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イランは、核合意で約束された経済的な利益が得られていないとしてウランの濃縮度の引き上げに踏み切ると発表し、IAEA国際原子力機関も8日、ウランの濃縮度が核合意で制限された基準の3.67%を上回ったことを確認したと発表しています。

これを受けてEUのモゲリーニ上級代表のほかドイツ、フランス、イギリスの外相は9日、共同で声明を発表し、「核合意の義務を果たさないイランの行動を非常に懸念している。イランは核合意にとどまりたいとしているのだから、核合意に完全に従わなければならない」と述べました。

そのうえで、「緊張を緩和させるため、すべての当事者に対して責任を持って行動するよう求める」と述べ、関係国に対して緊張の緩和に向けて行動するよう呼びかけました。

アメリカが核合意から離脱するなかでイランが再び核合意を順守する状態に戻るかどうかは、いまも核合意に残っているヨーロッパ側がイランへの有効な経済支援策を打ち出せるかどうかにかかっています。

しかし、アメリカのトランプ政権によるヨーロッパへの圧力があるなか、イランの要求を満たすのはハードルが高く、実現に至るかは不透明な情勢です。

イランは、核合意で約束された経済的な利益が得られていないとしてウランの濃縮度の引き上げに踏み切ると発表し、IAEA国際原子力機関も8日、濃縮度が核合意で制限された基準の3.67%を上回ったことを確認したとしています。

これを受けてトランプ大統領は9日、ホワイトハウスで記者団に「何が起きるか見てみよう。イランは今、多くの悪いことをしている。十分に気をつけた方がいい」と述べ、警告しました。

こうした中、アメリ財務省は、イランが支援し、レバノンで活動する、イスラムシーア派組織「ヒズボラ」に対する新たな制裁を発表しました。

制裁ではヒズボラの幹部で、レバノン議会の議員を含む3人が、イランからの指示で金融機関への脅迫や密輸などに関わっていたとして、制裁対象に加えたということです。

さらにトランプ政権の高官は、イランのザリーフ外相を対象とした制裁も検討していると明らかにしました。

イランがウラン濃縮度の引き上げに踏み切ったことで、トランプ政権としては、イランへの圧力を一層強めるとともに、ヨーロッパなどに対しても国際包囲網を狭めるよう求めるものとみられ、これに反発するイランとの間で対立は一層深まることが予想されます。

これはイギリスのロンドンで9日に開かれた事件についてのシンポジウムで、カラマール氏が述べたものです。

カラマール氏は国連の特別報告者として、サウジアラビア人ジャーナリストのジャマル・カショギ氏が去年トルコで殺害された事件を調査し、ムハンマド皇太子を含むサウジアラビアの政府高官が事件に関与した証拠があるとする調査結果を、先月発表しています。

シンポジウムでカラマール氏は、大阪で行われたG20サミットでアメリカのトランプ大統領サウジアラビアムハンマド皇太子と握手を交わしたことについて、「歓迎できない」と述べて不快感を示しました。

そして、事件に関わったとして11人を起訴した検察官との面談をサウジアラビア政府に要請したものの、国内問題だなどとして断られたことを明らかにし、各国がサウジアラビアに真相の究明を迫るよう求めました。

サウジアラビア政府はカラマール氏の調査について、「根拠のない主張が含まれており、信頼性に疑問がある」などと反発しています。

トランプ大統領は、日本など石油を輸送する国々がみずから自国の船を守るべきだという考えを示しており、今後、各国にどのような要請をするかが焦点になります。

AP通信などによりますと、アメリカ軍の制服組トップ、ダンフォード統合参謀本部議長は9日、記者団に「ホルムズ海峡と周辺の海域で航行の自由を確保するため、連合を結成できるかどうか多くの国と連絡をとっている」と述べました。

ホルムズ海峡では先月、日本の会社が運航するタンカーなど2隻が攻撃されて安全への懸念が高まっていて、これに対応するためアメリカ軍として、同盟国などとの有志連合の結成を検討していることを明らかにしたものです。

