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 日産自動車の会長だったカルロス・ゴーン容疑者(64)が約50億円の役員報酬有価証券報告書に記載しなかったとして逮捕された事件で、この約50億円を退任後に受け取ることで日産と合意した文書は、秘書室で極秘に保管されていたことが、関係者への取材でわかった。東京地検特捜部は、文書作成に直接関与した秘書室幹部と司法取引し、将来の支払いを確定させた文書だという証言を得た模様だ。

 関係者によると、この文書は役員報酬を管理する秘書室で管理され、経理部門や監査法人には伏せられていた。退任後に支払うという仕組みは取締役会にも諮られなかったという。

https://d1021.hatenadiary.jp/entry/2018/11/27/200430(ゴーン氏事件 検察を見放し始めた読売、なおもしがみつく朝日)

https://d1021.hatenadiary.jp/entry/2018/11/28/200430鎌田靖さん(元NHK解説委員)「ゴーンショックはかつての三越事件と類似している」)

https://d1021.hatenadiary.jp/entry/2018/11/27/200430(ゴーン、ケリーのような人を逮捕、勾留して起訴できなければ、特捜部長はおろか、検事正くらいまで更迭されてもおかしくない。)

 関係者によると、2人は、年1億円以上の報酬を得る役員の氏名や金額などを記載するよう義務付ける「個別開示制度」が09年度に始まったことを機に、それまで約20億円だった報酬のうち約10億円を退任後に受け取る仕組みを構築。年度ごとに確認文書を作成し、同社会長としてのゴーン氏と個人としての同氏の間で交わされたケースもあったという。

 前会長は調べに、文書の存在を認めつつも「サインはしておらず、将来の支払いが確定したものではなく、有価証券報告書に記載する義務はない」などと否認している模様だ。ケリー前代表取締役「いずれゴーン前会長が日産を去ることになった場合も、競合他社に転職しないための契約金やコンサルタント料を支払うことにした。金融庁など外部にも適法だと確認した」と話しているという。

 一方、日産とゴーン前会長の姉が実態のない「アドバイザリー業務契約」を結んで姉に年10万ドルが支給されてきたとされる点や家族旅行費への流用などの不正疑惑について前会長が「正当な理由がある」と説明していることも新たに判明した。

https://d1021.hatenadiary.jp/entry/2018/11/28/200430(「文書にはサインをしておらず、退任後の報酬は正式には決まっていなかった」)

日産自動車の会長だったカルロス・ゴーン容疑者(64)は、有価証券報告書にみずからの報酬を少なく記載していたとして、金融商品取引法違反の疑いで逮捕され、東京地検特捜部は報告書に記載していない報酬は直近の3年間も含む8年間でおよそ80億円に上るとみて捜査を進めています。

関係者によりますと、ゴーン前会長は1億円以上の役員報酬の開示が義務づけられた平成22年以降、20億円程度だった報酬を報告書には10億円程度と記載し、差額は退任後に受け取ることで会社側と合意していたということです。

そして退任後にさまざまな名目でおよそ80億円の報酬を支払う計画が立てられ、前代表取締役のグレッグ・ケリー容疑者(62)など、ごく一部の側近だけで共有していた疑いがあるということです。

これについてゴーン前会長は特捜部の調べに対し、退任後に報酬を受け取る計画にしていた一連の経緯については大筋で認めたうえで、その理由について「10年前のリーマンショックで日産の業績が下がったことがきっかけで、多額の報酬が開示されれば従業員の働く意欲がなくなると思った」などと説明しているということです。

一方、主張が対立しているのは、退任後に受け取る報酬を有価証券報告書に記載する必要があったかどうかです。

金融商品取引法などでは、将来支払われる退職後の報酬でも、その見込みの金額が明らかになった段階で報告書に記載する必要があるとしています。

特捜部はゴーン前会長が毎年の報酬を20億円程度とし、10億円程度の差額を退任後に受け取るとした文書を毎年、会社側と取り交わしていたことや、ゴーン前会長に個別の役員報酬を決める権限があったことなどを重視し、退任後の報酬であっても将来支払われることが「確定」した報酬で、報告書に記載する必要があったとみています。

これに対しゴーン前会長は「文書にはサインをしていない」としたうえで、「合法的に進めてくれと弁護士でもあるケリー前代表取締役に頼んで決めたことで、『合法です』という回答も得ていた」などと容疑を否認し、退任後に報酬が支払われることは「確定」していなかったと主張しているということです。

