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先月30日に94歳で亡くなったアメリカの第41代大統領ジョージ・H・W・ブッシュ氏の国葬は、5日、首都ワシントンのワシントン大聖堂で執り行われ、トランプ大統領夫妻のほか、オバマ前大統領やクリントン元大統領など、歴代大統領をはじめ、政財界の要人や各国の特使ら合わせておよそ3000人が参列しました。

ブッシュ元大統領の長男で、アメリカの第43代大統領を務めたジョージ・ブッシュ氏は弔辞で、「父は、国と国民を愛し、誠意と勇気を持って行動するというアメリカ大統領としてのあるべき姿を教えてくれた。これからの歴史の教科書には、『ジョージ・H・W・ブッシュアメリカの偉大な大統領だった』と書かれるだろう」とその功績をたたえました。

一方で弔辞には、温かみのあるユーモアも織り込まれました。このうち、ブッシュ元大統領がブロッコリーは嫌いだと公言したために農家から大量のブロッコリーを送られたエピソードをめぐり、「父は決して完璧な人間ではなかった。野菜嫌いで、特にブロッコリーは受け付けず、その欠点は息子たちにも受け継がれている」と紹介され、会場の笑いを誘っていました。

アメリカのメディアは、連日、国際協調を重視し、東西冷戦を終結に導いたブッシュ氏の功績を強調しており、5日は「国民追悼の日」として連邦政府機関が休みになるなど、全米が追悼ムードに包まれています。

ブッシュ氏のひつぎは、国葬のあと、地元の南部テキサス州に運ばれ、ことし4月に亡くなったバーバラ夫人の隣に埋葬されます。

トランプ大統領国葬が執り行われたワシントン大聖堂にメラニア夫人とともに到着し、最前列に座りました。その横には、すでにオバマ前大統領夫妻、クリントン元大統領夫妻、そしてカーター元大統領夫妻が座っていました。着席する際、メラニア夫人は、オバマ前大統領やクリントン元大統領と握手し、ヒラリー氏も、軽く頭を下げて、あいさつに応じました。一方、トランプ大統領は、オバマ前大統領夫妻とは握手を交わしましたが、クリントン元大統領夫妻とはあいさつをかわすことはありませんでした。とりわけ、トランプ大統領とヒラリー氏は目をあわせることもなく、おととしの大統領選で激しく争った両者の関係が今も冷え込んだままであることをうかがわせました。

安倍総理大臣の特使としてワシントンで行われたブッシュ元大統領の国葬に参列した福田元総理大臣は、国葬のあと記者団に対し、「冷戦が終わり、切り替わりのときにうまく処理してくれた。大変立派な大統領だった」と振り返りました。

そのうえで「任期が1期で終わってしまったことは個人的には残念で、もっと長くアメリカの大統領をやってくれたなら世界も変わっていたのではないかと思う。その気持ちが長男で43代大統領のブッシュ氏に引き継がれたのではないか」と述べました。

また福田元総理大臣は、今のトランプ政権について問われると、「今と昔を比較するようなことを私の立場で言うべきではないが私は個人的には、ブッシュ大統領の時代は懐かしいという思いがしている」と述べ、亡くなったブッシュ元大統領の功績をたたえていました。