ダンフォード議長は今後、2週間程度で参加国を見極めたうえで、各国の軍と活動の具体的な内容について協議したいとしています。

ホルムズ海峡を巡っては、先月のタンカー攻撃事件のあと、トランプ大統領ツイッターに「なぜわれわれが他の国々のために報酬も得られないのにこの輸送路を守るのか。すべての国々は自国の船を自分で守るべきだ」と投稿し、石油を輸送する日本などの国々がみずから自国の船を守るべきだという考えを示していました。

トランプ政権としては、有志連合の結成で関係国に応分の負担を求めるねらいもあるとみられ、今後、各国にどのような要請をするかが焦点になります。

野上官房副長官は記者会見で、「報道に対するコメントは差し控えたい」としたうえで、「中東地域の緊張の高まりを深刻に懸念しており、ホルムズ海峡の航行の安全を確保することは、わが国のエネルギー安全保障上、死活的に重要で、国際社会の平和と繁栄にとっても極めて重要だ。アメリカをはじめとする関係国と連携しつつ、中東の緊張緩和と情勢の安定化に向けて外交努力を継続したい」と述べました。

また、記者団が「仮にアメリカから打診があった場合に自衛隊が参加する可能性はあるか」と質問したのに対し、野上副長官は、「イラン情勢をめぐり日米間で緊密にやり取りしているが、詳細は差し控えたい」と述べました。

これについて、防衛省の幹部の1人は「報道は承知しているが、現段階で少なくとも防衛省への打診や連絡はなく、自衛隊派遣の具体的な検討はしていない。引き続き中東情勢を注視していく」と話しています。

別の幹部は「仮に自衛隊を派遣する場合の法的根拠として、今の中東情勢を、日本にとって集団的自衛権を行使できる『存立危機事態』と認定するのは難しいのではないか」との見方を示しました。

一方で、この幹部は「海上警備行動の発令で護衛艦による警備を行うことや、重要影響事態の認定で、アメリカ軍への後方支援などが考えられるが、現時点では、あくまで頭の体操の段階だ」と話しています。

立憲民主党の枝野代表は、滋賀県彦根市で記者団に対し「少なくとも、軍事行動を想定するようなものであるならば、安倍政権下でつくられた違憲の安全保障法制のもとでもできることではない。日本は、中東の安全保障には、一定の重要な利害関係を持っているが、軍事的な形で貢献するということは、わが国の国是として、あってはいけないことだ」と述べました。

ホルムズ海峡の周辺では、原油の供給を脅かす事件が相次いでいます。

ことし5月には、ホルムズ海峡に近い、UAE=アラブ首長国連邦フジャイラ港の沖合でサウジアラビアなどのタンカー4隻が何者かによる攻撃を受けました。

また、先月13日にはオマーン湾を航行中のタンカー「フロント・アルタイル」と「コクカ・カレイジャス」の2隻が攻撃を受け、船体に穴が空くなどの被害が出ました。

アメリカ軍はこのうち、日本の海運会社、国華産業が運航する「コクカ・カレイジャス」について、「リムペット・マイン」と呼ばれる、船体に取り付けて爆発させるタイプの爆弾が見つかったと発表し、イランによる仕業だと主張しています。

これに対しイランは全面的に関与を否定しています。

攻撃を受けて国華産業は、事件のあと、みずからが運航する船舶に対し、できるだけイラン側から離れて航行するように指示しているほか、日本の海運会社の中には危険海域にいるあいだは全速力で走り抜けるといった対策を取っているところもあります。

また、国土交通省は日本の海運会社に対して、現場海域を航行する際には最新の情報を入手したり、レーダー監視や見張りを厳重に行ったりするなど、安全に最大限注意するよう呼びかけています。

有志連合は2001年の同時多発テロを受けたアフガニスタンでの軍事作戦やイラク戦争、それに過激派組織IS=イスラミックステートの掃討作戦などで結成され、日本も時に後方支援や復興支援活動にあたるため自衛隊の部隊を派遣してきました。

このうちアフガニスタンでの軍事作戦ではアメリカやNATO北大西洋条約機構の各国が地上部隊による作戦を展開する一方、日本はインド洋で対テロ作戦に参加する各国の艦艇に燃料などを補給する任務に当たりました。

