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政府は12日の持ち回り閣議で、安倍総理大臣の談話と併せて、今回の熊本地方裁判所の判決について法律上の問題点を指摘した政府声明を決定しました。

それによりますと、裁判でも争われた、原告の人たちが賠償を求める権利が時効によって消滅しているかどうかという点について「判決での消滅時効の起算点の解釈は民法の趣旨や判例に反するもので、国民の権利や義務への影響が大きく、法律論としてゆるがせにすることができない」と指摘しています。

また判決で、差別を解消するための措置を怠ったなどと認定された厚生労働大臣法務大臣文部科学大臣の責任について「過去の判決で平成8年のらい予防法廃止時をもって終了するとされていて、今回の判決とそごがあり、受け入れられない」としています。

さらに「偏見や差別を除去する方策は柔軟に対応すべきもので、行政に裁量が認められているが、判決はそれを極端に狭くとらえている」などと主張しています。

 「ハンセン病家族国家賠償請求訴訟の判決受入れに当たっての内閣総理大臣談話」について、発表させていただきます。本日、お手元に配布しておりますとおり、「ハンセン病家族国家賠償請求訴訟の判決受入れに当たっての内閣総理大臣談話」を閣議決定いたしました。内容について読み上げさせていただきます。
 本年6月28日の熊本地方裁判所におけるハンセン病家族国家賠償請求訴訟判決について、私は、ハンセン病対策の歴史と、筆舌に尽くしがたい経験をされた患者・元患者の皆様の御労苦に思いを致し、極めて異例の判断ではありますが、敢えて控訴を行わない旨の決定をいたしました。
 この問題について、私は、内閣総理大臣として、どのように責任を果たしていくべきか、どのような対応をとっていくべきか、真剣に検討を進めてまいりました。ハンセン病対策については、かつて採られた施設の入所政策の下で、患者・元患者の皆様のみならず、家族の方々に対しても、社会において極めて厳しい偏見、差別が存在したことは厳然たる事実であります。この事実を深刻に受け止め、患者・元患者とその御家族の方々が強いられてきた苦痛と苦難に対し、政府として改めて深く反省し、心からお詫び申し上げます。私も、家族の皆様と直接お会いしてこの気持ちをお伝えしたいと考えております。
 今回の判決では、いくつかの重大な法律上の問題点がありますが、これまで幾多の苦難と苦痛を経験された家族の方々の御労苦をこれ以上長引かせるわけにはまいりません。できる限り早期に解決を図るため、政府としては、本判決の法律上の問題点について政府の立場を明らかにする政府声明を発表し、本判決についての控訴は行わないこととしました。その上で、確定判決に基づく賠償を速やかに履行するとともに、訴訟への参加・不参加を問わず、家族を対象とした新たな補償の措置を講ずることとし、このための検討を早急に開始します。さらに、関係省庁が連携・協力し、患者・元患者やその家族がおかれていた境遇を踏まえた人権啓発、人権教育の普及啓発活動の強化に取り組みます。
 家族の皆様の声に耳を傾けながら、寄り添った支援を進め、この問題の解決に全力で取り組んでまいります。そして、家族の方々が地域で安心して暮らすことができる社会を実現してまいります。
 以上が内閣総理大臣談話であります。また、お手元に配布しております「政府声明」を閣議決定しております。これは、政府は、今般の熊本地方裁判所におけるハンセン病家族国家賠償請求訴訟判決に対しては、控訴しないという異例の判断をしましたが、この際、本判決には、国家賠償法民法の解釈の根幹に関わる法律上の問題点があることを当事者である政府の立場として明らかにするものであります。