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アメリカのトランプ政権は、イラン核合意から一方的に離脱し、8月に自動車や鉄鋼などの分野で制裁を発動させたのに続き、第2弾としてイランの基幹産業となってきた原油などエネルギーの分野や金融機関を対象とした経済制裁を5日、日本時間の5日午後2時すぎに発動させました。

アメリカ政府は、イランと取り引きのある8つの国などに対しては、原油の輸入を一時的に認める方針を明らかにし、日本政府関係者によりますと、トランプ政権は、適用除外に日本を含める方針だと伝えてきたということです。

ただ、アメリ国務省の高官は適用を除外する期間は最長で180日間になるという認識を示していて、各国にはあくまでも原油の輸入を完全に停止するよう求めています。アメリカ政府は、日本時間の5日夜、適用を除外する国について公表することにしています。

今回の制裁の発動によって、アメリカ政府はイランと関係する700以上の個人や団体などを制裁対象に加える予定で、トランプ大統領は4日、記者団に対し「これまでアメリカが科してきた制裁の中で最強の制裁だ」と述べ、イランの生命線とされる原油の輸出を断ち切り、圧力を一層強めることにしています。

これに対し、イランでは保守強硬派を中心にアメリカに反発する声が高まっており、今後、イランが核合意にとどまり続けるのか、イラン側の出方も注目されます。

また、世界第4位の産油国であるイラン産の原油を標的にした今回の制裁によって、原油価格が今後も不安定な状況が続くことが予想されます。

https://d1021.hatenadiary.jp/entry/2018/11/04/200240(イラン原油禁輸「制裁除外は180日間」米国務省高官)

これを受けてイランのロウハニ大統領は5日、演説し、「アメリカの制裁はイランの人々や外国企業に向けられたものだ。多くの国は制裁に怒っている」と述べて、国際社会の反対を押し切って制裁が発動されたとして強く非難しました。

そのうえで「われわれは、この一方的な制裁を名誉を持って破り、原油の販売も続ける。ヨーロッパやアジア各国はわれわれとともにある」と述べて、制裁に対抗する考えを強調しました。

イランは、アメリカの制裁に反対しているEU=ヨーロッパ連合に対し、制裁の影響を受けない形で取り引きができる新たな決済システムを導入するよう求めていて、アメリカの制裁下でも各国と連携を深めることで、原油取り引きなどの貿易を続けたい考えです。

ただ、国の歳入の3割以上を占めるイラン産原油の輸出量は年内にさらに落ち込むと予測され、すでに通貨安や物価高で国民の不満が高まる中、どこまで制裁の影響を回避できるかは不透明です。

アメリカによるイランへの経済制裁をめぐって、日本政府には制裁発動後も適用を除外し、イラン産原油の輸入を一時的に認める方針が伝えられていて、一定期間後も適用除外とするよう、今後も交渉を続けていくことにしています。

外務省によりますと、日本が去年輸入した原油のうち、イラン産は5.5%でしたが、大手石油元売り各社は、制裁の発動を見越してイランからの輸入を停止したり、別の国に切り替えたりしていて、減少傾向にあります。

しかし、日本政府としては、エネルギーの調達先の多様化は重要だとして、アメリカ政府に対し、例外的にイラン産原油の輸入を認めるよう求めてきました。

ことし6月以降、事務レベルで4回にわたり協議を行ったほか、9月には河野外務大臣ポンペイ国務長官に直接電話するなど、交渉を続けてきました。

今回の適用除外について、外務省幹部は「交渉の成果だ」と評価しています。

ただ、アメリ国務省の高官が、適用除外は最長で180日間になるという認識を示していることから、外務省幹部は「一部の元売り会社がイラン産の輸入を続けていて、引き続き適用除外とならなければ死活問題となる」としていて、日本政府としては一定期間後も適用除外とするよう今後も交渉を続けていくことにしています。

アメリカのトランプ政権によるイラン産原油の禁輸などの経済制裁について、核合意に参加するヨーロッパ各国やEU=ヨーロッパ連合は反対を表明しています。

ドイツとフランス、イギリス、それにEUは、共同で、制裁の発動に先立って今月2日、「イラン核合意はヨーロッパと中東地域、さらに世界の安全保障にとって重要で、アメリカによる経済制裁は極めて遺憾だ」とする声明を出し、アメリカによる制裁を改めて批判しました。

EUは、制裁を回避してイランとの原油取引を続けられるよう新たな決済システムの構築を目指していて、その概要について近く発表すると見られます。

イスラエルのネタニヤフ首相は5日までにビデオ声明を出し、アメリカのトランプ政権がイランに対する経済制裁を発動したことを歓迎する意向を示しました。

この中でネタニヤフ首相は「私はずっと、世界を危険にさらすテロ国家、イランに対して、経済制裁を完全に復活させるよう呼びかけてきた。制裁の影響でイランの通貨は下落、経済は低迷して効果はすでに出始めている。歴史的な決断をしてくれたトランプ大統領に感謝したい」と述べました。