また2003年に始まったイラク戦争では米英とフランスなどが武力行使の可否をめぐって対立し、当時のブッシュ政権アメリカに賛同する国々と有志連合を結成して攻撃に踏み切りました。この際、日本は復興支援にあたるため陸上自衛隊航空自衛隊の部隊を派遣しました。

また2009年にはアフリカのソマリア沖のアデン湾で海賊事件が頻発したことを受けて各国が有志連合を組んで対応にあたり、日本も海上自衛隊の艦艇や哨戒機を派遣して民間船舶の護衛任務にあたりこの活動は現在も継続しています。

さらに中東での過激派組織ISの掃討作戦では、2014年にアメリカ軍の主導で有志連合が結成され、ISに対する空爆を実施しました。日本は部隊を派遣していませんが、アメリカは経済的な支援も貢献だとして日本も有志連合のメンバーに入っています。

有志連合は共通の目的のもと有志で集まった国々の部隊が軍事行動や平和維持活動に従事するもので、近年、アメリカはさまざまなケースで各国に参加を呼びかけています。

防衛省は現在も有志連合に自衛隊の部隊を派遣しています。

アフリカのソマリア沖では海賊行為への対処として、アメリカ中心の多国籍の部隊が有志連合を組んでいて平成25年以降、海上自衛隊護衛艦と哨戒機が参加して警戒監視の活動をしています。

また、多国籍部隊の司令官として、これまでに3人の海上自衛官が派遣されています。

一方、ホルムズ海峡で有志連合が組まれたとしてもソマリア沖で活動している海上自衛隊の部隊を今の活動の枠組みのまま派遣することはできません。

ソマリア沖での海上自衛隊の活動は平成21年に施行された海賊対処法にもとづいて行われています。

この法律では防衛大臣が部隊の活動する区域を定めて総理大臣の承認を得ることとされていて現在の活動区域は「ソマリア沖・アデン湾」とされています。

また、この法律の対象となるのは「海賊行為」で、テロ行為や各国の軍艦や政府機関の船舶への対処は含まれていません。

アメリカ軍が有志連合の結成を検討していることについて、イラン情勢に詳しい慶應義塾大学の田中浩一郎教授は「ホルムズ海峡には、日本を含め、石油タンカーを通過させている国が多い。アメリカは、こうした国々に、『踏み絵』のように支持を迫り、イランが『悪者』だという印象を強めたいのではないか」と分析しています。

そのうえで日本がおかれる立場については「アメリカは先行きを見通さないままイランに対して強硬な立場を取りつづけているが、日本を含め各国は歯止めをかけられずにいる。有志連合を結成する場合、アメリカは日本に対し参加を拒むようなことはさせないだろう。そうなれば、イランからは、強い反発が予想され難しい判断になる」と話しています。

また今後の日本の対応については「アメリカがこのまま強硬な姿勢を続ければ、さらなる地域の不安定化を招くおそれがある。日本としては、アメリカの姿勢に歯止めがかけられるよう働きかけていくしかない」と話しています。

ペルシャ湾岸は世界最大の油田地帯で湾岸に面するサウジアラビア、UAE=アラブ首長国連邦イラク、イラン、クウェートバーレーンカタールの7か国の去年の原油の生産量は、日量2600万バレルと世界で消費される原油のおよそ4分の1余りにのぼります。

このうち日量2000万バレル程度がホルムズ海峡を経由して、世界の市場に供給されており「世界で最も重要なエネルギーの輸送ルート」とされています。

その多くがアジア諸国向けで日本は輸入する原油の8割余りをホルムズ海峡を経由する原油に依存しています。

また、発電に使われるLNG=液化天然ガスについてもカタールなどが主要な調達先の一つになっています。

ホルムズ海峡が封鎖される事態に備えてサウジアラビアやUAEは海峡をう回するパイプラインを整備していますが輸送できる原油は限定的です。

アメリカとイランの緊張緩和が見通せない中、ホルムズ海峡付近で有事があれば原油の安定供給が脅かされかねないことが改めて浮き彫りになっています。


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