とイランによるテロ組織の支援を指摘し、両国は地域を不安定化させる「ならず者政権」だと非難しています。


トランプ大統領は、直面する課題の北朝鮮への対応では中国に協力を求め、ロシアとの関係改善にも意欲を示していますが、長期の戦略では両国の影響力の拡大を懸念し、これに対抗する姿勢を示した形です。

「国家安全保障戦略」は、アメリカの政権が定期的に作成し議会に提出する文書です。国の安全保障上の課題を指摘したうえで、政権としてどのように臨む方針かを記していて、政権の外交・安全保障政策の基礎となるものです。


トランプ政権は、今回の「国家安全保障戦略」に基づいて今後、「国家防衛戦略」や「核体制の見直し」それに「弾道ミサイル防衛の見直し」といった個別の戦略についてまとめた文書を発表する予定です。


前のオバマ政権では、政権初の「国家安全保障戦略」を政権発足から1年4か月後の2010年に発表し、軍事力に依存しすぎずに国際協調を重視する方針を示したほか、2015年の「国家安全保障戦略」では、気候変動を安全保障上の課題と位置づけるなど「オバマ色」がにじみ出た内容でした。


一方、その前のブッシュ政権が、2002年に発表した政権初の「国家安全保障戦略」では、敵対国家やテロ組織に対する単独の先制攻撃も辞さない方針を示し、その後、イラク戦争に突入するなど一国行動主義に傾斜していったブッシュ政権の姿勢が表れていました。