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森友学園をめぐる財務省の決裁文書の改ざんや交渉記録の廃棄、国有地の値引き売却の問題で、大阪地検特捜部は去年5月、刑事告発されていた財務省の職員ら全員を不起訴にしました。

これに対し検察審査会はことし3月、佐川宣寿元理財局長ら10人について不起訴は納得できないとする「不起訴不当」の議決をしました。

議決は公文書の改ざんに関して「社会常識を逸脱する行為で、原本の内容も変わっていて変造といえる」などとし、公文書変造罪や公用文書毀棄罪が成立すると指摘しました。

また国有地の売却に関してごみの撤去費用の妥当性や政治家らの働きかけの有無について捜査が尽くされていないと指摘しました。

これを受けて特捜部は再捜査を進めていましたが、9日、議決の指摘を踏まえても刑事責任を問うのは困難だと結論づけ、佐川元局長ら全員を再び不起訴にしました。

その理由として特捜部は公文書の改ざんについて「文書の証明力が変わったとはいえず、変造と認めるのは困難だ」などとし、国有地の値引きについては「ごみの撤去費用の積算が不適正と認定するのは困難だった」としています。

また政治家らの働きかけの有無について「検察審査会の指摘を踏まえて必要かつ十分な捜査をした」としていますが、どのような捜査をしたのか具体的な説明は一切しませんでした。

この処分に対して検察審査会の2回目の審査は行われないため、森友学園をめぐる一連の問題は誰も刑事責任を問われることなく、検察の捜査がすべて終結することになりました。

森友学園をめぐる問題は、おととし2月に発覚しました。小学校の用地として学園に売却された大阪豊中市の国有地が、地中のごみの撤去費用などとして8億円余り値引きされていました。

小学校の名誉校長が安倍総理大臣の妻の昭恵氏だったことから、政治が関与した不当な値引きではないかと、国会で激しい議論になりました。

安倍総理大臣が国会で「私や妻が関係していれば、総理大臣も国会議員も辞める」と言い切ったことで、野党が追及を強めていきました。

学園の籠池前理事長は国会の証人喚問で、値引きについて「『神風が吹いたかな』と思った。何らかの見えない力が動いたのではないかと。政治的な関与があったのだろう」と発言しました。

この頃、値引きをめぐり財務省や近畿財務局の職員らが刑事告発され、大阪地検特捜部が捜査を始めました。さらに去年3月、財務省が学園との交渉記録を廃棄したり、決裁文書を改ざんしたりしていた事実が判明しました。交渉の経緯や政治家などの名前が削除されていたのです。

特捜部は改ざんの経緯についても捜査を進めました。

捜査は1年以上続きましたが、この間、財務省や近畿財務局の捜索は行いませんでした。そして去年5月、刑事責任を問うのは難しいと判断し、告発された38人全員を不起訴としました。
国有地の値引きが適正だったかや、改ざんが何のため誰の指示で行われたのか、捜査で解明した内容は明らかにしませんでした。

特捜部の不起訴処分に対し、弁護士グループや市民団体などから、納得できないとして、検察審査会への申し立てが相次ぎました。

ことし3月、およそ9か月の審査を経て、一般の市民で構成される検察審査会が出したのは、不起訴は納得できないという「不起訴不当」の議決でした。
改ざんについて、佐川氏ら財務省の職員6人には公用文書毀棄罪が成立すると指摘。国有地の値引きについても捜査が尽くされていないと指摘しました。

ただ、「不起訴不当」は「起訴相当」の議決と異なり、強制起訴にはつながりません。
このため、特捜部が審査会の議決を踏まえて再捜査を行ったうえで、どのような判断を示すのかが注目されていました。

大阪地検特捜部の小橋常和部長は「検察審査会の指摘を踏まえ、必要かつ十分な捜査をしたが、いずれについても起訴するに足りる証拠を収集することができなかった」としています。

森友学園に対して国が国有地を不当な安値で売却したとして、背任の疑いで告発していた、豊中市議会の木村真議員は、検察が改めて近畿財務局の職員らを不起訴としたことについて、「刑事責任を問えなくて非常に残念だ。政治的な判断が働いたとしか思えない。また、証拠が表に出なくなって闇に葬られるのは残念でならない」と話しています。

国有地を不当な安値で売却したとして近畿財務局の職員らを背任の疑いで告発していた、市民団体の代表の醍醐聰東京大学名誉教授は、「検察審査会の指摘について、再捜査でどのように解明したのか、説明もないままに再度の不起訴で幕引きを図ることは、到底容認できない」としたうえで、「今回の不起訴処分に厳重に抗議するとともに、これからも事件の真相を追及する」というコメントを出しました。

森友学園に国有地を不当な安値で売却したとして近畿財務局の職員らを背任の疑いで告発し、決裁文書の改ざんや交渉記録の廃棄で佐川氏らを告発していた弁護士らのグループが会見を開きました。

グループの共同代表の阪口徳雄弁護士は、「公文書の変造罪や毀棄罪では、現場の職員らは『上からの指示だ』と主張した一方で、佐川氏は『指持していない』と主張していた。言い分が食い違う段階で、どうして強制捜査をしなかったのか。強制捜査なしに真相解明などできない。最初から結論ありきだったのではないかと疑問を感じる」などと述べました。

そのうえで、「特捜部には検察審査会の議決を真摯(しんし)に受け止めて再捜査するよう求めてきたが、残念ながら再び不起訴になり、極めて遺憾である。国民の代表でもある審査会の議決を尊重しない検察庁は存在していてもしかたなく、解体すべきだと思う」と話しました。