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トランプ大統領は5日、ツイッターで、トランプ政権でパレスチナ問題を担当するグリーンブラット特別代表が近く辞任することを明らかにしました。

具体的な時期や理由には触れていません。

トランプ政権は、イスラエルパレスチナとの和平案を「究極のディール」と位置づけて実現に意欲を示し、ことし6月にはパレスチナや近隣の国々に対して10年間で総額500億ドル(5兆円余り)に上る経済支援の枠組みを提示するなど、積極的に関与する姿勢を示しています。

ただパレスチナ側は「巨額の資金でパレスチナを買収し、和平合意でイスラエルによる占領を認めさせようとしている」として、アメリカが主導する中東和平政策に反発を強めています。

トランプ政権は、今月17日に行われるイスラエルの総選挙のあと中東和平案を発表するとしていますが、パレスチナ側の反発で事態打開の見通しは立っていません。

中東和平案の策定に中心的に携わってきたグリーンブラット氏の辞任によって、アメリカ主導の中東和平が一層困難になるのではないかという見方も出ています。

4日深夜、イランの国営放送が生中継で、記者会見を報じました。行政の長のロウハニ大統領を中央に、議会と司法のトップが両脇に立ち、三権の長がそろう異例の記者会見でした。

前回、7月の同様の発表の際、大統領府の報道官らが会見を行ったのに比べ、今回は、はるかに重厚な布陣です。重大な発表があると感じました。口火を切ったのは、険しい表情を浮かべるロウハニ大統領でした。「核合意の制限にとらわれずに、今後は、さまざまなタイプの新たな遠心分離機の研究開発を推し進める」。研究開発ということばを繰り返すうちに、会見は15分ほどで終わりました。

ウラン濃縮活動に使われる遠心分離機は、核合意で、使用できるタイプや基数が厳しく制限されています。研究開発だけでも、やはり制限され、事前の計画に沿ってしか進めてはいけません。

今回の対抗措置は、遠心分離機の研究開発にかぎり、核合意の制限を破るというものです。これは、長期的にはイランの核開発能力を高めることにつながりますが、ウランの濃縮レベルの制限を順守するかぎりは、直ちに核兵器の製造に近づくというものではありません。

ロウハニ大統領自身が、発表の前に行われた閣議で、「ショッキングな措置にはならない」と述べたように、国際社会が懸念していたよりも抑制的な内容となりました。

不公平にがまんの限界。そもそも、イランが核合意の制限を破るようになった背景には、イランが感じる“不公平感”があります。核合意は本来、イランの核開発を制限する見返りに、イランに対する制裁が解除され、経済的なメリットが得られるというものでした。

ところが、去年、アメリカのトランプ政権が、一方的にこの合意から離脱し、イランへの制裁を復活させます。外国企業の撤退が相次いだうえ、イラン経済を支える原油輸出もままならなくなりました。

アメリカの制裁は、イランと取り引きをするあらゆる企業が対象となるため、核合意に参加するフランスなどヨーロッパの国々も、イランとのビジネスを大幅に縮小せざるをえない状況に追い込まれました。

核合意で約束された経済的な利益が得られないのに、核開発の制限は続けるよう求められる、イランはこの不公平な状況を1年間我慢しましたが、改善されないため、ならばこちらも約束を守らないぞ、と言い始めたわけです。

イランの政治や経済に詳しいテヘラン大学のマランディ教授は、「核合意に誰が違反しているのかというと、経済的なメリットを提供しないヨーロッパも完全に違反だ。イランが約束を守らないのは、バランスをとっているだけだ」と話しています。

イランがとった対抗措置のうち、とりわけ7月に踏み切った、ウラン濃縮レベルの引き上げの問題は、核合意の根幹に関わります。3.67%に制限されてきたウランの濃縮度を、4.5%に引き上げたのです。

原子力発電所の燃料には、濃縮度が3%から5%という数値のものが使われます。一方、原子力爆弾をつくるには、90%以上まで濃縮度を高める必要があります。

イランは今後の措置として、ウランの濃縮度を20%にまで高めることも選択肢だ、と警告してきました。濃縮度20%から兵器級の90%以上に高めるのは、比較的短時間で済むとされ、欧米はウラン濃縮レベルの引き上げを最も警戒しています。

今回のイランの措置が抑制的だと言われるのは、そこには踏み込まなかったからです。

イランは、対抗措置を発表する直前まで、各国とぎりぎりの外交交渉を行っていました。とりわけ重要な相手がフランスです。

ザリーフ外相が先月、G7サミットの期間中に電撃的に訪問し、マクロン大統領と会談したほか、今月2日には、アラグチ外務次官がパリを訪れて、フランス側と実に10時間にわたって協議をしたとしています。

協議の結果、フランスはイラン産原油を担保に、150億ドルの融資を提案したと明らかにし、イランの政府高官からは「次の措置に踏み切らないこともありうる」という声すら上がりました。

ロウハニ大統領自身も、「最終ステップには及ばなかったが、当初は20あった意見の食い違いが3つになった」とフランスの提案を評価しました。

あと少しで150億ドルを手にできそうだ。今は国際社会を敵に回す強硬な措置は控え、引き続き、話し合いを続けよう。抑制的だった今回の措置には、イラン側のそんな計算があるのかもしれません。

