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財務省の決裁文書の改ざんは森友学園との国有地の取り引きに関する14の文書で行われ、学園側との事前の価格交渉をうかがわせる部分や安倍総理大臣の妻の昭恵氏の名前が記された部分などが300か所以上削除されていましたが、大阪地検特捜部は31日、虚偽公文書作成などの疑いで告発された佐川前理財局長について嫌疑不十分で不起訴にしました。


財務省はこれまで佐川氏の国会答弁との整合性を取るために改ざんが行われたと説明していますが特捜部のこれまでの調べに対し佐川氏が「去年2月の国会答弁のあと、決裁文書の内容を知り、答弁と合わない記述があることがわかった。『これでは自分の答弁と整合性がつかない』と部下に言った」などと供述していたことが関係者への取材でわかりました。


そして「明確なことばで『改ざんしろ』とまでは言っていないが、改ざんについて部下から報告を受けて了承しており、私が改ざんを指示したと言われてもしかたがない」という趣旨の供述もしていたということです。


このため特捜部は佐川氏の指示で改ざんが行われたと認定したものとみられますが、文書をうその内容に変えたとまではいえないと判断し不起訴にしました。


森友学園をめぐる一連の問題について特捜部は告発を受理した佐川氏ら38人全員を不起訴にしましたが、告発した市民団体などは処分を不服として近く、検察審査会に審査を申し立てるものとみられます。


財務省は、決裁文書の改ざんが誰の指示で行われていたのか、内部調査を進め、森友学園の問題が国会で取り上げられた去年2月頃の状況が、職員の証言で明らかになりました。


関係者によりますと国有地の売却に関する決裁文書をどう改ざんするか、原案をつくったのは佐川氏の部下にあたる理財局の職員で、局長室で佐川氏に相談したということです。


佐川氏は原案をもとに部下とともに改ざんする部分を具体的に決めていったということです。その結果、最終的に決裁文書の改ざんは、300か所以上に上りました。


佐川氏は、改ざんをみずから指示していたかどうかについては、国会の証人喚問で「刑事訴追の可能性」を理由に明らかにしていません。


ただ財務省は、こうした証言などから佐川氏が、当時の理財局のトップとして改ざんを指示していたと判断しています。


財務省は、週明けの4日にも内部調査の結果を発表し、佐川氏を含む幹部職員らの処分を行う方針です。


この中で福田元総理大臣は、財務省の決裁文書の改ざん問題で、佐川前理財局長らが不起訴になったことについて、「不起訴で、おとがめなしということになってしまったら、あの事件で、みずから命を絶った人のことはいったいどうなるのか。ずいぶんギャップがある」と指摘しました。


そのうえで、福田氏は「改ざんなど、ありえるのかなと思っていたが、公文書を作る人の良心も問わなければいけないのは、ちょっと寂しい話だ。作る人が良心的でなければ、正確なものはできない。公務員には、日本の歴史を作っていくんだという意識をぜひ持ってもらいたい」と述べ、公務員の意識改革を求めました。


また福田氏は政治家の責任について、「今まで起こったことを全部総合して、どれだけ責任を感じなければいけないかは、現役の政治家に考えてもらうしかない」と述べました。

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