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イギリスの有力なシンクタンク、国際戦略研究所は14日、世界各国の軍事力や地域情勢を分析した年次報告書、ミリタリー・バランスを発表しました。


報告書では、軍の近代化を進めている中国軍について、戦闘機に搭載する空対空ミサイルの新型をことし中にも配備する可能性があるほか、ステルス性能を持つとされる新型戦闘機「殲20」を2020年までに前線に本格配備すると見られる、としています。


そのうえで、報告書は「冷戦終結後、アメリカとその同盟国が当然のこととしてきた空の優位性が揺らぐ可能性がある」と指摘しました。


また、中国軍が2000年以降、日本と韓国、それにインドの合計を上回る数の駆逐艦や潜水艦などを導入していることや、東アフリカのジブチに設けた基地を利用して地中海などに展開する艦船の支援を行うと見られるとして海軍の急速な増強についても注目しています。


報告書を執筆した専門家たちは記者会見で、アメリカと同盟国は、戦略だけでなく航空宇宙技術の見直しまで迫られる可能性があるとし、日本の自衛隊が近く、上陸作戦専門の部隊「水陸機動団」を発足させるなど新しい分野に取り組まざるをえなくなっていると指摘しています。


アメリカ太平洋軍のハリス司令官は、議会下院の公聴会に出席し、軍備増強を進める中国について、「国際的な仲裁裁判で南シナ海に関する中国の主張が否定されたにもかかわらず、強硬な行動を続けている。航空機の収容施設やレーダー施設、それに、滑走路などを備えた7つの新たな基地を南シナ海に築いた」と述べて、非難しました。


そのうえで、「中国軍は急速な軍備増強で、ほぼすべての分野で近くアメリカ軍に対抗できる可能性がある」と述べるとともに、サイバーや宇宙、それに、AIなどの新たな軍事技術にばく大な投資を行っていて、アメリカ軍の優位性が失われかねないと警鐘を鳴らしました。


また、ハリス司令官は、中国が掲げる巨大経済圏構想「一帯一路」についても、「インド太平洋地域からアメリカの影響力を排除する狙いがある」と警戒感を示したほか、「中国がインド太平洋地域だけでなく、世界各地で影響力を増大させるにつれて、ルールに基づいた国際秩序を軽視している」と述べて、中国の行動に強い懸念を示しました。

一方、北朝鮮弾道ミサイルに備えて日本が、地上配備型の新型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の導入を決めたことについて、ハリス司令官は「導入されれば、現在、日本の防衛を支援する任務に就いているアメリカ海軍の艦船の負担を減らせる。その分、南シナ海やインド洋など必要な場所に艦船を派遣することができる」と述べて、導入に期待を示しました。


そのうえで、現在のミサイル防衛システムに自信を示しながらも、「数年後の北朝鮮のミサイル能力を考えると、われわれは引き続きミサイル防衛システムを強化しなければならない」と述べ、日本やハワイなどに配備している迎撃システムやレーダーなどを更新していく必要性を強調しました。