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特捜部の判断が妥当かどうか、大阪第一検察審査会は市民団体などからの申し立てを受け、去年6月から審査を続けていました。

その結果、佐川元理財局長らいずれも当時の財務省理財局の職員7人について公文書変造や公用文書毀棄での不起訴は納得できないとする「不起訴不当」の議決をしました。

また、背任容疑で告発された近畿財務局の職員3人と国土交通省大阪航空局の職員1人についても「不起訴不当」の議決をしました。

これを受けて、大阪地検特捜部は再び捜査を行ったうえで、起訴するかどうか改めて判断することになりました。

ただ「不起訴不当」は、強制的な起訴につながる議決ではないため、特捜部が再び不起訴とした場合は、この問題をめぐっての捜査は終結することになります。

検察審査会財務省の決裁文書の改ざんや森友学園との交渉記録の廃棄について、佐川元理財局長らの不起訴は納得できないと判断しました。

このうち決裁文書の改ざんについて、特捜部は、佐川元局長らには文書の作成権限があり、権限のない人物が改ざんしたとする「公文書変造罪」にはあたらないと判断し、文書の根幹部分とみている学園側との契約内容や金額などに大きな変更はなかったことなどから、「文書をうその内容に変えたとまではいえない」として、「虚偽公文書作成罪」にもあたらないと判断しました。

これに対し、検察審査会は「修正する権限の有無は別にして、いったん決裁した文書を修正する場合には、その必要性と修正箇所を明らかにしたうえで再度決裁するのが社会的常識だ。

その常識を逸脱した行為がされており、一部の文書は大幅な削除によって第三者の視点から見ても原本の内容が変わってしまったと評価できるので、変造と言わざるをえない」と指摘しています。

さらに「国民の知る権利にこたえ、行政活動が適正に行われているかを国民に知らせる公務員としての職務の遂行を妨げる行為なので、公用文書毀棄罪が成立する」としています。

交渉記録の廃棄については、特捜部は、保存期間が1年間と指定され学園との間で、国有地の売買契約が結ばれてから1年がすぎているため、残っていたものを廃棄しても罪に問えないと判断しました。

これに対し、検察審査会は「国有地の貸し付けから売却に至るまでの国と学園のやり取りを考えると、将来的に必要になる文書と言えるうえ、国会の議論で記録の存在が問題となった時点で、手元に残っている以上は保存すべき文書といえる」と指摘して、検察に再度検討するよう求めました。

そのうえで、改ざんや廃棄について佐川元局長の「指示はしていない」という説明は信用できないとして、佐川元局長らいずれも当時の財務省理財局の職員7人について「不起訴不当」の議決をしました。

検察審査会は、大阪豊中市の国有地を8億円余り値引きして売却したことについて、近畿財務局と国土交通省大阪航空局の職員4人を特捜部が不起訴にしたのは納得できないとしました。

特捜部は、値引き額の根拠とされた地下のごみの撤去費用を独自に試算するなどしたうえで「不合理とはいえない」としていました。

これに対し、検察審査会は「検察の試算は、小学校として使われることを前提としておらず、見積もり内容ほどの工事が必要だったか否かについて検証されていない。学園と利害関係のない建設業者のみならず、教育機関や保健機関の意見も参考に客観性のある試算を行うなどごみの撤去処理費用についてさらに捜査を尽くすべきではないか」と指摘しています。

また、特捜部が「ごみの影響で小学校の開校が遅れた場合、国は学園側から10億円近い損害賠償を請求される可能性があった」と判断したことについては「賠償金額に具体性はなく、学園側の弁護士も国を相手にする裁判は相当厳しいものになると認識していたことが伺える。そもそも問題のごみは契約の範囲外とされているのに責任のすべてを国が負うと考えるのは納得ができない」としています。

そのうえで、検察審査会は、国側の代表者として学園からのクレームの矢面に立っていた近畿財務局の池田靖元統括国有財産管理官について「ごみの撤去工事の際の自己の判断ミスによる責任追及から解放されたいという強い思いが国に損害が生じるか否かの冷静な判断を誤らせ、自己保身のために学園が希望する価格に近づけるため売却価格ありきで値引きし、売り払ってしまう方向に動いたのではないかと推認できる」と指摘しています。

