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内戦が続くシリアでは、ロシアなどが支援して優勢を保っているアサド政権が先月中旬から、反政府勢力が支配を続けている南西部のダラア県に対して、攻勢を強めています。


反政府勢力側はアサド政権の後ろ盾となっているロシアと停戦に向けた協議を行ったものの条件が折り合わず、4日、交渉は事実上決裂したということで、シリア内戦の情報を集めている「シリア人権監視団」によりますと、その直後から、アサド政権側による空爆や砲撃がさらに激しくなっているということです。


人権監視団のまとめでは、この半月余りの間に死亡した市民の数は子どもを含め、149人にのぼっています。


国連によりますと、戦闘が激しい地域を逃れた避難民はすでに32万人を超えていて、その多くが隣国ヨルダンを目指しています。


ただ、すでに多くの難民を抱えているヨルダンとしては国境を閉鎖し続ける構えで、国境に集まった大勢の避難民が行き場を失っています。


国連のグランディ難民高等弁務官は5日、声明を出し、「緊急の対応がとられなければ罪のない多くの命が失われる」として強い懸念を示したうえで、すみやかな停戦と、避難民の保護を呼びかけています。

NHKはヨルダンとの国境沿いに避難しているダラア県の住民を通じて、現地の映像を入手しました。


映像は4日に撮影されたもので、戦火から逃れてきた住民たちがシートや布で仕立てた急ごしらえのテントが、荒れ地に並んでいます。また、大勢の人々が水をもらおうと、ポリタンクを手に給水車の前で列をつくっていて、日中の気温が30度を超えるなかで水不足が大きな問題となっている状況が伝わってきます。


避難している住民の1人は「空爆が昼も夜も続き、子どもたちと逃げてきた。恐ろしいことだ。われわれは今、飲料水がなく、苦しんでいる」などと窮状を訴えていました。


別の住民は「われわれは住むところを失い、この国境沿いの地域に来た。私には持病があって薬が必要だが、薬なしですでに5日間をすごし、病状が悪化している。どうしたらよいのだろう」と途方に暮れた様子でした。


映像では、住民たちがテント暮らしを強いられているシリア側の土地とヨルダン側とが、鉄条網で仕切られている様子も確認できます。


ヨルダンは避難民の受け入れを拒んでいますが、容体が悪化した病人などは例外的に認めているとみられ、避難民が鉄条網を越えて病院へと運ばれていました。鉄条網の近くでは大勢の避難民がたたずんでいて、行き場のない人々の苦悩がうかがえます。

激しい戦闘が起きているシリア南西部は、ヨルダンのほか、イスラエルの占領下にあるゴラン高原とも接しています。


アサド政権による攻撃が激しくなったのをきっかけに、シリア側から、およそ1万5000人の避難民がイスラエル側の境界にも押し寄せていて、身柄の保護や避難生活の支援を訴えています。


NHKの取材班が5日、シリア側の境界地帯を撮影した映像では、多くのテントが張られている様子や、野宿をしながら避難生活をおくる人の姿が確認できました。


また、シリア側からは空爆によるとみられる大きな爆撃音が時折聞かれました。イスラエルは難民として受け入れることを拒否していますが、人道的な措置として、大けがを負った人を受け入れて治療したり、食料などの支援物資を提供したりしています。


境界付近でテント生活をおくる29歳の避難民の男性は、NHKなどの電話取材に応じ「先月中旬にすさまじい空爆が始まり、自宅は破壊された。続いて、アサド政権やイランの部隊がいっせいに攻めて来て、宗派が異なる自分たちは皆殺しにされると思い、怖くなり、3歳の息子と妊娠8か月の妻を連れて逃げて来た。国際社会は私たちの命を守るために行動を起こしてほしい」と訴えていました。

アサド政権による激しい攻撃が続くシリア南西部の地域では、32万人を超える人たちが家を追われ、避難民となっています。


避難民の多くは隣国ヨルダンを目指していて、国連によりますと、国境周辺では、およそ6万人がヨルダンへの入国を待ちながら、避難生活を送っています。


ただ、ヨルダンはすでに66万を超えるシリア難民を受け入れていて、安い賃金で働くシリア難民に雇用が奪われているなどとして国民の間では不満が高まっています。


ヨルダン政府は、これ以上のシリア難民の受け入れは困難だとして、国境を閉鎖し続けていて、大勢の避難民が行き場のないまま国境近くのシリア側にとどまる事態になっています。


国際的な人権団体、「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」は飲料水やテント、食糧が足りなくなっているとして、早急に国境を開くようヨルダンに求める声明を出しました。


また、国連のグランディ難民高等弁務官はヨルダン政府に対し、国境を開けて一時的な避難を許可するよう求めるとともに、国際社会に対しても、難民としての受け入れ負担を軽減するために、ヨルダンへの緊急支援を行うよう呼びかけています。


これを受けて、安保理では5日午前、非公開で緊急の会合を開きました。議長を務めるスウェーデンのスコーグ国連大使は、会合に先立って、記者団に対して、人道支援の実施と戦闘の停止に向けて安保理の結束した立場を表すコメントの発表を目指す考えを示していましたが、会合終了後、「重点をどこに置くか、国によって違いがある」と述べコメントの発表には至りませんでした。


これについてロシアのネベンジャ国連大使も「多くの国が停戦の必要性に焦点をあてているが、この戦闘はテロリストとの戦いであり、われわれはそこに重きを置いている」と述べていて、各国は人道支援を速やかに実施する必要性で一致したものの、戦闘の停止については、アサド政権を支援するロシアと各国の意見が分かれました。


シリアの内戦で、ロシアなどの支援を受けて圧倒的に優位なアサド政権は、先月中旬から、反政府勢力が支配してきたシリア南西部のダラア県に対して激しい攻撃を行っています。


こうした中、アサド政権は、6日、国営通信を通じて、政権側が最終的にダラア県全域を支配下に置くことになったと宣言し、この地域に残ることを望まない戦闘員やその家族は、反政府勢力が支配する北西部のイドリブ県に移住することで反政府勢力側と合意したと発表しました。


また、反政府勢力の広報官は、NHKの取材に対し、アサド政権の後ろ盾のロシアに対し、重火器を引き渡し停戦することで合意したと明らかにしました。


ダラア県は、反政府勢力に残された数少ない拠点の1つで、今後、反政府勢力が撤退しアサド政権側が完全に掌握することになれば、シリア内戦におけるアサド政権の優位がさらに揺るがないものとなります。


一方、ダラア県では政権側の攻撃によって、この2週間余りで子ども32人を含む市民159人が死亡し、32万人が家を追われており、今回の停戦合意で避難民の人たちに支援物資が届けられるかが期待されています。

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シリアの首都、ダマスカスの近郊でことし4月、反体制派が残る地域に化学兵器の使用が疑われる攻撃が行われ、アサド政権による化学兵器の使用だと断定したアメリカやイギリスがシリアの化学兵器関連施設を攻撃する事態となりました。


OPCWはその後、調査チームを現地に派遣して、がれきや負傷者などからサンプルを採取して分析を進め、6日、暫定の報告書を公表しました。


それによりますとサンプルから爆発物の残留物質とともに有機塩素が検出され、塩素ガスが使用された可能性があるということです。


一方で、アメリカなどが、アサド政権によって塩素ガスとともに使用されたとしていたサリンなどの神経剤は検出されなかったということです。


OPCWではさらに詳しい分析を進め、正式な報告書をまとめることにしています。