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コンビニではこれまで目立たない存在だった冷凍食品がにわかに注目されている。セブン-イレブン・ジャパンでは冷食の販売実績が10年前の2008年に比べて5倍以上に拡大しており、ローソンやファミリーマートミニストップでも好調だ。この冷凍食品、実はコンビニ的には“都合”が良い商品なのである。コンビニ低成長時代を迎え、食品スーパーやドラッグストアなど新たな競合関係も発生しているなかで、冷凍食品の拡大はコンビニの成長にとって切り札になりそうなのだ。

「コンビニは冷凍食品の品ぞろえが良くなってきたわね」とある60代の主婦は話す。有職主婦の増加や高齢化で、コンビニはもはや若者だけの店ではない。高齢者も“冷蔵庫”代わりに活用している。

 セブン-イレブンの利用客の年齢構成は人口動態の変化に合わせるように高齢化しており、すでに40歳以上の中高年層の割合は50%を超えている。

 大きな変更点はひとえに、冷凍食品売り場の拡大に尽きる。冷凍ケースは従来に比べ、約3倍にあたる2.7キロリットルに拡大している。

 レジカウンターも広げ、入れたてのコーヒーや鶏の唐揚げなどファストフードを強化する方向だが、レイアウト変更の主眼は冷凍ケースの増設に置かれているといっていい。

 これに伴い、アイスクリームなどが拡充されていることもあるが、冷凍食品の品ぞろえも従来比で1.5倍以上に増えている。

 シニア層の多くは冷凍技術が現在のように高度化していない時代に冷凍食品を経験した人が多く、たぶん当時は、「冷凍食品っておいしくないじゃん」という感想を持たれた人がほとんどだったと思う。

 だが、最近の冷凍食品は劇的な進化を遂げており、食べてみると分かるが「冷凍食品じゃないみたいだ」という感想を持つ商品が増えているのは間違いない。

 冷凍食品は加盟店にとってハンドリングしやすい商品だ。消費期限に合わせて売れ残った商品が廃棄ロスになる「チルド弁当」や「定温食品」と違い、消費期限が長いため加盟店は思い切った発注ができる。

 日付の管理もしやすい。しかも消費者にとっては冷蔵や常温保存の商品と違って、添加物の使用が少ない商品として、安心して食べられるというメリットがある。

 つまり、冷凍食品の販売を伸ばせば加盟店にとっては日販が伸ばせるし、チェーン本部は消費期限を気にせず、多めに発注してもらえ、実入りが増える。消費者にとっても安心という“三方一両得”の関係が構築できる商品といえる。

 コンビニに来店する顧客が、まずチルドの弁当や麺類を冷蔵売り場で探し、お気に入りの商品がなければ、冷凍食品売り場でチャーハンや麺類、総菜を購入してくれることを狙っているのだ。

 食品スーパーやドラッグストアでは3割引き、4割引きは当たり前で、冷食は集客の目玉に使われるケースが多い。ただ、夏場など自宅まで持って帰るのに解凍してしまったらという不安はあるし、冷凍食品は購入後、割と早く食べられているという調査もある。

 このため冷凍食品の販売場所としてコンビニが適しているという指摘もある。低成長時代を迎えたコンビニにとって冷凍食品を再定義して、コンビニらしい商品を開発できるかが、業態勝ち残りのカギを握っている。