そして、注目された政治家の関与について、検察審査会は「検察の捜査記録からは政治家の秘書らの陳情や問い合わせに応じて、国側が何らかの便宜を図ったことがうかがえる証拠は認められない。しかし、不起訴とした証拠だけでは政治家らによる働きかけの影響の有無は判断しがたいので検察はさらに捜査を尽くすべきだ」としています。

そして議決の最後に「本件のような社会的に注目を集めた事件では公開の法廷で事実関係を明らかにするために起訴する意義は大きいのではないか」と指摘しています。

森友学園との国有地取り引きに関する財務省の決裁文書が改ざんされたり、交渉記録が廃棄されたりした問題で、大阪地検特捜部は告発されていた佐川元理財局長など財務省や近畿財務局の職員らを全員、不起訴としました。

14の決裁文書で行われた改ざんは、安倍総理大臣の妻の昭恵氏や政治家の名前が記された部分など300か所以上が削除されていました。

財務省はおととし2月下旬から4月にかけて本省理財局の指示で近畿財務局の職員などが実行役となって改ざんが行われたと説明しています。

特捜部は改ざんについて、「公文書変造罪」、「虚偽公文書作成罪」などの適用を検討しました。

そして捜査の結果、佐川氏らには文書の作成権限があり、権限のない人物が改ざんしたとする「公文書変造罪」にはあたらないと判断したものとみられます。

また、改ざんされた部分のほとんどが学園との交渉の経緯が記された添付文書の記述だったことや文書の根幹部分とみている学園側との契約内容や金額などに大きな変更はなかったことなどから、「文書をうその内容に変えたとまではいえない」として、「虚偽公文書作成罪」にもあたらないと判断したとみられます。

一方、財務省が意図的に学園との交渉記録を廃棄していた問題では、公務に使う目的で保管されている文書を廃棄することを禁じた「公用文書毀棄罪」にあたるかどうかが焦点になりました。

廃棄された交渉記録は平成25年から平成28年にかけて作成され、保存期間はいずれも1年未満だったことから特捜部はおととし2月以降に廃棄された段階で『保存すべき文書だった』とは認められないと判断したとみられます。

大阪・豊中市の国有地がごみの撤去費用などとして鑑定価格から8億円余り値引きされて森友学園に売却された問題で、大阪地検特捜部は去年5月、背任容疑で告発された財務省や近畿財務局の当時の幹部らを全員不起訴としました。

背任罪に問うには自分や学園側の利益を図ったり国に損害を与える目的があったこと、任務に背く行為をしたこと、そして実際に国に損害を与えたことを立証する必要がありました。

中でも値引きの根拠となったごみの撤去費用が不当で国に損害を与えたと言えるかどうかが最大の焦点になりました。

ごみの撤去費用について特捜部は「算定根拠が十分だったとはいえない」とみていましたが、ごみの試掘を行った業者の記録を分析するなどした結果、地中には一定の量のごみがあり、値引き額が不当に過大だったとまではいえないと判断しました。

さらに学園との売買契約にはごみの撤去費用を値引きすれば後にトラブルが起きても国に対して損害賠償請求をできないようにする特約が盛り込まれていたことも考慮しました。

特捜部は不起訴にした際の会見で、ごみの影響で小学校の開校が遅れた場合、損害賠償を請求される可能性があったことを挙げ、「売却によって国は相当額の損害賠償義務を免れた可能性を否定できず国に財産上の損害を生じさせたとは認められない」と説明していました。

検察審査会に申し立てを行った弁護士らで作るグループの共同代表である阪口徳雄弁護士と菅野園子弁護士は、「起訴すべきという議決が出なかったのは残念だ。検察はこの決定を重く受け止めて、検察審査会の思いや、決定の理由に書かれている点を再捜査して補充すべきだ」とコメントしています。