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ミャンマーアウン・サン・スー・チー国家顧問は、8日始まる日本と東南アジア5か国の首脳会議に出席するため来日しています。

ミャンマーでは、少数派のイスラム教徒ロヒンギャの人たちを、軍主導の治安部隊が迫害した疑いが持たれ、国際社会ではスー・チー氏が人権侵害を阻止するため権限を行使していないと批判が高まっていて、1991年に受賞したノーベル平和賞を取り消すべきだという声さえあがっています。

これについてスー・チー氏はインタビューで「現状を知りもしない人が多い。近ごろは何でもすぐに解決するよう求められるが、私たちは長期的に対応しなければならない。賞や栄誉のことは気にしていない」と反論し、ロヒンギャの人たちに対する差別意識が根強く、軍が強い影響力を保つなか、問題解決には時間がかかるという考えを示しました。

いっぽう、長年、友好的な関係を保っている日本については「ミャンマーを理解し、問題解決を励ましてくれている」と評価し、国際社会との立場の違いを埋めるため支援してほしいと期待を示しました。

スー・チー氏は、少数派のイスラム教徒ロヒンギャの人たちをめぐる問題への対応で国際社会から強い批判を受けています。

去年8月、軍主導の治安部隊がロヒンギャ武装勢力を対象に大規模な掃討作戦を行ったことをきっかけに、推計70万人を超えるロヒンギャの住民が隣国バングラデシュに避難しました。

難民たちの訴えなどから、作戦の中で治安部隊が住民への殺害や暴行を行った疑いが持たれていますが、ミャンマー政府は国連による調査を拒否し続けています。

またミャンマーバングラデシュは去年、難民の帰還をできるだけ早く進めることで合意しましたが、「ミャンマーに戻ればまた迫害されるのではないか」と恐れる難民が多く、手続きは進んでいません。

バングラデシュのキャンプでは今も過酷な避難生活が続き、食料や医療の支援も不足していて、事態の打開が喫緊の課題となっています。

こうした中ことし8月、国連人権理事会が設置した調査委員会が「ミャンマー軍には虐殺の意図があった」として、軍の高官らを訴追するよう求める報告書を発表しました。

ミャンマーでは憲法上、議会の議席の4分の1を軍人が占めることになっているなど、今も軍が強い影響力を持っていますが、そうした実情を踏まえてもスー・チー氏は人権侵害を阻止するためにもっと権限を行使できたはずだと責任を追及する国際世論が強まっています。

最近ではカナダ政府がスー・チー氏に与えた名誉市民権を剥奪するなど、ミャンマー民主化のリーダーに寄せられてきた世界からの期待は、一転、落胆と失望に変わっています。

さらに、ミャンマー民主化そのものが後退しているのではないかという懸念も強まっています。

きっかけは、ロヒンギャの人たちの問題を取材していたロイター通信のミャンマー人記者2人が、機密文書を不正に入手したとして禁錮7年の有罪判決を受けた事件でした。

2人の記者は、逮捕は警察官に誘導されたわなだったとして無実を訴えてきましたが、裁判所は「国の安全を脅かす行為だった」として、2人の訴えを退けました。

判決はミャンマー報道の自由を揺るがすものだとして国内外で懸念が広がり、国連や欧米諸国、ジャーナリスト団体が2人の釈放を求めています。

しかしスー・チー氏は先月、判決について「裁判所が法律に違反したと判断した。報道の自由の問題とは無関係だ」と述べていて、スー・チー氏が掲げてきた民主主義の在り方が疑問視される事態になっています。

ミャンマーアウン・サン・スー・チー国家顧問は、8日から始まる日本と東南アジア5か国の首脳会議に出席するため来日していて、6日、NHKの単独インタビューに応じました。

ミャンマーでは、軍主導の治安部隊が少数派のロヒンギャの人たちを無差別に殺害したり暴行したりした疑いについて取材していたロイター通信の記者が、国家機密法違反の罪で禁錮7年の有罪判決を受け、報道の自由が脅かされているという懸念が広がっています。

これについてスー・チー氏は「もし裁判に間違いがあったというのならもちろん調査するが、言論の自由の問題とは区別しなければならない」と指摘したうえで「ミャンマーには多くの報道の自由がある」と述べ、懸念はあたらないと主張しました。

さらに、国家機密法はイギリス植民地時代に制定されたもので、民主化が進むミャンマーにはそぐわないのではないかという批判に対しては「現代にそぐわないといわれたことは一度もない。同じような法律は世界の多くの国にもある」と述べ、法律そのものにも問題は感じていないことを明らかにしました。

また、ロヒンギャの人たちに対する迫害の問題については、国連をはじめとする国際機関に事実を調査させるべきだという国際社会からの圧力が強まっています。

これについてスー・チー氏は、ミャンマー政府がことし7月、外国人の委員を含む調査委員会をみずから設置したことに触れ、「国連の機関とミャンマー政府の委員会にどんな違いがあるのか。私たちは、自分たちで調査する意志と能力があることを示すチャンスが与えられるべきだ」と述べ、あくまで政府が設置した委員会に調査させる考えを示しました。

一方、国連などによる調査については、「人権の大切さを心から信じているが、人権は法の支配と国内的な合意がなければ確保できない。政府が設置した調査委員会でさえよく思わない人もいる」と述べ、国内で反発が強まるおそれがあり受け入れがたいという考えを示しました。

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