またケリー前代表取締役も「退任後の報酬の記載は金融庁や外部の弁護士にも確認して回答を得ており適切に処理した」などと説明し容疑を否認しているということで、検察側とゴーン前会長側が全面的に対決する構図になっています。

東京地方検察庁の29日の定例会見には多くの海外メディアも参加し、「逮捕されたゴーン前会長らの身柄の拘束が長期間に及んでいることに批判が出ている」という質問が出されました。

これについて東京地検の久木元伸次席検事は「勾留は裁判所の令状に基づいて行っているもので必要性もないのに長期間の拘束しようという意図はない。国にはそれぞれの歴史と文化、制度があり、ほかの国と制度が違うからといって簡単に批判するのはいかがかなものかと思う」などと述べました。

またゴーン前会長とケリー前代表取締役の取り調べについてはDVDに録音・録画されていることを明らかにしたうえで「取り調べは適切に行っていると確信している。英語の通訳を介し、意思疎通は明確にできていると聞いている」と述べました。

それによりますと、マクロン大統領は経済相だった2015年4月、フランス政府のルノーでの議決権を2倍に引き上げるために持ち株比率を上げるよう唐突に指示を出し、日産側でフランス政府の関与が強まることへの警戒心が高まる結果になったとしています。

フランス政府のこうした動きをめぐっては、フランス政府と日産の西川廣人社長らの意見が8か月にわたって対立したということです。

ロイター通信は、西川社長が当時、ルノーの取締役会に宛てて「日産とルノーの提携の基礎であるルノーの自主性が大きな影響を受ける」と懸念を伝えた書簡を入手したと伝えています。

結局、マクロン氏が出した指示に対する日産側の警戒心が今回のゴーン前会長逮捕の伏線になったとしてマクロン大統領がまいた種ともいえる」と分析しています。

またロイター通信は、ルノーの日産に対する発言権は弱まっているとも指摘し、三菱自動車と合わせた3社の提携をめぐる協議の行方に注目しています。

特捜部は日産側と調整を重ね、両容疑者が同時に来日するタイミングを密かに狙っていた。

 ゴーン容疑者は19日、幼少期を過ごし、日産側から無償提供を受けている高級住宅があるレバノンの空港から乗り慣れた日産のビジネスジェット機に搭乗した。

 羽田空港に到着したのは午後3時半頃。空港内には特捜部の検事や係官ら十数人が待ち構えており、検事が入国手続きを済ませたゴーン容疑者に近寄った。

 「東京地検特捜部です」

 ゴーン容疑者は、任意同行を求める検事から説明を受けた後、捜査車両に乗り込んだ。その後、係官らがジェット機内を捜索した。

 一方、ケリー容疑者は同日午後3時過ぎ、米国発の航空機で成田空港に到着した。ケリー容疑者は日産側が準備した車に乗り、宿泊予定だった東京都内の外資系ホテルへ向かった。

 「近くのパーキングエリア(PA)で止まってください」。首都高速で渋滞にはまっていた車の運転手に突然、特捜部から連絡が入った。車が品川区の大井PAに入ると、近くの車からスーツ姿の検事らが降りてきてケリー容疑者に任意同行を求めた。

 その後、東京・霞が関東京地検で両容疑者に逮捕状が執行された。ある検察関係者は「(ケリー容疑者を)ホテルで押さえる段取りだったが、事件の速報が想定より早く流れ、急遽、PAで押さえることにした」と明かした。

3社の経営トップによる協議は29日、オランダのアムステルダムで開かれる定例の会議に合わせて行われます。

協議は日産の西川廣人社長、三菱自動車の益子修CEO=最高経営責任者、それにルノーの経営トップがテレビ会議などで行います。

3社の経営トップの協議は金融商品取引法違反の疑いでゴーン容疑者が逮捕されたあとでは初めてで、まず提携の維持を確認する見通しです。

ただ、ゴーン前会長を経営トップから解任した日産の社内では、43%余りの株式を保有するルノーが強い支配力を持つ今の資本関係を見直し、提携の枠組み中でより高い自主性を求める意向が強まっています。

一方、自社の経営トップとして会長職などを解任しなかったルノーは、日産の後任の会長はルノーから出すことを求めるなど、現在の関係の維持を求めているとみられます。

このため今回の協議では、立場の違いを踏まえて今後のグループ運営の在り方を議論するための道筋をつけられるかが焦点になります。

日産自動車前会長のカルロス・ゴーン容疑者が金融商品取引法違反の疑いで逮捕されたことを受け、日産、ルノー三菱自動車工業の3社は、29日にオランダのアムステルダムで開くグループの会議で今後のグループの提携の在り方を協議する予定で、それぞれの経営トップはテレビ会議システムなどで参加する見通しです。

