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イランは、核合意で約束された経済的な利益が得られていないとしてウランの濃縮度を引き上げると発表し、8日には濃縮度が核合意で制限されていた基準の3.67%を超えたと明らかにしました。

ペンス副大統領は8日、ワシントンで開かれたキリスト教福音派の団体の集会に出席し、「イランは悪意のある活動をエスカレートさせている」と述べ、強く非難しました。

そして「われわれはイランの経済に圧力をかけ続けていく。トランプ大統領のもと、アメリカはイランが核兵器を手にすることを決して許さない」と述べ、厳しい態度で臨む考えを強調しました。

トランプ政権としては、核開発の脅威をヨーロッパなど各国に訴えてイランを孤立化させたい思惑があるとみられます。

また、ペンス副大統領は「イランは、アメリカの自制を決断の欠如と勘違いすべきではない。うまくいくことを期待しているが、アメリカ軍は、われわれの国益や現地にいるアメリカ人を守る準備ができている」とも述べ、軍事攻撃の可能性も排除しない構えを示しました。

集会ではボルトン大統領補佐官も演説し、イランがウランの濃縮度を制限を超えるレベルまで引き上げたと明らかにしたことなどについて「国際社会の平和と安全にとって重大な脅威だ」と述べ、強く非難しました。

そしてトランプ大統領は去年5月、アメリカの歴史の中で最悪の外交上の失敗だったイランの核合意から離脱することを表明し、中東で大きな成功を収めた。イランに最大限圧力をかける取り組みは機能している」と述べ、トランプ政権の政策は成果を上げていると強調しました。

そのうえで「イランの体制が核兵器開発を放棄し、中東での暴力的な活動や世界でのテロをやめないかぎり、われわれはイランへの圧力を強化し続ける」と述べ、イランを強くけん制しました。

この集会はトランプ大統領の重要な支持基盤でもあるキリスト教福音派の有力団体が開いたもので、参加者はイランと敵対するイスラエル寄りの立場をとっています。

このため、ペンス副大統領やボルトン補佐官らから強硬な発言が出るたび、参加者たちは一斉に立ち上がったり大きな拍手を送ったりしていました。

イランは、アメリカの制裁によって核合意で約束されていた経済的な利益が得られていないとしてウランの濃縮度の引き上げに踏み切り、8日、制限されていた基準の3.67%を上回り、4.5%以上に達したとしています。

イランは、60日後までに状況が改善されなければ新たな義務の停止に踏み切るとし、イラン原子力庁の報道官は国営放送の取材に、「20%の濃縮や、それ以上に高めることも選択肢だ。必要に応じて引き上げることになる」と述べて、濃縮活動の強化を検討していることを明らかにしました。

また、濃縮活動で使われる遠心分離機を合意で定められた数より増やすことも選択肢に入れているとしています。

ウランの濃縮度は20%以上になると、核爆弾を作るのに必要な時間が大幅に短縮できるとされているほか、遠心分離機を増やすことも本格的な核開発につながるおそれがあります。

イランとしては、強硬姿勢を示すことで核合意に参加しているヨーロッパ各国に経済の支援策を迫る方針ですが、かえって反発を招きアメリカがさらに圧力を強めることも考えられ、状況を改善できるかは不透明です。

イランが再び核合意を順守する状態に戻るかどうかは、ヨーロッパ側が有効な経済支援策を打ち出せるかどうかにかかっていますが、イラン側の要求を満たすのはハードルが高いのが現状です。

それは、アメリカのトランプ政権によるヨーロッパへの圧力があるからです。

フランス、ドイツ、イギリスは、イランが「核合意で約束された経済的な利益を得られていない」として強い不満を示していることを受けて、イランとの貿易を続けるための事業体を設立し、先月、ようやく運用が始まりました。

この事業体はINSTEX=貿易取引支援機関と呼ばれ、ヨーロッパの企業はイラン側と取り引きしても、INSTEXを介してユーロ建てで決済すればアメリカによる制裁の対象になりません。

イラン側はこの仕組みを使って原油を輸出し利益を上げたいと考えていますが、当面の取り引きは、そもそもアメリカの制裁対象とはなっていない医薬品や食品など小規模なものにとどまるとみられています。