ただ、フランスの提案を楽観ばかりはできません。アメリカはイランに制裁を科しています。フランスの提案に沿って、ヨーロッパの金融機関がイランに融資するにしても、アメリカの許可なくやれば、やはり、アメリカの制裁対象になってしまいます。

フランスの提案をアメリカが容認するかどうか、つまり、制裁の緩和に同意するかどうかは、はっきりしません。トランプ政権は4日に、2つの相反するシグナルをイランと国際社会に送りました。

トランプ大統領がイランのロウハニ大統領との会談について、「可能性はある。イラン政府と直接交渉する」と述べて、今月、ニューヨークで開かれる国連総会に併せて首脳会談の可能性を探る考えを示唆したのです。

ところが、同じ4日、アメリ国務省は、イランに対し、追加の制裁を科すことを発表し、今後も圧力を緩めない方針を改めて強調しました。こうしたトランプ政権とイランが対話の席につく可能性はあるのでしょうか。

イランは制裁の解除が先だと主張しています。イランからすれば、アメリカは会談をしたいと口では言いながら、その環境を整える気はさらさらないように見えます。

最高指導者ハメネイは「アメリカとの交渉は毒だ」とまで述べて、対話を拒否していますし、ロウハニ大統領も、「一緒に写真におさまりたいだけならば、そんな話は実現しない」と否定的です。

さらに、イラン国内には、核合意を一方的に切り捨てたトランプ大統領に歩み寄ることに、強い警戒感があります。

イランは、40年前の革命で当時の親米政権を倒し、その後、アメリカとの国交を断絶しました。両国の首脳会談が実現すれば、革命後初めてとなります。

しかし、現時点で、首脳会談の実現には極めて高い壁があると言わざるをえません。その壁を乗り越えるため、両首脳が出席する国連総会までの2週間余りのうちに、具体的な歩み寄りの動きが出てくるのか、それが今後の焦点です。

イギリスのフィナンシャル・タイムズは4日、ことし7月、イギリス領ジブラルタル自治政府に拿捕され、その後解放されたイランの石油タンカーの船長に対し、アメリ国務省でイラン政策を統括するフック特別代表が数百万ドル、日本円にして数億円の報酬を提示したと報じました。

フィナンシャル・タイムズによりますと、タンカーの船長は先月26日以降、フック特別代表から複数のメールを受け取り、その中には「この金で自分が思い描く好きな人生をおくれる」と、書かれていた一方、船長から返信がないと「この簡単な選択肢を選ばなかった場合は、人生は厳しいものとなる」などとする内容が含まれていたとしています。

これについて、イランのザリーフ外相はツイッター「私が数週間前に、アメリカの大統領執務室から受け取った手紙に似ていて、やり方がパターン化している」と投稿し、アメリカ政府の対応を皮肉交じりに非難しました。

ホルムズ海峡を通過する船舶の安全を確保するため、アメリカが結成を目指す有志連合をめぐっては、イランとの関係を考慮するなど慎重な姿勢を示す国も多く、これまでに参加を表明したのはイギリスバーレーンオーストラリアの3か国にとどまっています。

アメリカのエスパー国防長官は、5日、訪問先のロンドンで記者団から参加する国が広がっていない点を問われると、「各国は参加に向けてそれぞれ異なる段階にあり、議会から何らかの許可を求めている場合もあって時間がかかる状況だ」と述べ、有志連合の結成には時間がかかるとの認識を示しました。

そのうえで「参加国の数や、各国が提供できる活動は多ければ多いほうがよい」と述べ、参加国の拡大に向け呼びかけを続ける考えを強調しました。

アメリカはイランを対話の席につかせるうえでも有志連合の結成や制裁を通じた圧力を強めたい考えですが、反発を強めるイランは4日、ウラン濃縮に使う新型の遠心分離機の研究開発を核合意の制限を超えて進めると発表するなど、両国の対立が和らぐ見通しは立っていません。

アメリカのホワイトハウスは5日、トランプ大統領がフランスのマクロン大統領と電話会談を行い、イランの核開発問題について協議したと発表しました。

そのうえでトランプ大統領が、イランへの制裁を現時点では解除しない方針をマクロン大統領に伝えたと明らかにしました。

また、両首脳は、ペルシャ湾の航行の自由を脅かすイランの行動を抑える必要性で一致したとしています。

イランの核問題をめぐって、トランプ大統領はイランへの制裁を強化する一方で、今月下旬にニューヨークで行われる国連総会に合わせてイランのロウハニ大統領との首脳会談に前向きな姿勢を示しているのに対して、イラン側は制裁の解除が先だとして、核合意の義務の一部を停止する新たな措置を発表しています。

核合意の崩壊を防ぎたいマクロン大統領は、アメリカとイランの首脳会談の実現に向けて仲介役を担う意欲を示していますが、トランプ大統領としてはイラン側の要求には応じないことをフランスに伝えることで、イランをけん制するねらいがあるものとみられます。


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