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シリアやイエメンなど中東地域で食糧支援を行っているWFPの責任者、ムハンナド・ハディ氏は、7日、都内でNHKの単独インタビューに応じました。


この中でハディ氏は、シリアの反政府勢力の最後の主要な拠点、北西部イドリブ県で多くの人が食糧支援を必要としているとする一方で「食糧支援のためには地域で協力してくれるパートナーが必要だが、反政府勢力内でも日々争いが絶えず、安全に食糧を届けることが難しくなっている」と述べ、支援活動が困難になっていると指摘しました。


そのうえで、アサド政権がイドリブ県で総攻撃に踏み切るとの見方が強まっていることに対し「女性や子どもたちの安全を非常に懸念している。政治的解決によって戦闘を早く終わらせるべきだ」と話し、シリアに影響力を持つロシアとイランそれにトルコの3か国の首脳の話し合いで打開策を見いだすことに期待を示しました。


またハディ氏は、内戦が続くイエメンでも人道危機が深刻化していると懸念を示したうえで「支援が必要な人々に食糧が届くように認めてほしい」と述べ、軍事的に包囲されている地域に対しても国連が支援物資を安全に運びこめるよう訴えました。


シリアの内戦では、優位に立つアサド政権が反政府勢力の最後の主要な拠点の北西部イドリブ県とその周辺を近く総攻撃する構えで、市民を巻き込んで多くの死傷者が出ることが懸念されています。


こうした中、アサド政権の後ろ盾のロシアのプーチン大統領とイランのロウハニ大統領、それに、反政府勢力を支援するトルコのエルドアン大統領は7日、イランの首都テヘランで対応を協議しました。


ロウハニ大統領は「イドリブ県での戦闘はシリアに安定を取り戻すために欠かせない任務だ」と述べ、プーチン大統領「現時点での主要な課題はイドリブ県から戦闘員を追い出すことだ」と攻撃の必要性を強調しました。


これに対しエルドアン大統領は「総攻撃が行われれば破滅的な結果を招く」と述べ、反対しました。


会議のあと3か国は共同声明を発表し、市民の犠牲者が出る事態を避けるといったことが示されましたが、トルコが求めた停戦については合意されませんでした。


イドリブ県ではすでに今月4日、ロシアが空爆に踏み切っていて、首脳会議で戦闘の回避に向けた打開策が見いだせなかったことから、ロシアとイランの後ろ盾のもとでアサド政権が軍事作戦を強行するとの見方が強まっています。

会議では、トルコのエルドアン大統領が共同声明に「停戦」の文言を入れるよう呼びかけましたが、ロシアのプーチン大統領はこれに応じませんでした。


エルドアン大統領は「ここできょう停戦宣言ができれば重要な一歩で、この会議の勝利になると思う」と訴え、アサド政権によるイドリブ県への軍事作戦を止めようと呼びかけました。


しかしプーチン大統領は「この場に武装組織の代表がいないため、われわれは彼らに、射撃をやめようとかドローンを使った爆撃をやめようとか言うことができない」と述べ、アサド政権やロシアが仮に攻撃を停止しても停戦は守られないと反対しました。


それでもエルドアン大統領は「停戦という表現が入れば発表される声明はもっと的を射たものになるだろう」と述べ、共同声明に「停戦」という文言を入れるべきだと改めて呼びかけました。


これに対してプーチン大統領は「われわれは共同声明が最大限機能的かつ外交的になるよう作成した」などと述べて、エルドアン大統領の呼びかけには最後まで応じませんでした。


ロシアの航空宇宙軍と海軍は、今月1日から8日まで初めて地中海で軍事演習を実施していて、シリアに駐留するロシア軍の戦略爆撃機や戦闘機など34機のほか、2隻の潜水艦を含む26隻の艦船が参加しました。


ロシアの国営テレビは、7日、この訓練の一部を伝え、海軍特殊部隊の隊員が敵の艦船に見立てた船を制圧したり、潜水服に身を包んだ隊員が海中で行動する様子が紹介されました。


今回の演習が実施されたのは、地中海に面したシリアの内戦で、優位に立つアサド政権が反政府勢力の最後の主要拠点である北西部イドリブ県とその周辺に対して近く軍事作戦を行う構えであることに関連しているとみられます。


イドリブ県などへの攻撃は、市民を巻き込んで多くの死傷者を出すと懸念され、アメリカは攻撃しないよう強く警告しているだけに、ロシアとしては、地中海で軍事力を誇示することでアメリカをけん制し、アサド政権の軍事作戦を間接的に後押しする狙いがあるとみられます。

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