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アメリカ議会の諮問機関「米中経済安全保障調査委員会」は、毎年、中国の動向や米中関係を分析し、議会に提言を行っています。

14日に公表されたことしの報告書では、急速に軍備増強を続ける中国について、2035年までにインド太平洋地域全域でアメリカ軍の活動に対抗できるようになるとみられる」として、強い警戒感を示しています。

これは、習近平国家主席が去年の中国共産党大会で2035年までに軍の近代化を実現させると宣言したことを踏まえたものです。

さらに中国軍が東シナ海南シナ海での軍事活動を活発化させているとしたうえで、尖閣諸島周辺での中国の軍事活動は日米安全保障条約に基づくアメリカの防衛義務の課題になっている」と指摘しています。

そのうえで、中国が巨大経済圏構想「一帯一路」を軍港の整備など軍事活動の拡大に利用していると分析し、南シナ海の軍事拠点化に関わる国有企業や個人への制裁の検討を議会に求めるとともに、「一帯一路」がアメリカと同盟国の安全保障に与える影響を報告書にまとめるよう政府に求めています。

報告書をまとめた「米中経済安全保障調査委員会」のクリーブランド議長は14日記者会見し、習近平指導部のもと、経済、安全保障、そして外交の面で毛沢東時代以来、前例のない中央集権化が進んでいる。国内外で権威主義を強める習主席の共産党は、アメリカのリーダーシップと国際秩序に戦いを挑んでいる」と述べ、中国がアメリカとの覇権争いへの野心をあらわにしていると指摘しました。

そのうえでアメリカの経済と安全保障を中国から守るため、より強力な政策をとらなければならない」と述べ、アメリカ議会として中国による知的財産権の侵害や、サイバー攻撃による軍事機密を盗み出す行為などに対し、さらなる対応をとる必要性を強調しました。

https://d1021.hatenadiary.jp/entry/2018/11/14/200230(米印 インド太平洋地域の発展と安全保障で協力強化へ)

14日夜、発表されたASEAN首脳会議の議長声明では、南シナ海の問題について、「埋め立てや緊張をもたらす活動に対するいくつかの懸念に留意する」として、去年の首脳会議で見送られた「懸念」という文言が盛り込まれました。

ただ、南シナ海で拠点構築を進める中国については名指しを避けているうえ、南シナ海での紛争を防ぐためのルールとしてASEANと中国が策定を目指す「行動規範」については、交渉のたたき台となる草案がまとまったことなど、双方の協力が進展していることを歓迎していて、中国に一定の配慮をみせる内容となっています。

また声明では、日米が主導する「自由で開かれたインド太平洋」構想と、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」という2つの異なる構想への対応を協議したことが明記されています。

そのうえで、ASEANが中心となって相互利益を模索していくことで合意した」として、ASEAN主導で地域の発展を目指す考えが示されています。

一方、ミャンマーで少数派のイスラム教徒、ロヒンギャの人たちが隣国バングラデシュへの避難を余儀なくされている問題については「懸念される事態」と明記されています。

これまでロヒンギャの問題については内政不干渉の原則から厳しい表現は避けられてきましたが、今回の声明では一歩踏み込んだ表現を盛り込み、ASEANとして解決に向け協力していく考えが示されています。

ロシアのプーチン大統領ASEANに加盟する10か国の首脳らによる首脳会議が14日、シンガポールで行われました。

この中でプーチン大統領「ロシアは相互に信頼し、お互いの利益を考慮するという原則に沿って、ASEANとの関係を発展させることに大きな関心を持っている」と述べたうえで、来年、サンクトペテルブルクウラジオストクで開かれる大規模な国際経済会議にASEAN各国の代表らを招待しました。

首脳会議では、ロシアとASEANの関係を戦略的な協力関係に引き上げることや、ロシアが主導して旧ソビエト諸国で作る「ユーラシア経済同盟」ASEANとの協力の可能性を探るなどとした共同声明を採択しました。

プーチン大統領としては、2014年のクリミア併合や、いわゆるロシア疑惑などを受けて、欧米との対立が深まる中、アジア各国との関係を重視する姿勢を強めた形です。

会談でペンス副大統領は自由で開かれたインド太平洋地域の重要性を強調したうえで「この地域に帝国主義が存在する余地はない。これを確かにするためアメリカとして断固たる行動をとっている」と述べて、強硬な海洋進出などにより影響力を強める中国をけん制しました。

そしてASEANアメリカの戦略的なパートナーだ」と述べ、引き続き各国のインフラ整備を支援するほか、IT分野での新たな投資も促進していくとして、経済面での関係を強化していく姿勢を示しました。

東南アジア地域では中国が巨大経済圏構想「一帯一路」のもと各地で巨額のインフラ投資を進めて影響力を強めており、アメリカとしても対抗姿勢を示すことでこの地域での存在感を高める狙いがあるとみられます。

ASEAN東南アジア諸国連合関連の首脳会議は、最終日の15日、日本時間の午後1時前から、ASEAN加盟10か国と日中韓3か国の首脳によるASEAN+3の首脳会議が開かれました。

この中で安倍総理大臣は、対象国の財政健全性の確保や透明性などを重視したインフラ支援の推進や、海洋汚染が懸念されるプラスチックごみの削減に向けたASEAN諸国への支援を表明しました。

このあと安倍総理大臣は、アメリカのペンス副大統領、ロシアのプーチン大統領とともにEASの昼食会と討議に出席しました。

安倍総理大臣は南シナ海での中国の拠点構築について「非軍事化に背く動きが続いていることを深刻に懸念する。一方的に現状を変更する行為は各国の利益を脅かしかねない」と指摘しました。

そして、日米両政府が掲げる「自由で開かれたインド太平洋」構想について「大きな国も小さな国も含め地域のすべての国が裨益するものだ。いかなる国も排除されない」と述べ、法の支配の徹底や航行の自由の尊重を呼びかけました。

また安倍総理大臣は北朝鮮情勢について、北朝鮮の核や弾道ミサイルのCVID=完全かつ検証可能で不可逆的な廃棄を実現するため関連する国連安保理決議の完全な履行が必要だとししたうえで、海上で物資を積み替える「瀬取り」など北朝鮮による制裁回避の動きを防ぐ取り組みへの協力も呼びかけました。

ASEAN関連の首脳会議はEASでほぼすべての日程を終了し、安倍総理大臣は16日、次の訪問国オーストラリアに向けて出発することにしています。

一方、安倍総理大臣はASEAN+3の首脳会議の前、韓国のムン・ジェイン文在寅)大統領と握手とあいさつを交わし、EASの昼食会でも短く言葉を交わしましたが、韓国の最高裁判所が出した太平洋戦争中の徴用をめぐる裁判の判決などに触れることはなかったということです。

ASEANの一連の首脳会議に出席するため、シンガポールを訪問中のインドのモディ首相は、15日、ASEANに加盟する10か国の首脳と会談しました。

モディ首相は、東南アジアとの政治的、経済的な連携を強める「アクト・イースト」政策を打ち出していて、ASEAN各国との首脳会議は、ことし2回目になります。

会議では、ことし1月にASEAN各国との間で採択された「デリー宣言」が確認され、インド太平洋地域の海洋の安全と航行の自由、それに、貿易と投資の促進で協力することで一致しました。

インドとしては、強硬な海洋進出や経済支援を通じて影響力を強める中国を念頭に、ASEAN各国との関係を強化したい考えで、日本とアメリカが掲げる「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて、連携する姿勢を鮮明にしました。