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中国の北京では26日、北朝鮮から要人を乗せたとみられる列車が到着し、厳戒態勢の中、車列が人民大会堂から釣魚台迎賓館に移動するのが確認されました。


また27日は、ハイテク企業や大学などが集まる中関村という地区を通過した車列が駅に入ったあと、列車が中朝国境の方角に向けて出発して北京での2日間にわたる日程を終え終えました。


そして列車は、日本時間の28日午前7時ごろ、東北部の遼寧省丹東の駅から国境にかかる橋を渡って帰国したのを、NHKの取材班が確認しました。


この北朝鮮の要人について、中朝関係に詳しい関係者の間では、キム・ジョンウン朝鮮労働党委員長が2012年4月に名実ともに最高指導者に就任して以来、初めての外国訪問として中国を訪れ、習近平国家主席と首脳会談を行ったのではないかという見方が強まっています。


これが事実だとすれば、会談では、核・ミサイル問題をめぐって冷え込んでいる中朝関係の改善に加え、来月末の南北首脳会談や、5月までに開かれる見通しの史上初の米朝首脳会談について、突っ込んだ意見が交わされたものとみられます。


中国と北朝鮮は、かつてキム委員長の父親のキム・ジョンイル金正日)総書記が特別列車で中国を訪れた際、帰国の途に就いたあとに訪問の事実を明らかにしていたことから、28日にも国営メディアを通じて行われるとみられる公式発表が注目されます。


中国国営の新華社通信が28日午前に伝えたところによりますと、北朝鮮キム・ジョンウン金正恩朝鮮労働党委員長は、28日までの4日間の日程で、中国の北京を訪問し、習近平国家主席と初めての首脳会談を行ったということです。


キム委員長が首脳会談に臨んだり外国を訪問したりしたのは、2012年4月に、名実ともに北朝鮮の最高指導者となって以来これが初めてです。


会談では、核・ミサイル問題をめぐって冷え込んでいる中朝関係の改善に加え、来月末の南北首脳会談や、5月までに開かれる見通しの米朝首脳会談について、突っ込んだ意見が交わされたものとみられます。


中国国営の新華社通信によりますと、北朝鮮キム・ジョンウン朝鮮労働党委員長は28日までの4日間の日程で中国を訪問し、習近平国家主席と初めての首脳会談を行いました。


この中で習主席は、ことしに入ってから朝鮮半島情勢に前向きな変化が見られると歓迎したうえで「われわれは朝鮮半島において非核化を実現するという目標を堅持するとともに、平和と安定を守り、対話を通じて問題を解決する」と述べ、中国政府の従来の立場を強調しました。


そして「中国は引き続き朝鮮半島問題で建設的な役割を果たし、各国とともに努力して情勢の緩和を進めたい」と述べました。


これに対してキム委員長は「祖父のキム・イルソン(金日成)主席と父親のキム・ジョンイル金正日)総書記の遺訓に従って、朝鮮半島の非核化の実現に力を尽くすのはわれわれの一貫した立場だ」と述べ、朝鮮半島の非核化に向けた意思を示したとしています。


そのうえで「われわれは南北関係を和解と協力の関係に転換させることを決心した。アメリカとも対話をして首脳会談を行いたい」と述べ、来月末の南北首脳会談や、5月までに開かれる見通しの史上初の米朝首脳会談に意欲を見せたということです。


さらに、米韓両国について「わが国の努力に応えれば、平和の実現のために段階的かつ同時に措置を講じ、朝鮮半島の非核化の問題は解決することができるだろう」と述べたということです。


一方、北朝鮮側も国営の朝鮮中央通信を通じて発表し、それによりますと、会談では中朝両国の友好関係の発展や朝鮮半島情勢の問題など、重要な懸案について突っ込んだ意見交換が行われたということです。


この中でキム委員長は「中国側と頻繁に顔を合わせて友情を厚くし、戦略的な意思疎通と戦略・戦術的な協力を強化していかなければならない」と述べた上で、習主席に北朝鮮訪問を招請し、快諾されたとしています。


ただ、朝鮮半島の非核化をめぐるやり取りについては一切触れておらず、中国側の発表とは温度差も見られます。


キム委員長が首脳会談に臨んだり外国を訪問したりしたのは、2012年4月に名実ともに北朝鮮の最高指導者となって以来これが初めてです。

北朝鮮キム・ジョンウン金正恩朝鮮労働党委員長は、2012年に名実ともに最高指導者に就任して以降、外国を訪問したり、首脳会談に臨んだりしたことはありませんでしたが、ピョンヤンを訪れた友好国の要人や代表団と、会談を行ってきました。


