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 7月31日、宅配事業最大手・ヤマト運輸を傘下に持つヤマトHD(ホールディングス)の2019年4月~6月期連結決算が発表された。

 前年同期の営業損益が95億円の黒字だったのに対し、今期は61億円の赤字に転落。ヤマトHDは人手不足を前に値上げや働き方改革に取り組んできた。ところが、荷物の取り扱い数が思うように伸びず、赤字転落となったのだった。その背景には、これまでヤマトをはじめとした宅配会社を利用してきたアマゾンや楽天ヨドバシカメラなどの小売業者の“自社配達網”によるサービスの開始があると見られる。

 しかし、ヤマトHDの長尾裕社長(53)はそれに異を唱える。長尾社長はヤマト運輸のアルバイトから社長にまで上り詰めた“宅配を知り尽くす男”。業界の厳しさを踏まえた上で、次のように述べる。

「今まで通り、ただ荷物を運ぶだけでは時代の変化に取り残されてしまうでしょう。これから大切になってくるのは、従来の宅配サービスに“+α”の付加価値を提供することです。宅配事業と隣接する領域で何ができるかを、常に考えていかねばなりません」

 長尾社長が「“+α”の付加価値」として挙げるのが、ヤマトHDの総合物流ターミナル「羽田クロノゲート」だ。東京・羽田空港に隣接する、東京ドーム2個分の敷地面積を有する巨大な施設である。

「実は、私たちは『ネスプレッソ』が日本で故障した場合の回収、修理、発送を一貫して代行しています。

 普通であれば、ユーザーが故障した製品をメーカーに送り、メーカーは代替機をユーザーに送る。そして、修理が終わった製品をユーザーに送り、ユーザーは代替機を返送する。これが一般的な流れです。

 しかし製品と代替機を送るのには、時間もコストもかかります。(略)これらを全て私たちが代行し、羽田クロノゲートに集まってくる製品をその場で修理して返送してしまえば、(略)ユーザーはすぐ修理品が届いて嬉しいし、メーカーにとっても大幅なコスト減になるわけです」(長尾社長)

 ネスプレッソだけではない。羽田クロノゲートでは、ケータイやパソコンの初期設定、医療用器械の洗浄・メンテナンス代行、3Dプリンターを使った医療用の模型の作成など、多種多様な業務を請け負っているのだという。