これを前にルノー筆頭株主であるフランス政府でこの問題を担当するルメール経済相は、27日、地元のテレビに出演し、ルノーと日産の関係について「2社のお互いの出資比率は変えてはならない。2社のパワーバランスが変わることは望まない」と述べました。

現在の2社の資本関係は、ルノーが日産の株式の43%余りを持つのに対し、日産が持つルノーの株式は15%で、ルノーのみが株主総会での議決権を持っています。

日産内部では資本関係の見直しを含めて経営の自主性を求める意向が強まっていて、ルメール経済相としては29日の3社による会議を前に、日産側をけん制するねらいがあるものとみられます。

関係者によりますと、ゴーン前会長は1億円以上の役員報酬の開示が義務づけられた平成22年以降、20億円程度だった報酬を報告書には10億円程度と記載し、差額は退任後に受け取ることで毎年、会社側と合意していたとみられています。

その理由についてゴーン前会長は特捜部の調べに対し、「10年前のリーマンショックで日産の業績が下がったことがきっかけで、多額の報酬が開示されれば従業員の働く意欲がなくなると思った」などと説明していることが関係者への取材で分かりました。

一方で「退任後の報酬は正式には決まっていなかった」と主張し、容疑を否認しているということです。

また前代表取締役のグレッグ・ケリー容疑者(62)も「退任後の報酬の記載は金融庁や外部の弁護士にも確認して回答を得ており、適切に処理した」などと説明し容疑を否認しているということです。

日産とルノー、さらに日産が出資する三菱自動車を絡めた3社連合がどうなるのかに注目が集まるが、今後の展開を日産にとって有利に運べるかは、“交渉力”によって決まるはずだ。西川社長がどこまで交渉力を発揮できるのかは未知数だが、現状は非常に難しい状況にあると言わざるを得ない。

ここからは、日産にとっての交渉相手をルノーと位置づけて考えなくてはならない。ルノーはフランス政府から15%の出資を受けているため、フランス政府の動きにも目を向ける必要がある。

取締役の地位を剥奪するには、株主総会の決議が必要だ。大株主であるルノーの意向が直接影響するため、そう簡単にゴーン氏やケリー氏のクビを切ることはできない。そうすると、取締役の解任をめぐって、株主のもつ議決権行使の委任状を争奪し合う「プロキシーファイト」になる可能性もある。

しかも、ルノーは43.7%の株を保有しているため、プロキシーファイトに持ち込まずとも、株主総会の決議を単独で決められるかもしれない。株主総会において単独行使をするには発行済株式の過半数をもつ必要があるが、議決権を行使しない株主が仮に20%程度いれば、残る80%のなかで過半数を取ればいいわけだから、ルノーは手持ちの株数だけで単独決議をすることができるのだ。

日産が株主総会におけるルノーの影響力を消滅させる方法がひとつ存在する。それは、ルノーの株式の25%超を日産が取得するというもの。日本の会社法では、たとえばA社がB社の25%を超える株式を持つ場合、B社はA社に対して議決権を行使できなくなるため、このルールを利用するというわけだ。

これを日産に当てはめると、日産はすでにルノーの株式の15%を持っているため、あと10%を買い増しすればルノーによる議決権行使を防げる。そのためには株式の買収資金が必要だが、支払う体力はあるはずだ。

ところが、ここでもまた問題がある。株式買収のような大きな案件は取締役会の決議が必要となるが、ここで意見が割れる可能性があるからだ。

現在の日産の取締役会メンバーは7名で構成されているが、このうち日産出身者は西川社長を含め3人。そのほかには、ゴーン氏、ケリー氏に加え、ルノー出身の取締役が2名いる。つまり、ルノー寄りの人間が過半数なのだ。

日産としては、今後ゴーン氏の排除に向けてルノーと交渉を進めていくだろうが、「ゴーン氏がいなくなれば、日産はもとのオンボロ会社に戻る」といった声もあるようだ。しかし、私は違う意見をもっている。

日本では、「ゴーンがボロボロの日産を立て直した」と考えられており、たしかに私も就任後約5年間の再建手腕は評価しているが、見方が若干違う。なぜなら、日産はもともと技術的には決してボロボロの会社ではなかったからである。