ヨーロッパ側としては、アメリカとの貿易交渉などを控える中で、トランプ政権を刺激して関係が悪化することは避けたいとの思惑があるほか、アメリカから直接的な圧力を受けているものとみられます。

実際、フランスのルメール経済相はことし5月、アメリカによる圧力は極めて強力、かつ直接的で、政治家や行政など関係するあらゆる方面に及んでいる」と述べ、INSTEXをめぐってアメリカから圧力を受けていることを認めました。

INSTEXの調整役を務めるEU=ヨーロッパ連合は、設立した3か国以外にも参加する手続きを進めている加盟国があると強調し、将来的にはEU域外の国も利用できるようにするとしています。

EUとしては、この仕組みを通じてイランと貿易する国を増やすと同時に、原油より額が小さい取り引きでも種類を増やすことにより、いわば「質より量」でイランを納得させたい思惑がありますが、どこまで規模が広がるかは不透明です。

このようにEUは、アメリカの圧力とイランの要求の板挟みという難しい立場に置かれています。

フランス大統領府は8日、NHKの取材に対して、9日から10日にかけて、マクロン大統領の外交顧問を務める政府高官をテヘランに派遣し、イラン側と接触することを明らかにしました。

ヨーロッパ各国はイランの核開発を抑制する枠組みとして核合意を維持したい立場で、イランのウランの濃縮度の引き上げをめぐり非難や懸念を相次いで示してきました。

フランスとしては、政府高官の派遣を通じてイラン側に自制を求め、各国間の緊張を和らげる道を探る見通しです。

マクロン大統領は6日、イランのロウハニ大統領と1時間以上にわたって電話会談を行い、すべての関係国による対話の再開を目指して今月15日までにその条件を探ることでロウハニ大統領と一致していて、核合意の枠組みの維持に向けて議論を主導したい考えです。

一方、アメリカのホワイトハウスによりますと、トランプ大統領マクロン大統領と8日、電話会談を行い、イランに核兵器を手に入れさせないことや、中東地域を不安定化させる行動をイランにやめさせることなどについて協議したということです。

イランは、核合意で約束されていた経済的な利益がアメリカの制裁によって得られていないとして、ウランの濃縮度の引き上げに踏み切り、8日、核合意で制限されていた基準の3.67%を上回り、4.5%以上に達したとしています。

これについて、合意の履行状況を監視しているIAEA国際原子力機関は、8日、イランに派遣している査察官がウランの濃縮度が核合意で制限された基準の3.67%を上回ったことを確認したと発表しました。

イランが合意で決められた制限を超えるウラン濃縮を行っていることを、第三者である国際機関が正式に確認したのは初めてです。

一方、ニューヨークの国連本部では、ハク副報道官が8日に行った定例会見で、「核合意で決めた制限を上回る活動が確認されれば、合意は維持できず、イランの人たちの経済的な利益も保障できない」と述べて、イランに合意を順守するよう改めて要請しました。

事態を受けて、IAEAは、10日に臨時の理事会を開くことにしていて、各国はイランに対する一層の対応を迫られることになります。

トランプ大統領は、先月アメリカの無人偵察機を撃墜したイランへの報復攻撃を一度は決めたものの、多くの犠牲者が出ることから直前に中止したことを明らかにしています。

これについてアメリカ軍の元高官で、トランプ大統領から二度にわたり国防長官のポストを打診されるなど、今も安全保障問題などについて大統領から相談を受けているというジャック・キーン氏が、NHKの取材に応じ、撃墜はイラン指導部が意図したものではなかったという機密情報が、当日、大統領に伝えられていたと明らかにしました。

この中でキーン氏は「イランの最高指導者のハメネイ師もロウハニ大統領も指導部は撃墜を了承していなかった。それどころか撃墜を知って、指導部は動揺した。犠牲者の数と合わせたこの2つの情報によって、トランプ氏は決定を翻した」と述べました。

このときの無人偵察機の撃墜をめぐっては、アメリカの報復攻撃が回避された形ですが、キーン氏は今後の双方の出方次第では攻撃の応酬となり、本格的な軍事衝突のリスクが高まりかねないと指摘しています。

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