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イギリスのメイ首相は10日午後、議会下院で緊急の声明を発表し、翌日に予定されていたEUからの離脱協定案について、議会での採決を延期すると発表しました。

理由についてメイ首相は、協定案に盛り込まれた北アイルランドアイルランドの国境管理の取り決めについて議員の懸念を払拭(ふっしょく)できなかったためだとし、「採決を行っても大差で否決される可能性が高いと判断した」と述べ、みずからの苦境を認めました。

また、今後の対応についてメイ首相は、今週13日から開かれるEU首脳会議を前に各国の首脳らと会談すると述べましたが、議会における次の採決の日程について見通しは示しませんでした。

イギリスでは、協定案に反対を表明している議員は、与党だけでも100人に達するとの見方がでて、採決を強行して惨敗した場合、首相の進退問題に発展するとして懸念が広がっていました。

議会では北アイルランドの国境問題についてEUにさらなる譲歩を迫るべきだとの声や、国民投票をやり直すべきだとの声が相次ぎ、来年3月29日の離脱への道筋は一層不透明さを増しています。

EUからの完全な離脱を求める「離脱強硬派」の議員で与党・保守党のマーカス・フィッシュさんは、NHKの取材に対し、「協定案の承認の可能性がないことを政府がようやく理解したことはよかったが、協定案はあまりにも欠点が多い。多少の修正を加えたところで到底、支持を得られるものではない」と述べ、議会の支持を得るためには大幅な修正が必要だと強調しました。

また首相の進退について、「メイ首相が本当に人々の望む離脱を実現できるのか疑問がわく。国民投票の結果やマニフェストでうたわれた主要政策を実現できない首相は退陣するのが普通だ」と述べ首相への圧力を強める構えを示しました。

イギリスのメイ首相が今週行われるEU首脳会議を前に各国の首脳らと会談すると述べたことについて、EUのトゥスク大統領は10日、ツイッターに「われわれは再交渉はしない」と投稿し、再交渉には応じない考えを改めて強調しました。

一方で「イギリス議会での批准を容易にする方法について議論する用意がある」として13日に開かれる首脳会議で急きょ、離脱問題を議題にする考えを示しました。

https://d1021.hatenadiary.jp/entry/2018/12/08/200310(英首相 EU離脱協定案の議会採決に向け国民に訴え)

離脱をめぐる一連の手続きの直接の引き金となった離脱の通知について、EU側はこれまで「撤回するには、他の27か国の同意が必要だ」と主張してきましたがEUの基本条約には明記されていません。

このため、離脱に反対するスコットランドの議員が去年、イギリスは他の国の同意がなくても通知を撤回できるのかどうか、EUの最高裁判所にあたるEU司法裁判所に判断を仰いでいました。これについてEU司法裁判所は10日「イギリスは一方的に離脱通知を撤回することができる」との判断を示しました。

そのうえで、離脱通知の撤回が可能なのは、EUとの離脱協定が発効するまでか、あるいは、離脱協定がない場合には、通知から2年間の交渉期間が終了するまでだとしています。

メイ首相はこれまで国民投票で示された民意を尊重するとして離脱を撤回する意思は示していません。ただ、他の加盟国の同意がなくても一方的に離脱通知を撤回することが可能だという司法判断が示されたことで、イギリス国内のEU残留派を勢いづかせることにつながるのか注目されています。

https://d1021.hatenadiary.jp/entry/2018/12/05/200310(EU司法裁判所の法務官は4日、「加盟国は離脱の通知を一方的に撤回することができる」との見解を発表し、離脱協定が正式に結ばれるまでの間は、イギリスが他の加盟国の同意を得ずに離脱を取り下げることができるとの見方を示しました。)