ゴーンが日産の業績を回復できたのは、日産の官僚主義的な不合理を排除したことにあった。労働組合が強く、日産社員を下請け企業のトップに置くといった慣例もあり、合理的な経営判断が難しくなっていたところを、ゴーン氏の“性格の悪さ”を発揮して合理化を進めたわけだ。

しかし、同じことをゴーン氏がルノーで行ったとしても、成果はあがらなかっただろう。これはほとんどの人が見過ごしている点だ。なぜゴーン氏は日産を立て直したのに、ルノー本体は立て直せなかったのだろうか? これは日産とルノーの技術力の差によるものと考える。

だから、ゴーン氏がいなくなったとしても、日産は世界で戦える力を持っているはずだ。私自身、10年以上日産車に乗っているが素晴らしいと実感している。日産がイギリスに置くサンダーランド工場でも非常にいいマネジメントが育っており、そうした人材をうまく使えば、けっこうな経営ができるだろう。

今年に入ってから私が気になっていたのは、ゴーン氏とフランス政府の急接近だ。これは5月に私が書いた記事でも触れたが、ゴーン氏にはフランス政府側に立たなければ、経営者としての延命が危うい状況にあることが感じられた。

本来、ゴーン氏のルノーCEOとしての任期は今年までだった。これが2022年まで延長されることになったわけだが、私は一連の経緯のなかで、ゴーン氏とフランス政府の間で何らかの“密約”があったのではないかと考えている。

ここで見えてくるのが、フランスのマクロン大統領の思惑である。1977年生まれの若き大統領が生まれたと話題を集めたが、私はマクロン大統領の行動や言動から、“ナポレオン的”な思考の持ち主と考えるようになった。本件に関連させると、マクロン大統領には、「世界に冠たる自動車メーカーを作る」ことへの並外れた関心を感じる。

世界の自動車市場を見ると、日本やアメリカ、ドイツのメーカーが1000万台を超す生産台数を有しており、確固たる地位を築いている。いずれ中国も追いついてくる見込みだが、フランスの自動車メーカーであるルノープジョーはそこまでは至っていない。

こうしたマクロン大統領の意向に対し、ゴーン氏は拒否をする姿勢を見せていたという。つまり、ゴーン氏はフランス政府から日産を守る盾であったわけだが、最近になってゴーン氏がフランス政府寄りになってきたという報道が目立ち始めるようになった。

そうしたタイミングで、ゴーン氏のルノーCEOとしての任期が2022年まで延長されることになったわけだから、フランス政府との間で、何かしらの密約があったと考えるのが自然だろう。

日産内部には「このままでは完全統合に向かい、日産は完全子会社になる」という危機感を持つ人間もいたはずだ。今回の事件を受け、「社内クーデターでは?」という報道があり、この点については会見の際に西川社長は否定したが、私は完全に社内クーデターだと思っている。

フランス国民にとって、日産とルノーの提携関係が好ましいのは理解できる。ルノーグループの純利益算定の構造を見てみると、年によっては日産が寄与する利益が半分を超えるときもある。長年にわたり貢献を続け、今でもルノーグループの純利益の約40%は日産が寄与している。フランスの雇用を生み、経済を発展させるうえで日産との提携は重要なのだ。

しかし、日本にとっても好ましいかと問われれば、疑問を感じる。なぜなら、ゴーン氏が日産のCOOに就任してから、日産は日本国内においてはシェアを落としているからだ。この間に国内では1位のトヨタは確固たる地位を築き、ホンダは2位に落ち着いた。このほかにも日本には力のある自動車メーカーが多く、日産とルノーの提携関係が解消されたとしても、日本社会に大きな影響はない。

交渉を有利に進め、日産が完全子会社になるのを防ぐためには、「おたくが日産に被害をおよぼしたのだから、完全統合はやめてください」と主張し、納得させなくてはならない。交渉で駄目なら訴訟に移る可能性もあるが、いずれにしても極めて難しい展開になるだろう。

https://d1021.hatenadiary.jp/entry/2018/11/22/200305(「そうですね。スペインの王様であるハプスブルク家はこうして得た膨大な銀で、ヨーロッパ最強にのし上がって、ヨーロッパを完全支配しようとするんですが、失敗して破たんします。ハプスブルク家が失敗した後にナポレオンが同じことを試みてやはり失敗、そしてヒトラーも失敗というふうに、ヨーロッパに政治統合した世界帝国をつくるのは、軍事や官僚を維持するのにおカネがかかりすぎてうまくいきませんでした。逆にうまくいったのは、ヨーロッパ以外の地域を組み込んだ経済的な統合というやり方でした。それが世界を一体化して大規模な分業体制をつくる世界システムというわけです」)

