https://d1021.hatenadiary.com
http://d1021.hatenablog.com


 お金を稼ぐというのは生半可なことではありません。現場が汗水垂らして稼いだお金を、気前よくジャンジャン使っていればアッという間に底を突いてしまいます。しかも、リーダーの「緩み」は、必ず全体の「緩み」に繋がります。その結果、ムダな経費ばかりが増え、ぜい肉過多のな組織体質へと変質。一度出来上がった組織体質は、一朝一夕には変わりませんから、これが組織を致命的な状況に追い込むことになるのです。


 だから、私は「ケチ」に徹してきました。
 ムダなお金は使わない。節約できるところはとことん節約する。細かいところまで、それを徹底してきたのです。「社長なのに、そんなことまで?」と思われたこともあったと思います。

 ただし、「ケチ」であることが、私の本旨ではありません。
 むしろ、単なる「ケチ」は組織を壊します。経営状況が悪化すると「ローコスト・オペレーション」と称して、とにかく「経費削減」を徹底することで利益を確保しようとする経営者を見かけます。絞るだけ絞って数字(利益)を生み出そうとするわけですが、これ一辺倒では、組織は必ずレームダック(死に体)に陥ります。


 なぜなら、ローコスト・オペレーションだけでは、縮小再生産にしかならないからです。経営状況が悪化したということは、何らかの理由で事業構造に問題があるということ。その構造を転換することなくして、再び成長軌道に乗せることなどできるはずがありません。それを放置したまま、交際費や出張費など必要不可欠な経費まで絞りすぎると、社員のモチベーションまで下げてしまうことになります。とてもではありませんが、それで組織再生などできるわけがないのです。


 だから、私は「リーン&ストラテジック(Lean & Strategic)」を徹底してきました。「リーン」とは「ぜい肉がなく引き締まった筋肉質」という意味。「ムダなお金は使わない」=「ケチ」ということです。そして、「ストラテジック」とは「戦略的」という意味。つまり、「ケチ」に徹することで、ぜい肉がなく引き締まった健全な組織体を築き上げるとともに、そこで浮いたお金を戦略的な投資に回すということです。重要なのは「リーン」と「ストラテジック」を同居させること。そうすることではじめて、「経営の質」を高め、「持続的成長」を遂げる企業にすることができるのです。

 優先したのは職場環境の改善でした。社屋の老朽化が進んでいましたから、浮いたお金を修繕費に回したのです。車の騒音がうるさくなってきたので、窓ガラスを二重にしたほか、カーテンもじゅうたんも新しいものに交換。手狭になっていたのでフロアも増床。機材も新しいものに取り換えていきました。