キム委員長が外交デビューしたのは、みずからが最高指導者に就任した2012年、中国共産党で対外交流を担う中央対外連絡部の部長だった王家瑞氏との会談でした。


その後、中国の要人としては、同じ2012年に全人代全国人民代表大会の副委員長だった李建国氏と、2013年に国家副主席だった李源潮氏と、そして、2015年に共産党の最高指導部メンバーの政治局常務委員だった劉雲山氏と、それぞれ会談しています。


また、ほかの友好国との間では、2013年にシリア・アサド政権の与党バース党の代表団と意見を交わしたのに続いて、2015年にキューバ国家評議会の第1副議長と、2016年にも、キューバラウル・カストロ国家評議会議長の特使と、それぞれ会談し、友好関係を確認していました。


一方、韓国との間では、2011年にキム・ジョンイル金正日)総書記が死去したのに伴って弔問のため北朝鮮を訪れた、キム・デジュン(金大中)元大統領のイ・ヒホ(李姫鎬)夫人などと面会してあいさつを交わし、今月5日には、大統領府のチョン・ウィヨン(鄭義溶)国家安保室長をトップとする、ムン・ジェイン(文在寅)大統領の特使一行と会談し、南北関係の改善に向けた姿勢を強調していました。


この中でキム委員長は「習主席をはじめとする中国側と頻繁に顔を合わせて友情を厚くし、戦略的な意思疎通と、戦略・戦術的な協力を強化していかなければならない」と述べた上で、習主席に北朝鮮訪問を招請し、快諾されたとしています。


これに対して習主席は、キム委員長が初めての外国訪問として中国を訪れたことを歓迎し、「両国の親善を重視して絶えず継承していくことが、中国の確固たる意思だ」と述べ、友好関係を強調したということです。


一方、朝鮮半島の非核化をめぐるやり取りについては、一切、触れていません。


キム委員長の中国訪問には、リ・ソルジュ(李雪主)夫人のほか、最側近のチェ・リョンヘ副委員長や、党で国際関係を統括するリ・スヨン副委員長、それに、リ・ヨンホ外相など、指導部のメンバーたちが同行しており、国営メディアは、今回の訪問を「歴史的な出来事」だと称賛しています。


中国国営の新華社通信によりますと、北朝鮮キム・ジョンウン金正恩朝鮮労働党委員長との会談で、中国の習近平国家主席は、中国と北朝鮮との関係について、「中朝の伝統的な友好関係は、両国の前の世代の指導者が確立し、心を込めて育んできたもので、双方の共同の貴重な財産だ」と指摘しました。


また北朝鮮の核・ミサイル開発をめぐって中朝関係が冷え込んでいることを念頭に、「われわれは伝統的な友好関係を継承して、さらに発展させる意向を何度も示したが、これは国際情勢や中朝関係の大局に基づいた戦略的な選択かつ、唯一の正しい方法であり、その時々や1つの事柄によって変化させるべきでない」として友好関係を継続すべきだと強調しました。


そのうえで習主席は「ハイレベルの交流は中朝関係の発展の歴史に最も重要な役割を果たしてきた。キム委員長と相互の訪問や特使の派遣などの方法で常に連絡を取っていきたい」と述べて、今後も首脳間の往来も含め、緊密に連携を深めていくべきだと強調しました。


アメリカ・ホワイトハウスのサンダース報道官は、27日に声明を出し、中国政府から、北朝鮮キム・ジョンウン金正恩朝鮮労働党委員長の中国訪問について説明を受けたことを明らかにしました。


サンダース報道官は、中国から受けた説明の詳しい内容は明らかにしていませんが、キム委員長と会談した習近平国家主席から、トランプ大統領宛てのメッセージも含まれているということです。このメッセージは、トランプ大統領に伝えられたと説明しています。


また、サンダース報道官は「アメリカは、同盟国の韓国、そして日本と緊密な連携を保っている」として、北朝鮮への対応で日米韓3か国の連携を重視する姿勢を改めて示しました。


そのうえで、「今回の展開について、アメリカは北朝鮮への圧力を最大限まで高める取り組みが対話に向けた適切な機運を作り出している証拠だとみている」として、トランプ政権による圧力強化の取り組みが北朝鮮の対話姿勢につながっていると強調しました。