3社の経営トップによる協議は、日本時間の29日午後から始まりました。

テレビ会議での協議には、日産の西川廣人社長、三菱自動車の益子修CEO=最高経営責任者、それに、ルノーで暫定的にCEO代行を務めるボロレCOO=最高執行責任者が参加しました。

協議は終了し、3社の経営トップは、提携の維持を確認したということです。

協議を受けて3社は「3社の取締役会は、一貫してアライアンスの強い結束を維持することを強調してきた。アライアンスは20年間、ほかに例を見ない成功を収め、3社はアライアンスの結束について全面的にコミットしている」というコメントを発表しました。

この協議と同じ29日、オランダのアムステルダムにあるグループの統括会社では、3社の役員などが集まる定例の会議が開かれます。

会議では提携による効果の検証が議題になっていて、3社の協力の在り方について意見が交わされるとみられます。

グループの運営をめぐって、日産の社内では43%余りの株式を保有するルノーが強い支配力を持つ今の資本関係を見直し、提携の枠組みの中で、より高い自主性を求める意向が強まっています。

一方、ルノーは現在の関係の維持を求めているとみられ、ルノー筆頭株主のフランス政府もルノー優位の今の出資比率を変えないよう要求を強めています。

こうした考え方に違いがある中、今回の一連の協議や会議が今後のグループ運営の在り方を見直す議論につながるかが焦点です。

オランダ・アムステルダムに拠点を置くグループの統括会社「ルノー・日産BV」は、両社が提携を進めるためにそれぞれが50%ずつ出資して2002年3月に設立されました。

設立にあたって両社は、統括会社の経営トップにはルノーのCEO=最高経営責任者が就くという取り決めを交わし、日産のゴーン前会長がいまもこの会社の会長兼CEOを務めています。

こうした取り決めは三菱自動車が連合に加わった後も変わらず、事実上、3社連合を統括するいわば司令塔の会社と位置づけられています。

原則、毎月1回のペースで会議を開き、3社が進めている部品の共同調達や開発の協力などで具体的な方針を決めるほか、中長期的な戦略を議論してきました。

これまで、この会議の場で日産とルノーの研究開発部門などを統合していく方針も決めました。

3社連合のうち、日産とルノーの間では提携の在り方についてその立場は大きく異なっています。

日産とルノーの資本関係は、ルノーは日産の議決権付き株式の43%余りを持つ大株主ですが、日産が持つルノーの株式は、15%にとどまっているうえ、議決権がありません。

これは、フランスの法律で、40%以上の出資を受けている会社との間で株式を持ち合っても、議決権が付かないためです。
つまり、ルノーの出資比率が40%未満に減らないと、日産が持つルノーの株式には議決権がないままなのです。
資本関係では、ルノーの支配力が強い構図です。

支配力の表れが日産とルノーの間の人事の取り決めです。
例えば、日産の経営を担う会長など、COO=最高執行責任者以上の職にはルノー出身者を1人置く、また、アムステルダムに拠点を置くグループの統括会社「ルノー・日産BV」の経営トップにはルノーのCEO=最高経営責任者が就くなどの取り決めを交わしています。

資本関係とは逆に、ルノーの利益のおよそ半分が日産の株式の持ち分に応じて得られる利益で占められ、収益面では日産がルノーを支えています。

こうしたことから、日産社内では、今の形で株式を持ち合う資本関係を見直すべきという意向が強まっています。

日産の西川社長も、19日の記者会見で「ガバナンス上、1人に非常に権限が集中しすぎることが問題だ」と今回の事件の背景を振り返り、関係見直しへの意欲をにじませました。

一方、ルノーにとっては資本関係を見直し、株式を手放せば利益が減ることになります。
さらに筆頭株主のフランス政府がルノーの経営を安定させて雇用を守りたいとする強い意向を示しています。

フランスのルメール経済相は27日、地元のテレビに出演し、ルノーと日産の関係について「2社のお互いの出資比率は変えてはならない。2社のパワーバランスが変わることは望まない」と述べました。

このため、ルノーは日産とは逆に関係の維持、強化を強く求めていると見られます。