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日本とEUのEPAは、去年12月、日本とEU双方が、国内の手続きを終えたことから、1日午前0時に発効しました。

このEPAは、域内の人口が6億4000万人、輸出と輸入を合わせた貿易額は世界の37%、GDP=国内総生産の規模では28%を占める、大型の経済連携協定です。

日本側は農林水産品など94%の品目でEU側は99%の品目で関税が撤廃されるほか、投資やサービス、政府による調達など幅広いルールの分野でも自由化が進みます。

政府は協定の発効によって貿易や投資が拡大し、日本の実質GDPをおよそ1%押し上げ、雇用もおよそ29万人増えると試算しています。

日本とEUのEPAは、すでに発効しているTPP=環太平洋パートナーシップ協定とともに、日本が交渉を主導しただけに、保護主義的な動きが広がる中、政府としては相次ぐ大型協定の発効で自由貿易の重要性を改めて世界に訴えたい考えです。

EUは、日本とのEPAにより、日本がかけてきた年間10億ユーロ(日本円でおよそ1250億円)の関税の多くが撤廃されるとしています。

その結果、日本への輸出は大幅に拡大し、加工食品の輸出は51%増えて、中でもチーズをはじめとする乳製品は215%、額にして900億円余り増える見込みだと試算しています。
また、衣料などの繊維製品は220%、額にしておよそ6500億円増えるとしています。

EUはこうした効果をもたらす自由貿易協定の締結を、日本をはじめ各国と積極的に進めています。

その背景には、自由貿易こそが経済成長や雇用の拡大をもたらし、域内の企業の競争力強化にもつながるという考えがあります。

EUは、最大の輸出相手国のアメリカのトランプ政権が保護主義的な姿勢を崩していないことを、警戒しています。

去年、アメリカとの間では、工業製品の関税ゼロなどを目指すことを盛り込んだ合意を交わし、ひとまず貿易摩擦が激化する事態は回避しましたが、依然として立場の隔たりは埋まっていません。

また、輸入相手国として最大の中国とは自由貿易推進についての認識は一致していますが、EUは、鉄鋼製品などでは中国により不当廉売、いわゆるダンピングが行われているとしていて、双方の主張は食い違ったままです。

このため、EUは、日本との間で国際的なルールに沿いながら貿易を拡大することで、自由貿易のメリットを世界にアピールしたい考えです。

さらに、EUの加盟国の間で、移民政策などをめぐって、EUへの懐疑的な意見がくすぶる中、日本と結んだEPAのメリットを広く示すことで、EUの求心力を高めるねらいもあります。

日本とEUのEPAの発効で、多くの物品で関税が撤廃されたり、削減されたりしますが、イギリスがEUから離脱した場合には、関税が元に戻る可能性があります。

中でも双方の協定がないまま離脱する「合意なき離脱」となった場合、企業などが準備する時間もなく急に関税が元に戻り、大きな混乱を招くおそれが指摘されています。

このため、日本政府は、イギリスとEUに「合意なき離脱」を避けることや関税が元に戻るまでに一定の移行期間を設けるよう求めています。