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平成22年11月、秋田市の弁護士、津谷裕貴さん(当時55)が自宅に押し入った男に警察官の目の前で刺されて殺害された事件をめぐり、津谷さんの遺族は、無期懲役が確定した菅原勝男受刑者(75)と秋田県に対して賠償を求める訴えを起こしました。

当時、駆けつけた警察官は、津谷さんが男から拳銃を取り上げている状況を見て津谷さんの手を押さえましたが、その後、男が刃物を持ち出して津谷さんを殺害しました。

裁判では警察の対応が不適切だったかどうかなどが争われ、1審の秋田地方裁判所は「警察官の状況認識に問題があったことは否定できないが、不法行為は認められない」などとして、県に対する訴えは退け、受刑者の男にだけ1億6000万円余りの支払いを命じました。

13日の2審の判決で、仙台高等裁判所秋田支部の山本剛史裁判長は「警察官が着いた時点では、男は凶器を持っておらず、被害者を安全な場所に誘導していれば殺害されなかったことは確実だ」と指摘しました。

そのうえで「警察官は誰が侵入者なのかをその場で問いかけるべきだった。警察官の対応が適切ではなかったために殺害されたと評価せざるをえない」として、県の責任を認めて1審の判決を取り消し、県と男に対して1億6000万円余りの賠償を命じました。

事件は、9年前の平成22年11月に起きました。
秋田市の弁護士、津谷裕貴さん(当時55)が自宅に押し入った菅原勝男受刑者(75)に刃物で刺されて殺害されました。
津谷さんは、菅原受刑者と妻が離婚後の財産の分与をめぐって争っていた裁判で、妻側の代理人を務めていました。

事件が起きた時、津谷さんの自宅には、妻の良子さんから110番通報を受けた警察官が到着していました。
受刑者は拳銃や刃物を用意していて、津谷さんは警察官の目の前で殺害され、津谷さんの命を守ることができなかった警察の対応に批判が出ました。

当時の秋田県警察本部の佐藤憬刑事部長は、事件の対応の検証結果を県議会に報告するなかで、現場に駆けつけた警察官が警棒などを身に着けておらず、すぐに取り押さえられなかった点について「こうした突発事件に対する訓練も十分に行っていなかった」と述べ、改善に向けて取り組む考えを示しました。

菅原受刑者は殺人などの罪に問われ、平成28年最高裁判所無期懲役が確定しました。

津谷さんの遺族は、刑事裁判の中で警察の対応に不手際があったかどうか明らかにならなかったことから、6年前、秋田県と受刑者の男に対し、2億円余りの賠償を求める訴えを起こしました。

裁判で遺族は「警察官が犯人と間違えて津谷さんの両腕を取り押さえるなど、警察の対応に不手際があったために殺害された」と訴えました。

一方、県は「現場に着いた警察官はどちらが犯人かすぐに判断できない中で、危険を回避しようと最善を尽くしていて、対応に違法性はなく、殺害との因果関係もない」と主張し争いました。

おととし10月、1審の秋田地方裁判所は「警察官の状況認識に問題があったことは否定できないが、当時の状況では、警察官が津谷さんを侵入者と認識したことを非難することはできず、不法行為は認められない」として、県に対する訴えは退け、受刑者の男に1億6000万円余りの支払いを命じました。

これに対して遺族と受刑者が控訴し、2審では警察官が現場で津谷さんを保護できたかどうかなどが改めて争われました。

 判決によると、事件当時、現場には秋田県警の警察官2人が駆けつけたが、男から拳銃を奪い取った津谷さんの手首をつかみ、その間に侵入した男が刃物を取ってきて津谷さんを刺して殺した。控訴審判決は、警察官が男を侵入者と識別し、津谷弁護士に加勢していれば、男を制圧して逮捕できた可能性が高いなどと認定。警察官が安全保護義務に違反したとして、県に賠償を命じた。

 地裁判決は、警察官が津谷さんを侵入者と認識したことについて「当時の状況に照らすと不合理ではなく、非難できない」として不法行為にあたらないと結論づける一方、男に約1億6480万円の賠償を命じた。男は控訴したが、控訴審判決は男の控訴を棄却した。